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新入部員

第71話

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 「ま、嘘なんやけどね」

 「ハァ!?」

 「だってそうでも言わんと納得できんやろ?」

 「…え、嘘??」

 「そ」


 …コイツ

 やっぱダメかも

 おかんがうるさいけど、ご退出してもらうのが賢明な気がする。

 このまま泊めてても絶対ろくなことがない。

 こんなことならさっさと警察に突き出しといた方が良かった。

 今日が最後の晩餐な?

 いくら持ってるのか知らないが、ポンと三万も出せるんだからホテルにでも泊まれよ。

 カプセルとかだったら安いんだから。


 「私がこの街にきた理由。明日教えたるわ」

 「いや、今教えろよ」

 「気分やない」


 なんだよ、“気分じゃない”って。

 どこまでもマイペースで困った。

 問い詰めると、家を出たのは間違いなさそうなんだが、どうやら、親は関係ないらしい。

 もっと別の、深い理由があるっぽかった。

 本人曰く。


 ま、いいや。

 とりあえずすき焼きでも食って落ち着こう。

 ってか卵あったっけ?

 確認するの忘れたな…

 最悪もう一回来るか。

 米が炊けるまで時間がかかる。

 下拵えもしないといけないから、ひとまず女に野菜を切ってもらおう。

 なかったらなかったで、ついでに歯磨き粉も買わなきゃな。

 夏樹のせいで、もうあと少ししか残ってないんだ。

 人のを勝手に使うなって言ってんのに、全然言うこと聞かないんだよ。

 この前なんか、勝手に人の漫画持ち出すし。

 
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