僕は超絶可愛いオメガだから

ぴの

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1章 1年春〜夏

僕って可愛いんです

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 僕は恋をしたことがない。なぜなら、僕が相手を知る前に男も女もみんな、僕に恋しちゃうから。

 よく知らない人から好意全開で話しかけられたら、こっちの恋心なんて育つ訳がないのだ。

「春人、遠くの学校行っちゃうなんて悲しすぎる!!」
「そーだよー。今からでも地元の高校に入れよー。」
「春人先輩の美しいお顔が明日から見られないなんて!!」
「俺たちは、何を生きがいにすればいいんですかあ!」
 中学校の卒業式終わりに、同級生だけではなく、後輩たちにも囲まれて別れを惜しまれた。

「みんな、大袈裟だなあ。」
 僕はふっと笑った。
「あ"あ"!その笑顔!!天使すぎるぅ。」

 僕が何か話したり表情を変えたりするだけで周りは大きく反応した。
 いつも適当に言って切り上げるんだけど、今日は最後だし、しばらく付き合って上げることにしていた。
 そのままワイワイやっていると、
「おい、そろそろ行くぞ。」
と幼馴染の拓真が声を掛けてきた。
 拓真は自分と僕の荷物を持っていつも通り大人しく待っていてくれたが、さすがに痺れを切らしたらしい。

「ごめん、たっくん!みんな、もっと話したいけど…また会える日まで元気でね!バイバイ!」
 僕は名残惜しそうにする皆の輪を抜けて拓真の元に駆け寄った。

「いつもごめん。あ、自分の荷物持つ。」
「別にいいよ。お前またプレゼント貰ってるじゃねーか。それだけ持っておけ。」
「ありがとっ。」
 オメガの僕は未だ160センチに満たない身長しかないので、170センチ越えの拓真を見上げて微笑みながらお礼を言った。
「おまっ!はあ、お前の顔見慣れたはずなのに、不意打ち、きつっ!」
 拓真が少し顔を赤くする。ふふん、効果抜群。でも僕はそれに気づかないふりをする。
 僕は、僕が人を惹きつけてやまない容姿を持っていることに気づいていない!という設定なのだ。だって自分の容姿が優れていることを自覚しているやつって痛いだろ。そんなのモテないし。

 それは、幼馴染の拓真に対しても変わらない。
「4月からαばかりの高校に行くんだろ?心配だ。」
「うん、でもオメガ特別枠で入学したから、結構色んな配慮があるんだ。だから普通の高校行くより安全だよ?」
「そういうことじゃないんだよなあ。はあ、俺がαならついて行って守るのに。」
「えーー!たっくんがαだったら、今頃警戒してこんなに仲良くしてないよ。」
 バース性が正式に判明するのは、中学二年の国が行う検査だけど、その前に容姿や能力でだいたい検査前に分かっていく。
 黒髪ばかりの日本人には珍しい僕の薄茶の光るような髪と透けるように白い肌、目は大きいのに顎はスッと尖っていて鼻は小さく、でも高くって、もちろん唇も魅力的な形と色だ。
 そんな僕は、物心ついた時には両親からオメガとして扱われていて、それはそれは過保護に育てられた。
 何かあってはと、両親はαっぽい子には一切近づけなかったのである。

「それもそうか。とにかく何か困ったこととかあったら、すぐ言えよー。山奥の学校だろうがすぐに駆けつけるから。」
「あはは。父さんや兄さんと同じこと言ってる。」
「みんなお前のこと心配なんだよ。」
「分かってるよ。」
うん、分かってる。αは狼ってこと。
でも狼の群れは僕の将来のために必要なんだよね。
 差別は禁止されているとはいえ、Ωに厳しい世の中を生き抜くためには、アルファの中でも特に優秀な人を番いにしなきゃ。でなきゃ、僕は…
「…ると。春人!」
 拓真の呼びかけにハッとした。いつの間に自宅マンションの前に来ていたらしい。ちょっと古めのマンションが僕の家。
 隣の高層マンションが拓真の家だ。
「荷物、部屋まで運ぶ。」
「いいよー。大丈夫。」
「いや、運ぶ。お前この間エレベーターの中でケツ触られたって言ってたし。」
 拓真のマンションと違ってウチのマンションはオートロックというものがない。
 僕を見かけた中年の男が隙を見て一緒に乗って来て、はあはあ言いながら僕の尻を触ってきた。
 うげっ!思い出したら気持ち悪い。
 3階だったからすぐにエレベーターは、開いて逃げられたけど。
 こんなことがあるから、いつもは階段を走って上る。その日は荷物を持っていて階段が億劫でエレベーターを使ったんだった。
「うん、お願いする。」
 すぐに惚れられちゃう僕は、いつだってどこに居たって危険なのだ。
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