僕は超絶可愛いオメガだから

ぴの

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1章 1年春〜夏

僕は困惑してるんです①

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 あーどうしよう、どうしよう!
 ナオくんにあんなことしちゃうなんて!!
リョウくんに相談したいけど、ヒート中の彼にこんなこと言えないし。

 僕は図書館から逃げ帰って一人になると、事の重大さに青ざめた。

 なんか誰かに操られてたんじゃないかって感じだった。何なの!?あれって。抗えない何かが自分の中に沸き起こった感じだった。
 でもさーそんなの言い訳にもならないよね。
 
 ナオくん絶対僕のこと、軽蔑したよね。だからΩはって思ってるよね。

 はああーーー!!!

 どれぐらい布団を被って悶々としてただろうか。外は暗くなって、夕食を知らせる放送が入る。

 食欲ないけど、顔出さないと体調悪いかと思われて皆んなに心配かけるから食堂にとりあえず行かなきゃ。

 食堂に行くと、寮長の鈴木先輩が駆け寄ってくる。
「和倉くん、はいこれ。図書館に忘れたでしょ。」
差し出してくれたのは、僕の宿題と筆記用具だった。
「あ、ありがとうございます。」
「拾ったのは、僕じゃないんだ。1年のSSクラスの子が図書館に居たここの寮生に渡してくれたらしい。」
ナオくんが届けてくれたの?
「そうなんですね。」
 
 あんなことしてしまった後なのに、ちゃんと届けてくれたんだ…。
 僕は届けてくれた宿題を抱きしめる。

 僕は、食事もそこそこに部屋に戻った。

 せっかく届けてくれたんだ、今日の宿題を最後まで終わらそう。
 そう思ってワークブックとノートを開く。

「!!!ナオくん、なんで…。」

そこには、僕が理解できないと言った問題に大きな付箋で解説が書いてあった。

ポイントとなる部分にはマーカーが引いてあった。

あれ、他のページにも!
僕がつまずきそうな問題に解説の付箋が貼ってある。

ナオくんの角張った綺麗な字は、一文字も乱れることなく書いてある。
どれも適当になんて書いてない。
僕の為に時間を使って丁寧に書いてくれている。

そう思ったら、ぼわっと涙が溢れて来る。

あんなことして逃げたのに。
どうしてなの?

もう嫌われていたとしても、明日きちんと会って謝ろう。
そう決心し、涙を拭いて宿題に取り掛かった。
そして、ナオくんの付箋のおかげで予習まで済ませたのだった。



 翌日、リョウくんの様子をメッセージアプリで確認する。初日よりは落ち着いているけどまだ辛いみたいだ。
必要な物があれば、学園が届けてくれるし、そもそもリョウくんは備蓄もしてあるっていうから、僕の出番は全くなかった。

 となると、次に考えるべきなのは、どうやってナオくんに会いに行くかということ。
 実は勇気がなくて、ナオくんの連絡先を聞けてなかった。

 学園の食堂で探すなんて不可能に近いし、今日はナオくんの部活の日だから図書館にはいない。
 けど、謝るなら早いほうが良い。だから、図書館でばったり会うまで待ってるなんてできない。
 どうするか考えている内にあっという間に放課後になってしまった。

 こうなったら、テニス部終わりのナオくんを待ち伏せしよう!
 テニス部のコートがある場所から寮の帰り道で必ず通るところに立っていれば、会えるはず!

 そう意気込んで柱の影に隠れて待ち伏せをする。
 えっと、17時に終わるから17時30分までには会えるかな。
 17時少し前からスタンバイしている僕はそわそわしていた。
 何度も腕時計を見てしまう。

「何、かくれんぼしてるの?」
肩をぽんと叩かれて
「ひゃっ!」
と変な声を出してしまう。

そこには、ナオくんとは全然違う雰囲気の、どちらかというと軽い感じのイケメンがいた。
2年の先輩だ…。

「ハルちゃんじゃん!こんな所で会えるなんてラッキー!いやー間近で見た方が遠目で見るより何十倍も可愛いってすごすぎだなあ。」
僕は、困って視線を泳がす。
「あーごめんごめん。俺2年の夕凪健太だよ。テニス部の副キャプテンしてるよん。」
「えっ!テニス部!?」
「う、うん。あっ!テニス部入りたい感じ?ハルちゃんなら大大大歓迎だよ。道具一式プレゼントしちゃうし!」
「あの、そうじゃなくて…。テニス部って今日もう部活終わってるんですか?」
「今日?中間テスト近いから部活はお休みだよー。まあ、俺は体が鈍っちゃうからちょっと内緒で打ちに行くとこだけどね。」

えっ!休みだったのか。僕ってバカ…。

「そうですか、ありがとうございます。」
「えっ、ちょっと待って!何かテニス部に用事だったんじゃないの?」
「いえ、人に会いに来ただけなので。」
ペコリと頭を下げて今度こそ去ろうとするのに、先輩はしつこかった。

「誰?誰に会いに来たの?」
「いえ、大丈夫です。」
「えー、取り次ぐよ。」
「またにしますから。」
「あーもしかして、城之内とか?」
僕はナオくんの名前が上がってピクリと反応してしまう。
「ふーん。ハルちゃんに会いに来てもらえるなんて城之内ってそういうのクールな感じしてなかなかやるじゃん。」
「あ、そういうんじゃなくて…。」
「あー会いたい奴ってやっぱり城之内なんだ。」
ぐっ、自ら答えを言ってしまった。

すると、自室でしか使ってはいけない携帯電話を夕凪先輩は取り出して、どこかにかける。

「あー俺。今ハルちゃんとテニス部のあそこの通路にいるんだけど…ん?ハルちゃんは、可愛いハルちゃんのことだよ。でさーお前に会いたいみたいなんだよね。別に来なくていいけど、えー来るの?はいはい、待ってます。」

これって、ナオくんに電話したんだよね…。

「ってことで、今から城之内が来るよん。それまで、俺とおしゃべりしよっ。」
「は、はい。」
「そんな迷惑そうにしないでよ。取って食べるわけじゃないし。ふふ、戸惑ってて可愛いね。ハルちゃん、そんな可愛いのにαに慣れてないとこがいいね。」
僕がモジモジしてると、夕凪先輩は腰を屈めて顔を覗き込んでくる。
そうか、僕いままでβとしか触れ合ってないから、αといると自然と緊張しちゃうのか。
 にっこり笑って誘惑とか僕には無理だ!

はじめのうちは、当たり障りのない質問をされて僕がぽつぽつ答える。そして、唐突に
「ねえ、ハルちゃんってパートナーって決まってるの?」
と聞かれた。
「え?」
「番のこと。」
僕はブンブンと首を横に振る。
「じゃあ、候補は?」
「候補?」
「そう、パートナー候補。何人かのαと付き合って一番自分にとってスペックの良い相手と番うの。」
「そ、そんなの!?」
「えーでも、そのためにこの学園に入ったんでしょ?俺、ハルちゃんの候補でいいからなりたいなー。」
「ぼ、僕そんなの、」
僕が先輩の言っていることに困惑していると、
「春人!」
ナオくんが来てくれた。


 

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