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霊術院出のエリート
第172話
しおりを挟む「チサト、いっきまーす!」
神里チサトは「風」を扱う。
彼女は名古屋城周辺に結界を張り、【大気の壁】を生成していた。
四方を取り囲むように魔力流域を繋ぎ、ドーム状の閉鎖空間を形成する。
すでに調査隊が展開していた隔離シールドは、「魔障壁(アンチエネミーウォール)」と呼ばれる特殊な魔力生成装置によって、外部と内部との侵入経路を塞いでいた。
しかしそれはあくまで、人間が外から『指定区画内』に侵入しないように設計された側面が強く、「強度」という側面だけで言えば心許ない一面があった。
戦闘の激化が予想される場合、「魔障壁」の出力そのものを上げるか、“増幅装置”を使って壁の密度を濃くするかの指令が出されることが多いが、キョウカたちは上層部の指令よりも前に動いていた。
“空域魔法・ストーミークラウド“
「風の目」の生成。
チサトは自ら生成した風域を使い、縦横無尽に空中を移動する。
『ストッパー』と呼ばれる座標記録用の杭を地面に打ち込み、自らの魔力とのリンクを図った。
流域と流域を繋ぐための「結び目」。
空中でストッパーの遠隔操作を行い、リンク状態の魔力流域を大気の中に混ぜ込む。
四方には渦状の暴風が立ち上がった。
城の外堀の外周を取り囲むように回転するハリケーン。
「断層」から出てくる魔族を取り逃さないための「網」を、空中に展開した。
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