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霊術院出のエリート
第168話
しおりを挟む「この付近には今のところ悪魔はいないんでしょ?」
「情報部のネットワークを鵜呑みにするのか?」
「鵜呑みにするっていうか、それが「ルール」だからね」
「そんなことだから、毎年被害が減らないんだ」
「でも、無闇に動くのも危険だと思うし…」
「それでこの“時間”に到着か、いいご身分だな」
「空路からの偵察と、痕跡ルートの分析、その他諸々は完了したよ?」
「調査なら私たちがすでにやっている」
「エリア外のルートも確認したってこと!?」
「当たり前だ」
夜月は驚いていた。
偵察隊の任務は主に飛行ルートからの巡航と監視。
天使が使用する空路は街の周辺を確認するための機能も担っていて、各地域に設置されている「アクセスポイント」という設備を使いながら、生体反応、及び魔力痕跡が無いかをオンラインネットワーク上でチェックする。
名古屋城に来るまでに彼女たちはすでに調査していた。
キョウカはチームメンバーの他に多くの“部下”を率いている。
この「部下」というのはストリート・エンジェルのことで、彼女の“ツテ”でもある。
ストリート・エンジェルが集う酒場、『センター・ガレージ』。
ここで彼女は多くの仲間を得た。
賞金稼ぎや掃除屋(クリーナー)、冒険者、デビル・ハンター、運び屋(グランダー)。
酒場には多くの経歴を持つ天使たちが集う。
酒場は東京のど真ん中にあり、東京23区がすっぽり覆われてしまう巨大な地下空間に、シェルターのような形状で建設されていた。
「酒場」と呼ぶには似つかわしくないほど巨大な施設だが、その場所では、一部を除き管制塔の監視ネットワークが及んでいないため、野良の天使たちにとっては重要な拠点の一つだった。
とくに、『捜査官』と呼ばれる治安維持部隊の「目」を避けるには、打ってつけの場所でもあった。
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