山之神

TAKA

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霧山村

親方様

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「えー、では、巽さんをお迎えして、今夜は楽しみましょう。では乾杯」

 村長が乾杯の音頭を取り歓迎会が始まった。参加者は村の主だった人達とのことだった。知った顔は村長の谷と役場の大森の二人で、その他は校長の田中と駐在の西田、村の山で林業を営む黒澤と名乗った。

 校長の田中は村長の谷と双子のように瓜二つだった。駐在の西田は落ち着いた感じの40代位の人物で背が高く男前だった。林業の黒澤は鼠に似た顔の小柄な男で林業のような力仕事をしている人には見えなかった。

 これで全員ではなく左隣の席はまだ空いていたが、宴会はそのまま進んで行った。

 「いやあ、外の人が来るのは本当に嬉しい。いいことだ。うん、いいことだ」

 村長の谷が酔った顔で同じことを何度も言った。その度に校長の田中が大きく相づちを打った。頷くタイミングなどはまるで合わせ鏡を見るように一緒だった。

ーーーガラ

 廊下との間を仕切っていた硝子障子が突然開いた。

「えっ」

 それと同時に今までの騒ぎが嘘のように皆が黙り一斉に正座をし深く頭を下げた。まるで時代劇の中でお殿様が登場した場面を見ているようだった。一人どうしていいか分からずきょろきょろしていた。
  
「親方様、お待ちしておりました」

 村長の谷が顔を伏せたまま言った。

「えっ、おやかた・・・」

「はっはっはっ、いや、皆そんなに畏まらずに。いや遅れて申し訳ない」

 そう言いながら左側の空いた席に親方様と呼ばれた老人が座った。

「あなたが巽さんですか。遅れて申し訳ない。何しろお務めがあったものですからな」

 そう言いながら老人がこちらを見つめてきた。その眼光は指すように強く、決して大声で喋っている訳ではないが語尾まではっきりと聞き取れる力強い声だった。

「さあ、皆さん、続けましょう。かなり盛り上がっていたようですな谷さん。いいですねえ、続けましょう」

 皆を見回しながら老人が言った。

「はっ。では、親方様も来られましたので改めまして、乾杯」

 村長の谷が音頭を取り宴会が再開された。ただ、さっきまでとは違い誰もしゃべろうとせず、黙々と目の前の料理を食べていた。

「巽さん、どうですかな、この村は」

 老人がいきなり聞いてきた。

「え、あ、はい、えーっと」

 さっきまでとは違う皆の雰囲気に戸惑っていたこともあり、まるで学校で先生に不意打ちの質問をされたような気分になった。

「はい、ええ、いい村だと思います。食べ物も美味しいし、自然も豊かで、子供たちも多くて伸び伸びしていました」

 思いつくまま答えた。

「は、は、は、そうですか、気に入ってもらえましたか」

 老人は笑いビールを注いできた。ビールを受けながら皆の様子を窺うと、何故か校長の方を皆が睨んでいるように見えた。昼間のさくらの反応といい、子供たちのことに触れられるのを嫌がっているように思われ不思議な気がした。

ーーーガラ

 硝子障子が開かれさくらが料理とお酒を持って来た。

「あ、さくら、ありがとう。巽さん、この村は何も有りませんが、茸だけは豊富に採れるんです。なかなか都会では見られないものも有ります。美味しいですよ。このお酒は日本酒に村で採れた茸を漬け込んだものです。元気が出ますよ。さ、さ、どうぞ」

 勧められるままお酒を飲み料理を食べた。確かに全てが美味しく箸が止まらずお酒もすすんだ。

 暫くすると酔いが回ったのか頭がくらくらしてきた。ただ股間が痛いほどいきり立っていた。どうしたんだろうと戸惑っている間にますます頭がくらくらしだした。

「ところで巽さん。さくらのことはどうですか、気に入りましたかな」

 老人が静かに尋ねた。いつの間にかさくらが横におり男達は消え、部屋の中には老人と彼女だけがいた。

「え、えっと、綺麗な人とは思いますが、まだ会ったばかりで、まだ、その・・・」

 くらくらする頭でしどろもどろに答えた。

「この娘は不憫な娘でね、私の孫なんだが、早くに両親を亡くしてしまって・・・。この娘には幸せになってもらいたいんだよ」

 老人の声が遠くなって行った。

「この娘には村のためにも沢山の子供を・・・」

 意識が深い闇の中へ落ちていき何も聞こえなくなった。

 体に掛かる重さでうっすらと意識が戻った。目を開けると裸のさくらが体の上に乗り大きな声をだしながら腰を動かしていた。彼女の体は汗にまみれ顔は恍惚としていた。自分の上で動いているはずなのに、まるで映画のシーンを見ているような感じだった。

 彼女と目が合った。彼女は妖しく笑い激しいキスをしてきた。真っ赤なルージュが印象的だった。股間が強く張っていることは分かったが、相変わらず体は動かなかった。意識がまた遠のいていった。
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