12 / 24
マリエとイネス
しおりを挟む
「ドレスデン侯爵様、お嬢様、ようこそいらっしゃいました」
「はじめまして、いつもマリエがお邪魔しているようで」
「こちらはありがたいですわ。
私はこの店のオーナーのユリティーナと申します。どうぞ、お見知りおきを」
「うむ」
「私はこの店に開店した頃入ったことがあるんだ。
人を捜していてね」
「えっ?あっ、そうなんですか……
今日はお嬢様のドレスをと言うお話でしたね」
(この方、サリーを捜していたのかしら……裏切っておいて何よ!
それにしても、どことなくミョーイと似ててサリーの言った通りだ。この人はミョーイの父親だと入ってきた瞬間わかった。ミョーイが今日隣町までドレスを届けに行ってて、遅くまで帰らなくて良かったわ)
「あぁ、マリエのドレスを作りたくてね。
裾辺りに刺繍もいれて欲しい。
そう、マリエと友達の…ミョーイ君と言ったかな?彼と挨拶したいと思っているのだが」
「ミョーイは今、お客様の所へ商品を届けに行ってて、帰りは遅くなります。そのお宅には学校で仲良くしているお嬢様がいて、夕食も用意していると言われ、遅くなる予定ですの。」
「「………」」
「じゃあ、こちらで採寸いたしましょうね」
「マリエ、用事が終わったら直ぐに帰ろうね」
「……ええ、ごめんなさい。」
「帰りにカフェに寄って行こう」
「はい、お父様」
(マリエは、片想いだったようだ
。恋をしているマリエはとても可愛らしく、見ている私も嬉しくなった……卒業パーティーのドレスを作ったら、もうこの店にはあまり来ない方が良いだろう)
「んっ?………この刺繍?
君、この刺繍は?」
「はい、これはうちの刺繍作家の作品ですが……」
「今いるかい?」
「いえ、たぶんこちらの作品は、トロリン村の本店にいる方のだと思いますが…うちの商品に刺繍している方で、店の主人の友達なんですよ。」
「………その人の……名前は?」
「お名前まではわかりかねます。
私は入ったばかりでして。
少し前にいらっしゃったのですが、とても美しい素敵な方でした。
ここにいるミョーイ君のお母様なんですよ。
余計な話すみません。」
「そうか。
わかった、ありがとう。これを1つもらえるか?」
「ありがとうございます」
(この刺繍、いや、間違いじゃない。サリーの刺繍だ。この図案見たことがある。この店に開店の時に来たがサリーの刺繍は無かったのに)
ドクッ、ドクッ
心臓の音が聞こえそうなくらいだ。
サリーは結婚して子供も産んでいたのか。
だが、確かめたい。会いたい。
トロリン村……早馬なら往復3日あれば行かれるか
「お父様?終わりました」
「あぁ、じゃあ娘のドレスをよろしく頼む」
「はい、お任せを。また連絡いたしますので」
「お客様、こちらをお持ちください。お買い上げ、ありがとうございます」
「あぁ、ありがとう」
「侯爵様、何かお買い上げしたの?」
「はい、こちらにあった刺繍したポーチを」
「!!!気がつかれた?まさか……サリーの刺繍した小物を奥に閉まった方が良かったか……手にとって何か聞かれた?」
「はい、この刺繍は?と。
いつもは本店にいらっしゃいます。ドレスデン様のお嬢様と仲良くされてるミョーイ君のお母様ですと伝えましたが……答えてはいけませんでしたか?」
「いえ、良いのよ」
まずい、まずいわ
でも、息子がいるとわかれば、結婚している人と勘違いしたかも。
帰り姿は来た時と変わらなかったし、もう彼の中では過ぎた話なのかもしれないわ
「マリエ、父は失恋したかもしれない」
「お父様、どうしたの?」
「ミョーイ君って言ったか?これはミョーイ君の母親の刺繍した物らしい。
私の捜してるサリーなんだと思う」
「えっ?ミョーイ君のお母様が?」
「まさか、結婚しているとはね。
そりゃ、そうだよな。俺だって結婚してたし。」
「お父様、お父様は私の母親に騙されて一緒になっただけじゃない。
私は母の日記を読んで許せなかった」
「マリエ、君の母はきっと死ぬ前、後悔していたんだよ。」
「でも、でも、お父様を騙して結婚するなんて」
「ミツリーにも事情があったんだ
そして、俺にもね。
だが、そのせいで私は愛するサリーを手放してしまった。」
「お父様、でもミョーイ君はお母様しかいないって言ってたわ」
「えっ?」
「僕には母しかいなくて、あの店のオーナーと知り合えて僕ら親子は助かったんだって言ってたわ」
「………マリエ、少し家を留守にして良いか?トロリン村にいる、ミョーイ君のお母様に会いに行ってくる。サリーではないかもしれないが、そうだったらと思うとじっとしていられない。」
「はい、行ってきてください。
お父様気をつけて」
「サリーさん、サリーさんに会いたいと言う人が来てますよー」
「えっ?誰かしら?」
「いらっしゃ……………イネス」
「サリー、やはり君が。やっと、やっと見つけられた」
ガバッ「サリー」
私は、そのまま意識を手放した
「はじめまして、いつもマリエがお邪魔しているようで」
「こちらはありがたいですわ。
私はこの店のオーナーのユリティーナと申します。どうぞ、お見知りおきを」
「うむ」
「私はこの店に開店した頃入ったことがあるんだ。
人を捜していてね」
「えっ?あっ、そうなんですか……
今日はお嬢様のドレスをと言うお話でしたね」
(この方、サリーを捜していたのかしら……裏切っておいて何よ!
それにしても、どことなくミョーイと似ててサリーの言った通りだ。この人はミョーイの父親だと入ってきた瞬間わかった。ミョーイが今日隣町までドレスを届けに行ってて、遅くまで帰らなくて良かったわ)
「あぁ、マリエのドレスを作りたくてね。
裾辺りに刺繍もいれて欲しい。
そう、マリエと友達の…ミョーイ君と言ったかな?彼と挨拶したいと思っているのだが」
「ミョーイは今、お客様の所へ商品を届けに行ってて、帰りは遅くなります。そのお宅には学校で仲良くしているお嬢様がいて、夕食も用意していると言われ、遅くなる予定ですの。」
「「………」」
「じゃあ、こちらで採寸いたしましょうね」
「マリエ、用事が終わったら直ぐに帰ろうね」
「……ええ、ごめんなさい。」
「帰りにカフェに寄って行こう」
「はい、お父様」
(マリエは、片想いだったようだ
。恋をしているマリエはとても可愛らしく、見ている私も嬉しくなった……卒業パーティーのドレスを作ったら、もうこの店にはあまり来ない方が良いだろう)
「んっ?………この刺繍?
君、この刺繍は?」
「はい、これはうちの刺繍作家の作品ですが……」
「今いるかい?」
「いえ、たぶんこちらの作品は、トロリン村の本店にいる方のだと思いますが…うちの商品に刺繍している方で、店の主人の友達なんですよ。」
「………その人の……名前は?」
「お名前まではわかりかねます。
私は入ったばかりでして。
少し前にいらっしゃったのですが、とても美しい素敵な方でした。
ここにいるミョーイ君のお母様なんですよ。
余計な話すみません。」
「そうか。
わかった、ありがとう。これを1つもらえるか?」
「ありがとうございます」
(この刺繍、いや、間違いじゃない。サリーの刺繍だ。この図案見たことがある。この店に開店の時に来たがサリーの刺繍は無かったのに)
ドクッ、ドクッ
心臓の音が聞こえそうなくらいだ。
サリーは結婚して子供も産んでいたのか。
だが、確かめたい。会いたい。
トロリン村……早馬なら往復3日あれば行かれるか
「お父様?終わりました」
「あぁ、じゃあ娘のドレスをよろしく頼む」
「はい、お任せを。また連絡いたしますので」
「お客様、こちらをお持ちください。お買い上げ、ありがとうございます」
「あぁ、ありがとう」
「侯爵様、何かお買い上げしたの?」
「はい、こちらにあった刺繍したポーチを」
「!!!気がつかれた?まさか……サリーの刺繍した小物を奥に閉まった方が良かったか……手にとって何か聞かれた?」
「はい、この刺繍は?と。
いつもは本店にいらっしゃいます。ドレスデン様のお嬢様と仲良くされてるミョーイ君のお母様ですと伝えましたが……答えてはいけませんでしたか?」
「いえ、良いのよ」
まずい、まずいわ
でも、息子がいるとわかれば、結婚している人と勘違いしたかも。
帰り姿は来た時と変わらなかったし、もう彼の中では過ぎた話なのかもしれないわ
「マリエ、父は失恋したかもしれない」
「お父様、どうしたの?」
「ミョーイ君って言ったか?これはミョーイ君の母親の刺繍した物らしい。
私の捜してるサリーなんだと思う」
「えっ?ミョーイ君のお母様が?」
「まさか、結婚しているとはね。
そりゃ、そうだよな。俺だって結婚してたし。」
「お父様、お父様は私の母親に騙されて一緒になっただけじゃない。
私は母の日記を読んで許せなかった」
「マリエ、君の母はきっと死ぬ前、後悔していたんだよ。」
「でも、でも、お父様を騙して結婚するなんて」
「ミツリーにも事情があったんだ
そして、俺にもね。
だが、そのせいで私は愛するサリーを手放してしまった。」
「お父様、でもミョーイ君はお母様しかいないって言ってたわ」
「えっ?」
「僕には母しかいなくて、あの店のオーナーと知り合えて僕ら親子は助かったんだって言ってたわ」
「………マリエ、少し家を留守にして良いか?トロリン村にいる、ミョーイ君のお母様に会いに行ってくる。サリーではないかもしれないが、そうだったらと思うとじっとしていられない。」
「はい、行ってきてください。
お父様気をつけて」
「サリーさん、サリーさんに会いたいと言う人が来てますよー」
「えっ?誰かしら?」
「いらっしゃ……………イネス」
「サリー、やはり君が。やっと、やっと見つけられた」
ガバッ「サリー」
私は、そのまま意識を手放した
応援ありがとうございます!
3
お気に入りに追加
29
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる