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第二章
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三島君と友人関係になってから数週間ほど経過したころ。学校は修学旅行の時期を迎えていた。
今は六時間目の授業の時間を使って教師が修学旅行についての説明や修学旅行での注意点について話しているが、僕はその教師に意識を向けない。
意識を向けて教師の悪意を聞くのが怖いからだ。
修学旅行という中学生活の中でもとりわけ大きな行事であるためキチンと説明を聞かなければとは思っているのだがこればかりは仕方ない。重要なことを言っていた場合は三島君に聞けばいい。
そんな風に考えて、僕は教師の説明を全てスルーし、放課後、三島君の元へ教師が何か重要なことを言っていなかったかを聞いてみた。
「いや、特に重要なこととか聞き漏らしてたら駄目なこととかは言ってなかったよ。先生も『今した説明は配ったしおりにも書いてあるし、聞き逃したやつもしおり見ておけば大丈夫だ』なんて言ってたし」
「そっか、わかったありがとう」
三島君に簡単にお礼を告げてそのままカバンの奥に突っ込んでいたしおりを取り出して内容を確認する。
修学旅行実行委員会が作ったというしおりは生徒が書いたとは思えないほど丁寧で、修学旅行中に行く場所、利用するホテルで注意するべき点がしっかりと書いてあった。
そうしてパラパラとページをめくりつつ内容を確認していき、重大なことに気づく。
「ねえ、三島君。修学旅行って四人一組で回らないといけないの?」
「……うん、そうだよ」
溜めに溜めて、三島はポツリとこぼす。そうして続けて
「修学旅行、四人グループを作れてない人は行けないんだってさ」
と言った。
おかしい。本の中での修学旅行ではグループは学校からある程度決められていたりするものだったはずだが……本で得た知識は使えないということなんだろうか……
「今までは学校側からグループの班員を指定してたんだけど、今年からは生徒の自主性とか何とかを高めるために自分でグループを作るところから始めろってさ」
僕が心の中で抱いていた疑問に、三島君が答えてくれる。
どうやら僕が本で得た知識はそこまで間違ったものではなかったらしい。
しかしまあ、そういうことなら僕は修学旅行に行かなくてもいいだろう。
元々、学校側が三島君以外の人とグループを組ませた場合、行く気はなかったのだ。
その中で、四人グループを作れない生徒は主学旅行に行けないという条件を学校が提示してきたのだ。他の生徒の中には文句を言っている生徒も多いだろうが、人の悪意を聞きたくない僕にとっては万々歳だ。人と関わる機会と関わる人の数はできるだけ少ないほうがいい。
「それなら僕は、修学旅行は行かなくてもいいかな」
「えっ?」
僕が言うと、三島君はそんな間抜けな声を上げる。
僕は、そんな三島君をスルーしつつ続けて
「元々、三島君以外の人と修学旅行を回る予定はなかったから。三島君以外に二人グループに入れなきゃ修学旅行に行けないなら行かなくてもいいかなって」
と言い放った。
僕がそこまで言い放つと三島はわかりやすくうろたえる。
「いや、でも……修学旅行って中学の行事の中でも結構大きな行事じゃん。だから白峰君も他の人が僕達のグループに入ってきても楽しめるんじゃない?」
「そんなことはないと思う。三島君だけとだったら行きたいけど他の人がいるんじゃ楽しめる気がしない」
「う~ん。そっか……」
三島君の声がどんどん小さくなっていく。
一瞬、僕に悪意が向けられるかと身構えたが、そんなことはなかった。それどころか、少し落ち込んでいるように見える。
もしかしたら三島君は修学旅行に行きたいのかもしれない。
……まあ、それもそうか。僕みたいに人の悪意を持っているわけでもない三島君からしたら修学旅行なんていう一生の内に二回しかないビッグイベントへは、行きたいに決まっている。だが、それならそれで僕以外の三人の人を誘ってでも行けばいいと思うのだが……
僕があれこれ考えている最中、三島君が口を開いた。
「僕はなんとなく白峰君は修学旅行に行かないんだろうなって思ってたんだ。白峰君は僕以外の人と一緒にいたり話したりするのをいつも嫌がってるから……だから、白峰君を僕の班にいれるのははやめておこうって思ってたんだ」
三島君の口から飛び出した言葉に僕は驚く。
三島君がそこまで僕のことを見てくれていたのかという意味で。
「でも、仲のいい人達はもうグループで固まっちゃってて、僕もできるだけ多くの人に声をかけたんだけど、二人しかメンバーが集まらなくて……でも、それでも、僕は修学旅行に行きたくて、だから白峰君に声をかけてみるしかなくて、ごめん」
その言葉を聞いて。
三島君が僕のことを気にかけてくれていることを知って。
僕は
「なら、一緒に修学旅行行こうよ。三島君が声かけた二人と合わせて四人でさ」
彼のささやかな願いを叶えることにした。
今は六時間目の授業の時間を使って教師が修学旅行についての説明や修学旅行での注意点について話しているが、僕はその教師に意識を向けない。
意識を向けて教師の悪意を聞くのが怖いからだ。
修学旅行という中学生活の中でもとりわけ大きな行事であるためキチンと説明を聞かなければとは思っているのだがこればかりは仕方ない。重要なことを言っていた場合は三島君に聞けばいい。
そんな風に考えて、僕は教師の説明を全てスルーし、放課後、三島君の元へ教師が何か重要なことを言っていなかったかを聞いてみた。
「いや、特に重要なこととか聞き漏らしてたら駄目なこととかは言ってなかったよ。先生も『今した説明は配ったしおりにも書いてあるし、聞き逃したやつもしおり見ておけば大丈夫だ』なんて言ってたし」
「そっか、わかったありがとう」
三島君に簡単にお礼を告げてそのままカバンの奥に突っ込んでいたしおりを取り出して内容を確認する。
修学旅行実行委員会が作ったというしおりは生徒が書いたとは思えないほど丁寧で、修学旅行中に行く場所、利用するホテルで注意するべき点がしっかりと書いてあった。
そうしてパラパラとページをめくりつつ内容を確認していき、重大なことに気づく。
「ねえ、三島君。修学旅行って四人一組で回らないといけないの?」
「……うん、そうだよ」
溜めに溜めて、三島はポツリとこぼす。そうして続けて
「修学旅行、四人グループを作れてない人は行けないんだってさ」
と言った。
おかしい。本の中での修学旅行ではグループは学校からある程度決められていたりするものだったはずだが……本で得た知識は使えないということなんだろうか……
「今までは学校側からグループの班員を指定してたんだけど、今年からは生徒の自主性とか何とかを高めるために自分でグループを作るところから始めろってさ」
僕が心の中で抱いていた疑問に、三島君が答えてくれる。
どうやら僕が本で得た知識はそこまで間違ったものではなかったらしい。
しかしまあ、そういうことなら僕は修学旅行に行かなくてもいいだろう。
元々、学校側が三島君以外の人とグループを組ませた場合、行く気はなかったのだ。
その中で、四人グループを作れない生徒は主学旅行に行けないという条件を学校が提示してきたのだ。他の生徒の中には文句を言っている生徒も多いだろうが、人の悪意を聞きたくない僕にとっては万々歳だ。人と関わる機会と関わる人の数はできるだけ少ないほうがいい。
「それなら僕は、修学旅行は行かなくてもいいかな」
「えっ?」
僕が言うと、三島君はそんな間抜けな声を上げる。
僕は、そんな三島君をスルーしつつ続けて
「元々、三島君以外の人と修学旅行を回る予定はなかったから。三島君以外に二人グループに入れなきゃ修学旅行に行けないなら行かなくてもいいかなって」
と言い放った。
僕がそこまで言い放つと三島はわかりやすくうろたえる。
「いや、でも……修学旅行って中学の行事の中でも結構大きな行事じゃん。だから白峰君も他の人が僕達のグループに入ってきても楽しめるんじゃない?」
「そんなことはないと思う。三島君だけとだったら行きたいけど他の人がいるんじゃ楽しめる気がしない」
「う~ん。そっか……」
三島君の声がどんどん小さくなっていく。
一瞬、僕に悪意が向けられるかと身構えたが、そんなことはなかった。それどころか、少し落ち込んでいるように見える。
もしかしたら三島君は修学旅行に行きたいのかもしれない。
……まあ、それもそうか。僕みたいに人の悪意を持っているわけでもない三島君からしたら修学旅行なんていう一生の内に二回しかないビッグイベントへは、行きたいに決まっている。だが、それならそれで僕以外の三人の人を誘ってでも行けばいいと思うのだが……
僕があれこれ考えている最中、三島君が口を開いた。
「僕はなんとなく白峰君は修学旅行に行かないんだろうなって思ってたんだ。白峰君は僕以外の人と一緒にいたり話したりするのをいつも嫌がってるから……だから、白峰君を僕の班にいれるのははやめておこうって思ってたんだ」
三島君の口から飛び出した言葉に僕は驚く。
三島君がそこまで僕のことを見てくれていたのかという意味で。
「でも、仲のいい人達はもうグループで固まっちゃってて、僕もできるだけ多くの人に声をかけたんだけど、二人しかメンバーが集まらなくて……でも、それでも、僕は修学旅行に行きたくて、だから白峰君に声をかけてみるしかなくて、ごめん」
その言葉を聞いて。
三島君が僕のことを気にかけてくれていることを知って。
僕は
「なら、一緒に修学旅行行こうよ。三島君が声かけた二人と合わせて四人でさ」
彼のささやかな願いを叶えることにした。
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