COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

獄炎蝶

第２７８話

　例え敵の戦闘能力が高くても、チーム単位で動けば戦局を大きく変えることができる。

　坂本の「砂」は、その可動支点を担っていた。

　緑間の水や夜月の電磁波を取り込みつつ、モモカのサポート魔法をキャッチする。

　砂はあらゆる魔力流域の中間子を担う役割を果たしていた。

　つまり、ある作用を他の場所に伝える仲立ちとなる物質や空間として、限定的かつ有力な「場」となることができていた。

　『ファイヤアロー』の強みは、ここにあった。

　チーム単位で動ける情報伝達能力の高さや、各メンバーとの連携に於ける連結力。

　夜月は電波塔として。

　坂本は、防御や攻撃を連動させる「媒体」として。

　情報を絶えず回転させつつ、符号化されたチーム単位での行動規則を常時発動させる。

　決して1人では対応できない範囲を、限られた単位時間あたりで現出できる体制を構築していた。

　他のチームに比べれば少ない人数での構成となっているが、完成された統制力や組織としての構成力は、他には無い強みがあった。

　それは各々の属性や能力を活かした編成を組むことに対し、より柔軟な「距離」や「時間」を提供することができる、という意味においてだ。