僕は超絶可愛いオメガだから

ぴの

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1章 1年春〜夏

僕は学園1の可愛さです

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 東京近県ではあるが山の奥に設立された私立の男子中高一貫校、篠宮学園のオメガ高校生専用寮に入学式の前日に入寮した僕は、部屋の設備に改めて驚かされている。
 オメガに配慮されているとあって、トイレ、お風呂、冷蔵庫、キッチンまで整っている上に一人部屋だ。おそらくヒートの時に籠れるようになっているのだろう。

 この学園の年間の学費はとにかく高額だ。授業は、さまざまな分野の大学教授が頻繁に出張して行ってくれるし、ノーベル賞を取った世界の名だたる学者達もやってくる。当然授業は英語だ。
 だから、ここに集まるαは優秀だけでなく、家が相当な金持ちだ。
 
 そんな学園に容姿以外実に平凡、いや、平凡以下なオメガの僕が入学できたのは、ひとえにオメガ特別枠のおかげ。特別枠生徒は全て無料で入学できる。
 名目はαとΩの相互理解を10代の内から深めるためらしい。
 んー理由として実に弱いよね。

 実態は、優秀なアルファがオメガと番うことでまた次の優秀なアルファが誕生する。
 数の少ないオメガを集めることで次代のアルファを生み出す機会を設けるためだ。
 まあ、いわばαとΩの婚活の場としている。
 だから面接と遺伝子検査の結果だけで入学できるのだ。どうやらオメガ特別枠は政府の要請から始まったらしい。
 そりゃ、日本に優秀なαが増えたら日本も安泰だよね。

 そんな日本政府の思惑なんかどうでもいいんだけど、努力しても勉強いまいち、運動いまいち、体力なし、特別な才能なしの僕は将来、まともに就職なんてできないだろうから、特別優秀なα様をこの3年間でどうにか捕まえて、一生食うに困らない生活を手に入れるつもりだ。

 荷物整理が終わった頃、寮に館内放送が流れる。新入生と在校生の顔合わせを行うらしい。
 食堂に向かうため部屋を出ると隣の部屋の住人も出てきた。
「初めまして。」
僕は人好きのする笑顔で話しかける。
「は、初めまして!わあ可愛いい!」
そう言った彼は、一般的なΩには珍しい真っ黒な髪に拓真ぐらいの背があり、なかなかがっちりした体格をしていた。
 んーでもなかなかのイケメン。
「ありがとう。僕、和倉春人っていうんだ。君も新入生でしょ?ハルって呼んでね。」
「あ、俺は葉山亮一。ハルよろしく!」
「うん、リョウくんよろしくね。」
「俺、まともに同じオメガの人に会うの初めてだよ。」
 数の少ないオメガはなかなか同類に会う機会はない。もしかしたら、街中ですれ違っているのかもしれないけど、何があるか分からないから、普通は隠しているし。
「うん、僕もだよ。だからこの学園に入れて嬉しい。」
「あ、やっぱり?俺も俺も!オメガの友達作りたくってさー。αいっぱいいるけど、授業はオメガだけだし、気にしなければいいかなって。」
「だよね。」
ん?亮一は、αに出会うために入ったわけじゃないのか。
「初のΩの友達がハルみたいな可愛い子だなんてラッキーだな。」
「何言ってんの?僕ぐらいのなんてきっとこの学園にいっぱいいるよ。」
「えーーー!!Ωって芸能人以外もそんなに可愛いやついっぱいいんの!?」
って言ってたけど、食堂に行って見たらやはりそうではなかった。

「ハル、嘘つき。どの子も可愛いけどハルみたいなすっげー可愛い子なんていない。」
 ちょっとしたセレモニーのあと、交流のための立食パーティの時にひとしきり回ってきた亮一が僕に文句を垂れた。
「そうかなあ。」
僕はとぼける。一学年30人、全部で90人しかΩはいないけど、その中で僕はダントツに可愛いに違いなかった。
「けど、リョウくんみたいにかっこいいΩもいないね。」
「えっ!!」
「筋肉もちゃんとついてて羨ましい。」
僕がベタベタ触ると亮一は真っ赤になった。
「ハル!」
「何?」
「何じゃない。ったくなんで同じΩの男にときめかなきゃいけないんだ。」
よしよし、味方の完成。僕の婚活の手助け要員に決まりだな。
 他の生徒と違ってどうもαに興味ないみたいだし。

 すると一人の長い髪の生徒が近づいてくる。先ほど挨拶していた寮長の鈴木先輩だ。
「こんにちは。」
「こんにちは、鈴木先輩。」
僕はまたまた笑顔で挨拶を返す。
亮一は、何で名前知ってんの?ってブツブツ言ってるけど。
僕と亮一は、先輩に自己紹介する。
「和倉君ってすごく可愛いね。今までこんな可愛い子見たことないよ。」
「ですよね!!先輩!!俺の見立ては間違ってなかった!!」
何で亮一が興奮してんの?僕は可笑しくて笑ってしまう。
「わあ、笑顔やべえ。」
亮一は、当分僕の顔に慣れるのは時間がかかりそうだ。
「和倉君、この学園はΩに危険がないようにしているとはいえ、知ってのとおりαが多いから、君みたいな可愛い子は、必ず二人以上で行動してね。」
「じゃあ、俺がハルの側についてるよ。」
うん、これは拓真2号だな。
「それなら、安心だ。」
鈴木先輩はそれだけ言うと他の新入生に挨拶しに行った。
 交流会もしばらくすると、僕の周りに人が集まり始める。今まで知らなかったけど、Ωも惹きつける程僕は魅力的らしい。
 ふむふむ。前途洋々だな。明日の入学式が楽しみだ。
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