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あ
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「僕が帰るまで待っていてくれるかい?」
「マイク、私はちゃんと待ってるわ」
そう約束してお別れしたのは4年前
マイクは貴族学院の寮へは入るため
此処、辺境の地を旅立った。
無事に卒業後、王宮で文官の書物を扱う部署で働き始めた。
学生の時は何度か帰って来たときに、町にデートに行っていたが、働き始めてからはなかなか帰って来なかった。
そんな秋も深まった頃、マイクの両親が我が家に訪ねてきた
「マイクがミニョンと結婚の約束をしていたことも知っている。
私達もそうなることを待っていたのだが、あいつはそれをすっかり忘れ、王都の伯爵令嬢と恋をし、婚姻したいと手紙で伝えてきた。
それも、もう子供がお腹にいると言う。
ミニョン嬢、ほんとにすまない。」
私は叔父様の言葉を、意識の遠くで聞いていた
(マイクは……私との約束を忘れてしまっていた。子供?)
私は静かに意識を集中させ、マイクの両親を見ていた
「ミニョン?」
母親が私に声をかけた
!!
「あっ、あの…………マイク様のご結婚、おめでとうございます」
そう伝えて、静かにその場を辞した
無事にマイクの結婚式が終わったと風の便りで聞いた
私はいつものように、領地を巡り領民に声をかけ、領地の教会へ行き併設している孤児院で子供達と遊び勉強を教えて邸に帰るを繰り返し過ごしていた。
ある時、我が邸にお客様がいらっしゃった。
隣国の大使をしている方数名で、領地で作られている果物を使った甘い特産品を求めていらっしゃった。
次いでに作り方も教えて欲しいと言う話だった。
その事業は私が主にしている事だったので、私が説明をし作り方を伝授することにした。
特産品でもあるが、その土地で作られる果物も違うこともあり、同じにはならない。
なので、我が領地ではなくても栄えることを願う気持ちは同じである。
領民が幸せに過ごせるよう、孤児が増えないのであれば、それに越したことはない。
私は丁寧に製法を教えて、また紙にも書いて渡した。
何日間一緒に作り、いよいよ帰ると言うときに、大使の中の1人の方に話しかけられた。
「ミニョン嬢は、好きな方がいますか?」
「えっ?あの、私には好きな方はいません。
いえ、いたと言った方が良いかもしれません。
子供がの頃の約束を信じ、ずっと待っていた方がおりました。
ですが、その方はそんな約束をすっかり忘れ、愛しい方と会われ結婚されました。
もう過ぎた事ですが………幸せにしてらっしゃいます。」
「そうですか。
今回は視察も終わりましたので帰りますが、またミニョン嬢に会いに来てもよろしいでしか?
私はどうも、あなたに恋をしているらしい」
「えっ?」
「会いに来てもよろしいか?」
「ふっ、そうですね。そちらでできた試作品、楽しみに待ってます」
「……そうですね」と笑って行かれた。
それから暫くした頃、1人の女性が私に会いに来た
玄関ホールに向かい顔を見たが、覚えがない
「あの、私がミニョンですが、どちら様でしょうか?」
「あなたがミニョン様?
そう……貴方がね」
「?」
「私はサレーダ伯爵令息の妻、ナタリーよ」
「サレーダ?マイク様の……そうですか。で、今日は私に何かご用で?
」
「失礼する!ナタリー!!」
「あぁ、マイクゥー」
「君はどうしたの?何故ここに来たの?」
「だって、だって、私が貴方をこの人から奪ったから謝ろうと」
「何を言ってるんだい。そんなことない。謝る必要なんてないんだ。
さぁ、帰るよ」
私は呆然としてしまった
馬車に奥様を乗せて、マイク様はまた玄関にいらっしゃった。
「すまないね。両親から君の事を聞いたらしく、それから少し喧嘩をして。気がついたら馬車に乗っていなくなってしまった。たぶん、此処へ来たのだろうと思って来てみたら。すまない」
「いえ、此方へいらっしゃっていたのですね」
「あぁ。昨日着いたんだ。
……その、僕は覚えていたんだ。君へ言った言葉は。だが、子供の時の事だし、たぶん君は忘れているだろうと思ったし、ナタリーと会って舞い上がってしまったことも確かで。ずっと待っていてくれたと聞いた。
すまなかった」
「いえ、私の事はお気遣いなく」
「結婚してから、ナタリーは変わってしまったんだ。子供もね、今なら何故できたのか………いや、自分のしでかしたことだ。しっかり守って生きていくつもりだ。君を裏切った僕の運命だ。どうか、君は幸せになって欲しい」
そう言ってマイク様は帰っていった
その日私はずっとマイク様のことを考えていた。
久しぶりに会ったマイク様は前と変わらず穏やかな雰囲気だった。
だが、いつの間にか私の恋心は消えていたらしく、会っても心は傷まなかった。
「マイク、私はちゃんと待ってるわ」
そう約束してお別れしたのは4年前
マイクは貴族学院の寮へは入るため
此処、辺境の地を旅立った。
無事に卒業後、王宮で文官の書物を扱う部署で働き始めた。
学生の時は何度か帰って来たときに、町にデートに行っていたが、働き始めてからはなかなか帰って来なかった。
そんな秋も深まった頃、マイクの両親が我が家に訪ねてきた
「マイクがミニョンと結婚の約束をしていたことも知っている。
私達もそうなることを待っていたのだが、あいつはそれをすっかり忘れ、王都の伯爵令嬢と恋をし、婚姻したいと手紙で伝えてきた。
それも、もう子供がお腹にいると言う。
ミニョン嬢、ほんとにすまない。」
私は叔父様の言葉を、意識の遠くで聞いていた
(マイクは……私との約束を忘れてしまっていた。子供?)
私は静かに意識を集中させ、マイクの両親を見ていた
「ミニョン?」
母親が私に声をかけた
!!
「あっ、あの…………マイク様のご結婚、おめでとうございます」
そう伝えて、静かにその場を辞した
無事にマイクの結婚式が終わったと風の便りで聞いた
私はいつものように、領地を巡り領民に声をかけ、領地の教会へ行き併設している孤児院で子供達と遊び勉強を教えて邸に帰るを繰り返し過ごしていた。
ある時、我が邸にお客様がいらっしゃった。
隣国の大使をしている方数名で、領地で作られている果物を使った甘い特産品を求めていらっしゃった。
次いでに作り方も教えて欲しいと言う話だった。
その事業は私が主にしている事だったので、私が説明をし作り方を伝授することにした。
特産品でもあるが、その土地で作られる果物も違うこともあり、同じにはならない。
なので、我が領地ではなくても栄えることを願う気持ちは同じである。
領民が幸せに過ごせるよう、孤児が増えないのであれば、それに越したことはない。
私は丁寧に製法を教えて、また紙にも書いて渡した。
何日間一緒に作り、いよいよ帰ると言うときに、大使の中の1人の方に話しかけられた。
「ミニョン嬢は、好きな方がいますか?」
「えっ?あの、私には好きな方はいません。
いえ、いたと言った方が良いかもしれません。
子供がの頃の約束を信じ、ずっと待っていた方がおりました。
ですが、その方はそんな約束をすっかり忘れ、愛しい方と会われ結婚されました。
もう過ぎた事ですが………幸せにしてらっしゃいます。」
「そうですか。
今回は視察も終わりましたので帰りますが、またミニョン嬢に会いに来てもよろしいでしか?
私はどうも、あなたに恋をしているらしい」
「えっ?」
「会いに来てもよろしいか?」
「ふっ、そうですね。そちらでできた試作品、楽しみに待ってます」
「……そうですね」と笑って行かれた。
それから暫くした頃、1人の女性が私に会いに来た
玄関ホールに向かい顔を見たが、覚えがない
「あの、私がミニョンですが、どちら様でしょうか?」
「あなたがミニョン様?
そう……貴方がね」
「?」
「私はサレーダ伯爵令息の妻、ナタリーよ」
「サレーダ?マイク様の……そうですか。で、今日は私に何かご用で?
」
「失礼する!ナタリー!!」
「あぁ、マイクゥー」
「君はどうしたの?何故ここに来たの?」
「だって、だって、私が貴方をこの人から奪ったから謝ろうと」
「何を言ってるんだい。そんなことない。謝る必要なんてないんだ。
さぁ、帰るよ」
私は呆然としてしまった
馬車に奥様を乗せて、マイク様はまた玄関にいらっしゃった。
「すまないね。両親から君の事を聞いたらしく、それから少し喧嘩をして。気がついたら馬車に乗っていなくなってしまった。たぶん、此処へ来たのだろうと思って来てみたら。すまない」
「いえ、此方へいらっしゃっていたのですね」
「あぁ。昨日着いたんだ。
……その、僕は覚えていたんだ。君へ言った言葉は。だが、子供の時の事だし、たぶん君は忘れているだろうと思ったし、ナタリーと会って舞い上がってしまったことも確かで。ずっと待っていてくれたと聞いた。
すまなかった」
「いえ、私の事はお気遣いなく」
「結婚してから、ナタリーは変わってしまったんだ。子供もね、今なら何故できたのか………いや、自分のしでかしたことだ。しっかり守って生きていくつもりだ。君を裏切った僕の運命だ。どうか、君は幸せになって欲しい」
そう言ってマイク様は帰っていった
その日私はずっとマイク様のことを考えていた。
久しぶりに会ったマイク様は前と変わらず穏やかな雰囲気だった。
だが、いつの間にか私の恋心は消えていたらしく、会っても心は傷まなかった。
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