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マリエとイネス

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「ドレスデン侯爵様、お嬢様、ようこそいらっしゃいました」

「はじめまして、いつもマリエがお邪魔しているようで」

「こちらはありがたいですわ。
私はこの店のオーナーのユリティーナと申します。どうぞ、お見知りおきを」

「うむ」

「私はこの店に開店した頃入ったことがあるんだ。
人を捜していてね」

「えっ?あっ、そうなんですか……

今日はお嬢様のドレスをと言うお話でしたね」

(この方、サリーを捜していたのかしら……裏切っておいて何よ!
それにしても、どことなくミョーイと似ててサリーの言った通りだ。この人はミョーイの父親だと入ってきた瞬間わかった。ミョーイが今日隣町までドレスを届けに行ってて、遅くまで帰らなくて良かったわ)



「あぁ、マリエのドレスを作りたくてね。
裾辺りに刺繍もいれて欲しい。
そう、マリエと友達の…ミョーイ君と言ったかな?彼と挨拶したいと思っているのだが」

「ミョーイは今、お客様の所へ商品を届けに行ってて、帰りは遅くなります。そのお宅には学校で仲良くしているお嬢様がいて、夕食も用意していると言われ、遅くなる予定ですの。」


「「………」」

「じゃあ、こちらで採寸いたしましょうね」


「マリエ、用事が終わったら直ぐに帰ろうね」

「……ええ、ごめんなさい。」

「帰りにカフェに寄って行こう」

「はい、お父様」



(マリエは、片想いだったようだ
。恋をしているマリエはとても可愛らしく、見ている私も嬉しくなった……卒業パーティーのドレスを作ったら、もうこの店にはあまり来ない方が良いだろう)



「んっ?………この刺繍?

君、この刺繍は?」

「はい、これはうちの刺繍作家の作品ですが……」

「今いるかい?」

「いえ、たぶんこちらの作品は、トロリン村の本店にいる方のだと思いますが…うちの商品に刺繍している方で、店の主人の友達なんですよ。」


「………その人の……名前は?」


「お名前まではわかりかねます。
私は入ったばかりでして。
少し前にいらっしゃったのですが、とても美しい素敵な方でした。
ここにいるミョーイ君のお母様なんですよ。
余計な話すみません。」



「そうか。
わかった、ありがとう。これを1つもらえるか?」

「ありがとうございます」


(この刺繍、いや、間違いじゃない。サリーの刺繍だ。この図案見たことがある。この店に開店の時に来たがサリーの刺繍は無かったのに)

ドクッ、ドクッ

心臓の音が聞こえそうなくらいだ。

サリーは結婚して子供も産んでいたのか。

だが、確かめたい。会いたい。
トロリン村……早馬なら往復3日あれば行かれるか


「お父様?終わりました」

「あぁ、じゃあ娘のドレスをよろしく頼む」

「はい、お任せを。また連絡いたしますので」


「お客様、こちらをお持ちください。お買い上げ、ありがとうございます」


「あぁ、ありがとう」








「侯爵様、何かお買い上げしたの?」

「はい、こちらにあった刺繍したポーチを」


「!!!気がつかれた?まさか……サリーの刺繍した小物を奥に閉まった方が良かったか……手にとって何か聞かれた?」


「はい、この刺繍は?と。
いつもは本店にいらっしゃいます。ドレスデン様のお嬢様と仲良くされてるミョーイ君のお母様ですと伝えましたが……答えてはいけませんでしたか?」


「いえ、良いのよ」


まずい、まずいわ

でも、息子がいるとわかれば、結婚している人と勘違いしたかも。

帰り姿は来た時と変わらなかったし、もう彼の中では過ぎた話なのかもしれないわ










「マリエ、父は失恋したかもしれない」


「お父様、どうしたの?」

「ミョーイ君って言ったか?これはミョーイ君の母親の刺繍した物らしい。
私の捜してるサリーなんだと思う」

「えっ?ミョーイ君のお母様が?」

「まさか、結婚しているとはね。
そりゃ、そうだよな。俺だって結婚してたし。」

「お父様、お父様は私の母親に騙されて一緒になっただけじゃない。
私は母の日記を読んで許せなかった」

「マリエ、君の母はきっと死ぬ前、後悔していたんだよ。」

「でも、でも、お父様を騙して結婚するなんて」

「ミツリーにも事情があったんだ

そして、俺にもね。

だが、そのせいで私は愛するサリーを手放してしまった。」


「お父様、でもミョーイ君はお母様しかいないって言ってたわ」

「えっ?」

「僕には母しかいなくて、あの店のオーナーと知り合えて僕ら親子は助かったんだって言ってたわ」


「………マリエ、少し家を留守にして良いか?トロリン村にいる、ミョーイ君のお母様に会いに行ってくる。サリーではないかもしれないが、そうだったらと思うとじっとしていられない。」

「はい、行ってきてください。

お父様気をつけて」













「サリーさん、サリーさんに会いたいと言う人が来てますよー」


「えっ?誰かしら?」



「いらっしゃ……………イネス」



「サリー、やはり君が。やっと、やっと見つけられた」



ガバッ「サリー」





私は、そのまま意識を手放した




















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