プリンセスは殺し屋

平木明日香

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世界最強になるために

第50話

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 「ぐはッ…!」


 咄嗟にガードの構えを取るが間に合わない。

 空間を裂く竹刀の軌道が、俺の首を捉えた。


 「どうした!?日本一の剣士と聞いていたが?」


 …コイツ

 見かけによらずなんてパワーだ。

 ルールがわかってないからか、首への一撃は有効打とはならなかった。

 だが予断は許されない。

 体勢を崩されながらも考えた。

 引くしかない。

 引いて、竹刀の出し入れできる「位置」を見出す。

 …だけどどうする?

 持ち直したところで、相手の動きを把握できてない。

 予測できない動きに対処できるほど、状況にゆとりはない。


 どうする

 どうするどうする…!



 ダンッ


 右足で踏ん張りながら急ブレーキをかける。

 引くのが最善かもしれないが、「最善」が機能するほどの局面にはない。

 だったら真正面から迎え撃つ。

 来るなら来いよ!

 肘を畳んで竹刀を立てた。

 眼前には、竹刀を振りかぶって向かってくる相手が。

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