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忘れていたのに 忘れられなかった
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忘れていたのに
忘れていたかったのに
私はおとなしく何をやらせても平凡
いや、それ以下かもしれない
容姿もパッとしない
……………………………………
15になり魔法学園に入学した
1年生はまだ学力別ではないので学力も混ぜこぜクラス。
王都から通う者、辺境から来る者、だから初めましてが多い
最初は気がつかなかったが、1人抜き出た輝きのある人がいることに1か月過ぎた頃気がつく。
その人は背が高く、顔は男なのに綺麗な顔をしていた。
成績も良さそうで、教師からの受け答えもはっきりとし、魔法の腕も剣の腕も良いらしい
容姿端麗、何でもござれ
私とは住む世界が違うな。
だからといって、自分が何か彼の側にいようとなんて思ってもいない私。
勉強も嫌いだし、何をやらせてもうまくいかない。
友達はいるし、何もできなくても平気でいた。
「綺麗な顔だなぁ。唇なんて赤くて女の子より綺麗~。マリウス君、ずっと見ていたい」と、誰かがいっている。
そうね。ほんとに、羨ましい。
クラスの女の子、他のクラスの女の子、皆の目が彼にいっている
そうだろう、これほど綺麗な顔をしていれば……
何を隠そう、私も隠れ惚れている。
だが、雲の上の人。
向上心も彼の側にいたいと思っても流され生きている私には、彼の目にとまることもない。
そうして1年が過ぎ成績順のクラス替えが行われ………
マリウス君は…Aクラス
私は………Cクラス
もう覚えてもらうこともできず、さよならだった
3年になっても何も変わらず……
たまに廊下ですれ違う、食堂ですれ違う、移動教室ですれ違う。
いつもマリウス君の側には仲良し男女がいる。
それも皆、最高位の輝かしい人達。
生徒会のメンバーが、今日も向こうから歩いてくる。
自ずと横に避ける平凡な私達。
通りすぎる時、チラッと見るのが至福の時。
でも……いつも彼の隣には、この国の第三王女、サラサ王女がいる。
美男美女で楽しそうに私の横を通りすぎる。
会う度に、胸が痛い
なら、何故にもっと頑張らなかった?
やればできるだろう?何故に反復の精神で頑張らなかった?
そうしたら、あの中にいられたかもしれない。
側で名前も覚えられてたかもしれない
失恋は自分が興した事だろう?
なのに、心の中だけは夢をみる。
笑えてくる
頑張って近くにいたい!一目でも、挨拶だけでもしたかったら頑張れば良かったじゃん。
いつも頭の中が靄がかかってるのか?
なんも努力しなかったのに、心の夢の中で彼との夢を見る。
ふっ、今さらだ。
卒業式………生徒会長の彼が別れの挨拶をしている
彼は王都の大学へ行く
私は地方の魔法薬局へ勤めることが決まった。
今日で最後
彼の顔をずーっと見ていた。
歩く姿を目で追った
「さようなら、マリウス君」小さく呟く
自分がそうした人生
彼の側にいたいと思っても、努力もせず頑張らなかった私の人生
「さようなら、マリウス君」
私はまた小さな声で囁く
卒業式も終わり、私は友達と最後にカフェに寄る
明るく何も気にしてないように楽しく過ごす。
「ミラン、王都に来たら会おうね!」
「そうだよ!何であんな遠い所に決めたのよ!全然会えないじゃん」
そう、友達らが言ってくる
ありがとう
「うん、帰ってきたら会おうね!」
そう約束する私。
卒業して、休みになると王都に来ては友達と過ごした
「マリウス君、聞いた?大学でも有名人で、皇太子の側近に内定したって!
そして案の定、サラサ王女と婚約が決まりそうだってよ。」
「じゃあ、嫡男のマリウス君の所へ嫁下するのね。公爵夫人になるんだねぇ。」
「隣国の王子の所へ行くんだと思ったけど、やはり惚れてたってことだね。」
「そう、愛は勝つって事ね!」
それを聞きながら、私の心はまた暗くなる。
胸が痛い。。
「ミラン、失恋だね」
「えっ?」
「わかってたよ。好きだったんでしょ?私達にはお見通し。」
「うん。でも、そっと見てるミランは、可愛かったよ」
「だから、あんな遠い所へ行ったんだよね?」
「みんな………」
私は初めて皆の前で涙した
「ありがとう、みんな」
薬局で回復ポーションを作っていた時、
急にメラメラと仕事が面白くなってきた
ポーション作りも良いけれど、今問題になってる精神を錯乱させる邪に効く解毒剤が作れる薬草が目の前にあることに気がつく。
「この薬草にアコスの種と、魚介の………そうだ!あれを使えば……」
仕事の休憩時間など利用して研究室で試作品を作る
薬師の先輩に見てもらいながら共同で作ること1年が過ぎた頃……
先輩が「できたんじゃないか?」そう言った
「えっ?」
「よし!厩舎にいる癇癪ばかり起して殺処分してくれと言われている、あの馬に試してみよう」
「大丈夫かしら?」
「今より悪くなることはないよ」
「そうね、これであの子が救われるなら」
結果、薬を試したら、癇癪ばかりおこして人間に怪我ばかりさせてた馬が平常心になり、普通に接しられるようになった。
1年の経過観察を過ぎ……私達の研究していた薬が王宮薬師に認められた
「やったな!ミラン」
「はい!先輩のお陰です。いつも家族の時間を削って付き合って頂いて、ありがとうございました。これからも研究頑張ります!
アーヤちゃんと奥様にもにもよろしく伝えてください」
「あぁ、俺も楽しかったよ。
さて帰ってアーヤと遊ぶとしよう」
私達の作った薬が、量産されるようになった。
怪我のせいで神経痛に苦しんでいた人達や不安定な動物にも効果があり、そして今日、王宮から詳しく知りたいと薬師と宰相が訪ねて来ることになった。
視察は先輩が説明してくれると言うので、売れ行き回復ポーションと、私が薬草を混ぜ合わせて作った別名「ミラン安眠ポーション」を作っていた。
視察の人が部屋に入って来た。
私の近くを通った人に「ミラン嬢?」と声をかけられた
「えっ?」と顔を上げたら
そこには………何年かぶりに会う
マリウス様がいた
「なんで?私の名前を……覚えて……」
「知ってるに決まってる。俺達クラス一緒だっただろう?それに、君が王都に来る度に友達に渡していた回復ポーション、俺も飲んでたし」
「はい?」
「君の友達、ローマン伯爵令嬢が俺の友達、キリヤンの婚約者なんだよ。あんまり俺が疲れてる顔してるから、文官のキリヤンから飲んでみろと、もらったんだ。
まずポーションと違って、君のは飲みやすくて、君のポーションファンになったくらいだ。それから王都に送ってもらっていたけど、気がつかなかった?」
「確かに、伯爵家からの注文頂いて送ってましたけど、名前が」
「あっ、そうそう、そこへ俺が養子に入ったからね」
(なぬ?何故に公爵家から伯爵家に養子?嫡男だったよね?)
「ふっ、ミランは面白いな。不思議が顔に書いてあるようだ。養子は、あることを回避するためさ」
「なぬ?あら、失礼」
それからマリウス様は忙しい宰相の仕事があるのに、
何故か私のポーションを求めて、度々私の勤めている魔法薬局に訪ねてきた
そして………
私は今、王都にこじんまりした薬局を家続きの所へ開業した。
売りは、回復ポーションと安眠ポーション。癒し効果のある薬草茶も作って好評だ。
特に私の旦那様が勤めている王宮からの、注文は凄まじい。
どれだけ皆、疲れているんだ?と思うほどである。
私は仕事と、家の(簡単な)執務と大忙し。
「ママ、お腹ちゅいた」
「トウマ、ごめーん。お昼なのね。
さぁ、おばあちゃまと食べましょう」
そう、私には愛する人との子供がいる
そして、2人目が今お腹にいる。
あんなに平凡だ。なんも秀でたところがないと卑下した自分だが、人生何があるかわからない。
自分の得意としているものが見つかり、
それが自分の一生の仕事となった。
それに信じられないご褒美まで。
「ミラン、帰ったよ」
「あなた、お帰りなさい。」
「今日はどう?無理してないか?」
「いいえ、全然。でも回復ポーション、売り切れちゃったわ。
あなたが帰ってきてくれたから、ちよっと頑張って二三日分まとめて作るわね」
「大事な身体だから無理するなよ。
じゃあ、トウマ見てくるよ」
ふふっ、いつ見ても見惚れてしまう旦那様だわ。
元ローマン伯爵令嬢、キリヤン様と婚姻したアリヤが会いに来た
「ミラン、凄いじゃない!仕事も順調らしいし。でも、1番は貴方の好きなマリウス様と結婚したことね!妬けるわ!おめでとう」
友達の言葉に、幸せ涙がでた
人生、生きていれば何があるかわからない
…………………………
マリウス
毎日の激務に疲れ、もう休まなくてはダメだと友達から言われ、勧められた回復ポーションを飲んだ。飲んだ途端、あまりの快適に過ごせた俺は、誰が作ったんだ?とキリヤンに訪ねて聞いた。そして同級生のミランに行きついた。
魔法学園1年の時の同級生。
彼女は、そうクラスでもおとなしく、話したことはないが嫌いな雰囲気ではなかったな。
あの、うるさ……王女とは違い
ある時、親から人伝に聞いたがと、サラサ王女と婚約の話があるという。
ありえない!!
まだ打診がきたわけじゃない。
これは逃げるが勝ちだ
俺は王女が嫁下するのには無理だろうという位まで下げることにした。
公爵家の嫡男から、伯爵家の養子に入った。子供がいない叔父上は大喜び。
書類を出したが、印を決済する書類にまぎれこませ、王は気がつかず印を押した。
我が親も「あの我が儘王女が来てしまう」と、気にしていたので、嫡男の俺を逃がしてくれた。感謝しかない
回復ポーションを飲みながら………ミラン嬢は話したことはないが、廊下や食堂ですれ違う時、楽しそうに友達と笑っている顔が少し気になっていた。
その彼女が薬師と共同で開発した薬が認められ、画期的な薬草薬ができた聞く。
「何年ぶりだろうか、会ってみたいな」
視察という名で時間を取りつけた。
久しぶりに見るミラン嬢は、相変わらず俺を穏やかにする彼女の愛らしい顔だった。
伯爵家に入った俺を、どうにかしようと、が策する我が儘王女。
冗談じゃない!!
結婚するなら、ミランのような包み込む雰囲気のある女性がいい。
我が儘王女から逃げるように、時間を作ればミランに会いに行き、ミランが戸惑っているうち、あれよあれよと婚約を取りつけた。
聞きつけた王女が俺のいる執務室へ飛び込んで来て、
「なんで?マリウスは私のものでしょう!誰よ!私から奪おうなんていう下衆な女は!!」
「あぁ?ふざけるな!俺の愛する彼女のことを下衆だと?」
俺の怒りは頂点に達した
「ひっ!」青くなった王女は、
「マリウスが変わった」と言いながら逃げていった。
それからも、王からも、王太子からも
考え直してサラサを嫁にしろ!と印だって押したつもりはない!と、散々言われたが、どれだけ俺が学生の時から我が儘につきあわされたか。どれだけ友人を失ったかを箇条書きのように述べ、結婚でもしたら、仕事には来れなくなるし、俺という人間が壊れると述べ、それほどまで嫌なんだと納得?させた。
我が儘王女は、諦められず執務室の侍女に惚れ薬入りの紅茶を出すよう命じたようだ。ほどなくして王女が、「マリウス~」と、クネクネしながら執務室にノックもせず入ってきた。
冷めた目で見ていた俺に王女は、固まってギギギギっと向きを変え出ていった。ザマーミロだ
廊下から「なんで?なんで?」と王女が
騒いでいる。うるさい!
宰相の執務室に顔を青くしながら紅茶を運んできた侍女を見れば、何か入れたか?と警戒するだろう?
俺のミランちゃんが作った精神系に効くという解毒剤を慌てて水で飲んだ。
だから、王女が入ってきた時に紅茶を飲んでいても、冷めた目で見れた。
ミランっ、流石!!
俺は絶対にあの王女に屈しない!!
そして、晴れてミランと婚姻することができた。
仕事がはかどる!早く帰れる!
ミランに会える!ミランが真っ赤な顔で俺を見る!ミランを抱ける!幸せだ!
子供ができた!ミランが毎日俺を見ては真っ赤な顔をする!幸せだ!
そして、2人目ができた!幸せだ。
世間は俺を、見目も中身もできた人間だという
だが、俺の唯一の奥様は、もう俺の事を世間の人様ように見ていない。
そう、俺は、俺の素が見せれる奥様と結婚できたこと幸せに思う。
「ミランちゃーん」
「ゲッ、マリウス、今日は許して!疲れてるの!!」
(あの、遠くから見ていたマリウスは……何処いったの??)
「イヤーッ」
今日も愛され疲れのミランがマリウスから逃げる音が、若夫婦の寝室から聞こえて来たのを、子守唄のように寝入る伯爵邸の人達であった。
忘れていたかったのに
私はおとなしく何をやらせても平凡
いや、それ以下かもしれない
容姿もパッとしない
……………………………………
15になり魔法学園に入学した
1年生はまだ学力別ではないので学力も混ぜこぜクラス。
王都から通う者、辺境から来る者、だから初めましてが多い
最初は気がつかなかったが、1人抜き出た輝きのある人がいることに1か月過ぎた頃気がつく。
その人は背が高く、顔は男なのに綺麗な顔をしていた。
成績も良さそうで、教師からの受け答えもはっきりとし、魔法の腕も剣の腕も良いらしい
容姿端麗、何でもござれ
私とは住む世界が違うな。
だからといって、自分が何か彼の側にいようとなんて思ってもいない私。
勉強も嫌いだし、何をやらせてもうまくいかない。
友達はいるし、何もできなくても平気でいた。
「綺麗な顔だなぁ。唇なんて赤くて女の子より綺麗~。マリウス君、ずっと見ていたい」と、誰かがいっている。
そうね。ほんとに、羨ましい。
クラスの女の子、他のクラスの女の子、皆の目が彼にいっている
そうだろう、これほど綺麗な顔をしていれば……
何を隠そう、私も隠れ惚れている。
だが、雲の上の人。
向上心も彼の側にいたいと思っても流され生きている私には、彼の目にとまることもない。
そうして1年が過ぎ成績順のクラス替えが行われ………
マリウス君は…Aクラス
私は………Cクラス
もう覚えてもらうこともできず、さよならだった
3年になっても何も変わらず……
たまに廊下ですれ違う、食堂ですれ違う、移動教室ですれ違う。
いつもマリウス君の側には仲良し男女がいる。
それも皆、最高位の輝かしい人達。
生徒会のメンバーが、今日も向こうから歩いてくる。
自ずと横に避ける平凡な私達。
通りすぎる時、チラッと見るのが至福の時。
でも……いつも彼の隣には、この国の第三王女、サラサ王女がいる。
美男美女で楽しそうに私の横を通りすぎる。
会う度に、胸が痛い
なら、何故にもっと頑張らなかった?
やればできるだろう?何故に反復の精神で頑張らなかった?
そうしたら、あの中にいられたかもしれない。
側で名前も覚えられてたかもしれない
失恋は自分が興した事だろう?
なのに、心の中だけは夢をみる。
笑えてくる
頑張って近くにいたい!一目でも、挨拶だけでもしたかったら頑張れば良かったじゃん。
いつも頭の中が靄がかかってるのか?
なんも努力しなかったのに、心の夢の中で彼との夢を見る。
ふっ、今さらだ。
卒業式………生徒会長の彼が別れの挨拶をしている
彼は王都の大学へ行く
私は地方の魔法薬局へ勤めることが決まった。
今日で最後
彼の顔をずーっと見ていた。
歩く姿を目で追った
「さようなら、マリウス君」小さく呟く
自分がそうした人生
彼の側にいたいと思っても、努力もせず頑張らなかった私の人生
「さようなら、マリウス君」
私はまた小さな声で囁く
卒業式も終わり、私は友達と最後にカフェに寄る
明るく何も気にしてないように楽しく過ごす。
「ミラン、王都に来たら会おうね!」
「そうだよ!何であんな遠い所に決めたのよ!全然会えないじゃん」
そう、友達らが言ってくる
ありがとう
「うん、帰ってきたら会おうね!」
そう約束する私。
卒業して、休みになると王都に来ては友達と過ごした
「マリウス君、聞いた?大学でも有名人で、皇太子の側近に内定したって!
そして案の定、サラサ王女と婚約が決まりそうだってよ。」
「じゃあ、嫡男のマリウス君の所へ嫁下するのね。公爵夫人になるんだねぇ。」
「隣国の王子の所へ行くんだと思ったけど、やはり惚れてたってことだね。」
「そう、愛は勝つって事ね!」
それを聞きながら、私の心はまた暗くなる。
胸が痛い。。
「ミラン、失恋だね」
「えっ?」
「わかってたよ。好きだったんでしょ?私達にはお見通し。」
「うん。でも、そっと見てるミランは、可愛かったよ」
「だから、あんな遠い所へ行ったんだよね?」
「みんな………」
私は初めて皆の前で涙した
「ありがとう、みんな」
薬局で回復ポーションを作っていた時、
急にメラメラと仕事が面白くなってきた
ポーション作りも良いけれど、今問題になってる精神を錯乱させる邪に効く解毒剤が作れる薬草が目の前にあることに気がつく。
「この薬草にアコスの種と、魚介の………そうだ!あれを使えば……」
仕事の休憩時間など利用して研究室で試作品を作る
薬師の先輩に見てもらいながら共同で作ること1年が過ぎた頃……
先輩が「できたんじゃないか?」そう言った
「えっ?」
「よし!厩舎にいる癇癪ばかり起して殺処分してくれと言われている、あの馬に試してみよう」
「大丈夫かしら?」
「今より悪くなることはないよ」
「そうね、これであの子が救われるなら」
結果、薬を試したら、癇癪ばかりおこして人間に怪我ばかりさせてた馬が平常心になり、普通に接しられるようになった。
1年の経過観察を過ぎ……私達の研究していた薬が王宮薬師に認められた
「やったな!ミラン」
「はい!先輩のお陰です。いつも家族の時間を削って付き合って頂いて、ありがとうございました。これからも研究頑張ります!
アーヤちゃんと奥様にもにもよろしく伝えてください」
「あぁ、俺も楽しかったよ。
さて帰ってアーヤと遊ぶとしよう」
私達の作った薬が、量産されるようになった。
怪我のせいで神経痛に苦しんでいた人達や不安定な動物にも効果があり、そして今日、王宮から詳しく知りたいと薬師と宰相が訪ねて来ることになった。
視察は先輩が説明してくれると言うので、売れ行き回復ポーションと、私が薬草を混ぜ合わせて作った別名「ミラン安眠ポーション」を作っていた。
視察の人が部屋に入って来た。
私の近くを通った人に「ミラン嬢?」と声をかけられた
「えっ?」と顔を上げたら
そこには………何年かぶりに会う
マリウス様がいた
「なんで?私の名前を……覚えて……」
「知ってるに決まってる。俺達クラス一緒だっただろう?それに、君が王都に来る度に友達に渡していた回復ポーション、俺も飲んでたし」
「はい?」
「君の友達、ローマン伯爵令嬢が俺の友達、キリヤンの婚約者なんだよ。あんまり俺が疲れてる顔してるから、文官のキリヤンから飲んでみろと、もらったんだ。
まずポーションと違って、君のは飲みやすくて、君のポーションファンになったくらいだ。それから王都に送ってもらっていたけど、気がつかなかった?」
「確かに、伯爵家からの注文頂いて送ってましたけど、名前が」
「あっ、そうそう、そこへ俺が養子に入ったからね」
(なぬ?何故に公爵家から伯爵家に養子?嫡男だったよね?)
「ふっ、ミランは面白いな。不思議が顔に書いてあるようだ。養子は、あることを回避するためさ」
「なぬ?あら、失礼」
それからマリウス様は忙しい宰相の仕事があるのに、
何故か私のポーションを求めて、度々私の勤めている魔法薬局に訪ねてきた
そして………
私は今、王都にこじんまりした薬局を家続きの所へ開業した。
売りは、回復ポーションと安眠ポーション。癒し効果のある薬草茶も作って好評だ。
特に私の旦那様が勤めている王宮からの、注文は凄まじい。
どれだけ皆、疲れているんだ?と思うほどである。
私は仕事と、家の(簡単な)執務と大忙し。
「ママ、お腹ちゅいた」
「トウマ、ごめーん。お昼なのね。
さぁ、おばあちゃまと食べましょう」
そう、私には愛する人との子供がいる
そして、2人目が今お腹にいる。
あんなに平凡だ。なんも秀でたところがないと卑下した自分だが、人生何があるかわからない。
自分の得意としているものが見つかり、
それが自分の一生の仕事となった。
それに信じられないご褒美まで。
「ミラン、帰ったよ」
「あなた、お帰りなさい。」
「今日はどう?無理してないか?」
「いいえ、全然。でも回復ポーション、売り切れちゃったわ。
あなたが帰ってきてくれたから、ちよっと頑張って二三日分まとめて作るわね」
「大事な身体だから無理するなよ。
じゃあ、トウマ見てくるよ」
ふふっ、いつ見ても見惚れてしまう旦那様だわ。
元ローマン伯爵令嬢、キリヤン様と婚姻したアリヤが会いに来た
「ミラン、凄いじゃない!仕事も順調らしいし。でも、1番は貴方の好きなマリウス様と結婚したことね!妬けるわ!おめでとう」
友達の言葉に、幸せ涙がでた
人生、生きていれば何があるかわからない
…………………………
マリウス
毎日の激務に疲れ、もう休まなくてはダメだと友達から言われ、勧められた回復ポーションを飲んだ。飲んだ途端、あまりの快適に過ごせた俺は、誰が作ったんだ?とキリヤンに訪ねて聞いた。そして同級生のミランに行きついた。
魔法学園1年の時の同級生。
彼女は、そうクラスでもおとなしく、話したことはないが嫌いな雰囲気ではなかったな。
あの、うるさ……王女とは違い
ある時、親から人伝に聞いたがと、サラサ王女と婚約の話があるという。
ありえない!!
まだ打診がきたわけじゃない。
これは逃げるが勝ちだ
俺は王女が嫁下するのには無理だろうという位まで下げることにした。
公爵家の嫡男から、伯爵家の養子に入った。子供がいない叔父上は大喜び。
書類を出したが、印を決済する書類にまぎれこませ、王は気がつかず印を押した。
我が親も「あの我が儘王女が来てしまう」と、気にしていたので、嫡男の俺を逃がしてくれた。感謝しかない
回復ポーションを飲みながら………ミラン嬢は話したことはないが、廊下や食堂ですれ違う時、楽しそうに友達と笑っている顔が少し気になっていた。
その彼女が薬師と共同で開発した薬が認められ、画期的な薬草薬ができた聞く。
「何年ぶりだろうか、会ってみたいな」
視察という名で時間を取りつけた。
久しぶりに見るミラン嬢は、相変わらず俺を穏やかにする彼女の愛らしい顔だった。
伯爵家に入った俺を、どうにかしようと、が策する我が儘王女。
冗談じゃない!!
結婚するなら、ミランのような包み込む雰囲気のある女性がいい。
我が儘王女から逃げるように、時間を作ればミランに会いに行き、ミランが戸惑っているうち、あれよあれよと婚約を取りつけた。
聞きつけた王女が俺のいる執務室へ飛び込んで来て、
「なんで?マリウスは私のものでしょう!誰よ!私から奪おうなんていう下衆な女は!!」
「あぁ?ふざけるな!俺の愛する彼女のことを下衆だと?」
俺の怒りは頂点に達した
「ひっ!」青くなった王女は、
「マリウスが変わった」と言いながら逃げていった。
それからも、王からも、王太子からも
考え直してサラサを嫁にしろ!と印だって押したつもりはない!と、散々言われたが、どれだけ俺が学生の時から我が儘につきあわされたか。どれだけ友人を失ったかを箇条書きのように述べ、結婚でもしたら、仕事には来れなくなるし、俺という人間が壊れると述べ、それほどまで嫌なんだと納得?させた。
我が儘王女は、諦められず執務室の侍女に惚れ薬入りの紅茶を出すよう命じたようだ。ほどなくして王女が、「マリウス~」と、クネクネしながら執務室にノックもせず入ってきた。
冷めた目で見ていた俺に王女は、固まってギギギギっと向きを変え出ていった。ザマーミロだ
廊下から「なんで?なんで?」と王女が
騒いでいる。うるさい!
宰相の執務室に顔を青くしながら紅茶を運んできた侍女を見れば、何か入れたか?と警戒するだろう?
俺のミランちゃんが作った精神系に効くという解毒剤を慌てて水で飲んだ。
だから、王女が入ってきた時に紅茶を飲んでいても、冷めた目で見れた。
ミランっ、流石!!
俺は絶対にあの王女に屈しない!!
そして、晴れてミランと婚姻することができた。
仕事がはかどる!早く帰れる!
ミランに会える!ミランが真っ赤な顔で俺を見る!ミランを抱ける!幸せだ!
子供ができた!ミランが毎日俺を見ては真っ赤な顔をする!幸せだ!
そして、2人目ができた!幸せだ。
世間は俺を、見目も中身もできた人間だという
だが、俺の唯一の奥様は、もう俺の事を世間の人様ように見ていない。
そう、俺は、俺の素が見せれる奥様と結婚できたこと幸せに思う。
「ミランちゃーん」
「ゲッ、マリウス、今日は許して!疲れてるの!!」
(あの、遠くから見ていたマリウスは……何処いったの??)
「イヤーッ」
今日も愛され疲れのミランがマリウスから逃げる音が、若夫婦の寝室から聞こえて来たのを、子守唄のように寝入る伯爵邸の人達であった。
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そして、名前間違い教えてくださりありがとうございます。
温かな感想に、嬉しくなりました。
ハッピーエンドではなく、恋しい気持ちのまま終わらそうとも思いましたが、苦しい気持ちって辛いものです。
なので、変更してハッピーエンドにもっていきました。
そして、マリウスも温かな男性として最後は書かせてもらいました。
完璧ではなく、最後はどこにでもいる妻を溺愛する男性。
連載も悩みながら書いているところです。また立ち寄って頂けたら嬉しいです
ありがとうございました。