上 下
212 / 394
俗に言うアレ

第210話

しおりを挟む

 「はい。私の勝ちー!」


 ドリブルで相手をかき回した後に、3ポイントシュートを見事に決めた。

 千冬は勝ち誇ったような顔をして、マコトの前に立っていた。

 千冬らしいな。

 それはそうと、本当に仲良さそうだな…

 ぱっと見、千冬のタイプの男子には見えないけど


 「そういや、お前はお前で真波ちゃんとええ感じやん」


 そう…みたいだな。

 今日もあの子がいなきゃ、だいぶ苦労してた気がする。

 コウは使い物にならなかった。

 アイツ、毛ほども信じてくれてないんだ。

 クラスじゃ、1番仲がいいみたいなのに。


 「実際どうなん?」


 …どうって

 俺もよくわからん

 一之瀬さんはめちゃくちゃいい子だ。

 明るくて、変に真面目なところがあって、それなりに天然っ気がある。

 繊細な顔立ちからは想像もできないほど、大胆な側面も。

 昼休みの時なんか、俺の飲みさしのマスカットティーを「味見させて!」と言って飲み出した。

 普通にびっくりした。

 そんなことするような子には見えなかったから。


 「別に何もない」


 そう言う以外に無い。

 「俺」にとっちゃただのクラスメイトで、話しやすい女子って感じだ。

 ただこっちの「俺」は、なぜかデートの約束をしてる。

 それに関しては自分でもよくわからない。

 2人で映画だぞ!?

 何がどうなってそうなったんだ、まじで。
しおりを挟む

処理中です...