バッテリー

平木明日香

文字の大きさ
上 下
13 / 20
夏の始まり

第13話

しおりを挟む

 チチチ…


 小鳥が囀る音が聞こえて、思わず目を開けたんだ。

 どうやら、いつのまにか眠りについていたみたいだった。



 「ここは…?」



 見たことがある景色が、そばにあった。

 街へと続く川沿いの道。

 古びた電信柱が道なりに続いて、今ではもうやっていないレストランの廃屋が、緩やかなカーブの向こうに見えた。


 …でも、ここって…


 奇妙に感じたんだ。

 電車に乗って、北の方面に電車は動き始めた。

 線路がどこに続いていくかは、なんとなくわかってた。

 駅員さんは「3番線」と言っていた。

 だけど線路は、「2番線」に違いなかった。

 いつも乗ってたからわかるんだ。

 高校に通ってた線路だったから。
 
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

離婚活

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:13

あの日の約束

現代文学 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

儚く遠く、近いところから

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

左遷先の伯爵様が愛しすぎて帰れません。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:23

処理中です...