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3.様子がおかしいディナーの席で
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ディナーの準備が整ったと言うので、メイドに案内されるままに食事の部屋に向かった。
豪華な燭台の上で、ロウソクの炎がゆらゆらと揺れている。
椅子を引かれて、席に誘導される。
椅子を引かれ、促されるままに腰を下ろす。
向かいの席にもセッティングはされているが、人が来る気配はない。
「レオン様はご用事が長引かれておりますので、おいでになりません」
冷たく使用人から告げられたその言葉に他意はないとしても、ものさひしく感じられた。
「そう。」
私は運ばれてきたスープを口に運ぶ。
ん?
苦い?辛い?なにこれ?な味がする。
次に隣にあるパンに手を伸ばす。
手でちぎろうにも、固くてどうにもならない。
……この世界の食事って、こういうものなの?………。。。
給仕の使用人は、どこか冷たい視線を私に送っている。
なんだろう。居心地が悪い。
胸の奥がざらつくような、居心地の悪さ。
運ばれてくる料理も、どこか味が変で、どれも口に合わない。
一通り1口ずつ口にして、早々と食事を終えると、私は部屋に引き返すことにした。
のだが………。
いつまで歩いても部屋にたどり着かない。
廊下を幾つも曲がり、迷った挙句に屋敷の玄関ホールに出てしまっていた。
広すぎるのよ…この屋敷……。
転生しても私の方向音痴は健在だった。
高い天井、吹き抜け、そして美しい螺旋階段。
思わずその中腹まで登り、下を見下ろす。
(さっき食堂に行くとき、こんなところ通らなかったよね……?)
ここで悪役令嬢ならどんなセリフを吐くのだろう。
『この無駄に広い屋敷のせいね!』
とか?
『案内の使用人はどこなの?仕事をサボってるのではなくて?』
とか?
んーーなんか違うな……。
どう頑張っても、それらしきセリフが私からは出てこない。
転生したところで所詮中身はんは私……。
そう思って見上げた瞬間――視界がぐにゃりと歪んだ。
(あれ……?)
目が回る。息が浅くなる。胸の奥が苦しい。
手すりにしがみつこうとするも、力が入らない。
……たすけ……て……
声にならない声を吐きながら、膝が崩れ落ちる。
助けを求めようにも辺りに人の気配はしない。
そもそも人がいれば、自分の部屋の場所を、いの一番に聞いただろう。
そのとき――
階段の下で扉が開く音がした。
扉の方を見ると、銀髪の青年と目が合った。
顔立ちの整ったその青年は、驚いた顔をしたような気がした。
(だれ……?)
問いかける間もなく、視界がふっと暗くなった。
力が入らず体は傾き、階段を踏み外す……と思ったんだけど、誰かに支えらた。
……苦しい……助けて……
っと思っても薄れゆく意識の中で何も言葉にならない。
ただパクパクと口を力弱く動かすのみだった
「…………た?」
「…………?」
耳にく声が遠く霞む。
私はその人の腕の中で、静かに意識を手放した――。
豪華な燭台の上で、ロウソクの炎がゆらゆらと揺れている。
椅子を引かれて、席に誘導される。
椅子を引かれ、促されるままに腰を下ろす。
向かいの席にもセッティングはされているが、人が来る気配はない。
「レオン様はご用事が長引かれておりますので、おいでになりません」
冷たく使用人から告げられたその言葉に他意はないとしても、ものさひしく感じられた。
「そう。」
私は運ばれてきたスープを口に運ぶ。
ん?
苦い?辛い?なにこれ?な味がする。
次に隣にあるパンに手を伸ばす。
手でちぎろうにも、固くてどうにもならない。
……この世界の食事って、こういうものなの?………。。。
給仕の使用人は、どこか冷たい視線を私に送っている。
なんだろう。居心地が悪い。
胸の奥がざらつくような、居心地の悪さ。
運ばれてくる料理も、どこか味が変で、どれも口に合わない。
一通り1口ずつ口にして、早々と食事を終えると、私は部屋に引き返すことにした。
のだが………。
いつまで歩いても部屋にたどり着かない。
廊下を幾つも曲がり、迷った挙句に屋敷の玄関ホールに出てしまっていた。
広すぎるのよ…この屋敷……。
転生しても私の方向音痴は健在だった。
高い天井、吹き抜け、そして美しい螺旋階段。
思わずその中腹まで登り、下を見下ろす。
(さっき食堂に行くとき、こんなところ通らなかったよね……?)
ここで悪役令嬢ならどんなセリフを吐くのだろう。
『この無駄に広い屋敷のせいね!』
とか?
『案内の使用人はどこなの?仕事をサボってるのではなくて?』
とか?
んーーなんか違うな……。
どう頑張っても、それらしきセリフが私からは出てこない。
転生したところで所詮中身はんは私……。
そう思って見上げた瞬間――視界がぐにゃりと歪んだ。
(あれ……?)
目が回る。息が浅くなる。胸の奥が苦しい。
手すりにしがみつこうとするも、力が入らない。
……たすけ……て……
声にならない声を吐きながら、膝が崩れ落ちる。
助けを求めようにも辺りに人の気配はしない。
そもそも人がいれば、自分の部屋の場所を、いの一番に聞いただろう。
そのとき――
階段の下で扉が開く音がした。
扉の方を見ると、銀髪の青年と目が合った。
顔立ちの整ったその青年は、驚いた顔をしたような気がした。
(だれ……?)
問いかける間もなく、視界がふっと暗くなった。
力が入らず体は傾き、階段を踏み外す……と思ったんだけど、誰かに支えらた。
……苦しい……助けて……
っと思っても薄れゆく意識の中で何も言葉にならない。
ただパクパクと口を力弱く動かすのみだった
「…………た?」
「…………?」
耳にく声が遠く霞む。
私はその人の腕の中で、静かに意識を手放した――。
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