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葛藤3
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女王の宮殿と上皇の宮殿との間に上皇所有のワイナリーは、所在する。
ワイナリーの管理人が皇族達が休憩する部屋へ案内してくれた。
ほかの扉とは違う豪華な装飾がされた扉の向こう側に窓の外のぶどう畑を眺める上皇がいた。
「上皇様、失礼いたします。女王陛下がお越しになりました。」
管理人が声をかけると上皇が振り向く。
「上皇様、突然の拝謁をお許しいただき、ありがとうございます。」
紗々羅は、ドレスの裾を少し持ち上げ頭を垂れた。
「女王陛下がそんなに頭を下げるものではありませんよ。」
と上皇は、ふふふと笑った。
そして、この部屋にいる侍女や侍従、衛兵を遠ざける。
「さあ、紗々羅、誰もいなくなった。こちらへおいで。」
そういうと、上皇は強く抱きしめた。
「母上!」
今まで気を張って政務を行って来たせいか、少し涙ぐみながら母親に抱かれた。しばしの抱擁ののち、お茶の用意されたテーブルに向かい合って座った。
「元気にしていましたか。」
「はい、皆、助けてくれるので、元気です。」
「室を新たに三人選んだと聞きましたよ。」
「はい…。」
紗々羅はそう言ったきり、何も言えなくなってしまった。
しばらく、沈黙が続いた後、上皇が切り出す。
「紗々羅、恋をしましたね。」
「…はい…。」
俯いて答える。
「紗々羅、室を平等に扱いなさいとは教えましたが、心の中は自由です。誰かを特別に想うことは悪いことではないのですよ。」
はっとし、紗々羅は顔を上げた。
「母上も経験が?」
「当たり前です。愛することを知らなければ真に民を愛することなどできません。」
「わたくしは、風雅が好きなのです。でも…」
「そう、でも次の室を選ばなければならない。これは、この国の女王の最初の試練なのです。歴代女王が苦悩と葛藤を繰り返して、ここに今あなたがいるのです。」
「母上は、どう乗り越えたのですか。」
「わらわが最初に恋をしたのは、三人目の室でした。だからきっと何も参考にならない。ここは自分で乗り越えていくしかないのです。」
「自分で…。」
「そう。自分で乗り越えた先に未来があるのです。そうすれば、程度の差はあれ、室の皆が好きになりますよ。」
上皇は『程度の差があるというのは、内緒よ。』とウインクをした。
ワイナリーを出て、執務室に戻ってきたころには、日が暮れかけていた。
「おかえりなさませ、陛下。」
執務室で久遠が出迎える。おそらく、紗々羅の答えを待っていたのだろう。それを察して、すぐにその話題を振る。
「久遠、次の室はどちらが良い?」
「それは、陛下のお心が決めることです。」
「家柄とか関係ないんだな。」
「はい、もちろんです。でなければ、風雅様が最初に選ばれませんよ。」
「それもそうだ。なら、壮士にする。」
「かしこまりました。」
紗々羅は、考えた。啓輝は、自分への憧れが強すぎる。今、それを受け止めることは到底無理だ。
きっと家柄が一番良いのに、選ばれなかったと嘆くに違いない。
「そういえば、明日の朝議の議題は整ったか。」
「はい。辺境の治安と隣国スレシア皇太子の婚儀出席の件が主な議題です。」
「最初の外遊が隣国なのは、少し安心する。」
「そうですね。ところで、本日の晩餐はいかがいたしましょうか。」
「執務が滞っているから、ここで一人で食べる。」
紗々羅は、誰かと談笑しながら食事する気にはなれなかった。
ワイナリーの管理人が皇族達が休憩する部屋へ案内してくれた。
ほかの扉とは違う豪華な装飾がされた扉の向こう側に窓の外のぶどう畑を眺める上皇がいた。
「上皇様、失礼いたします。女王陛下がお越しになりました。」
管理人が声をかけると上皇が振り向く。
「上皇様、突然の拝謁をお許しいただき、ありがとうございます。」
紗々羅は、ドレスの裾を少し持ち上げ頭を垂れた。
「女王陛下がそんなに頭を下げるものではありませんよ。」
と上皇は、ふふふと笑った。
そして、この部屋にいる侍女や侍従、衛兵を遠ざける。
「さあ、紗々羅、誰もいなくなった。こちらへおいで。」
そういうと、上皇は強く抱きしめた。
「母上!」
今まで気を張って政務を行って来たせいか、少し涙ぐみながら母親に抱かれた。しばしの抱擁ののち、お茶の用意されたテーブルに向かい合って座った。
「元気にしていましたか。」
「はい、皆、助けてくれるので、元気です。」
「室を新たに三人選んだと聞きましたよ。」
「はい…。」
紗々羅はそう言ったきり、何も言えなくなってしまった。
しばらく、沈黙が続いた後、上皇が切り出す。
「紗々羅、恋をしましたね。」
「…はい…。」
俯いて答える。
「紗々羅、室を平等に扱いなさいとは教えましたが、心の中は自由です。誰かを特別に想うことは悪いことではないのですよ。」
はっとし、紗々羅は顔を上げた。
「母上も経験が?」
「当たり前です。愛することを知らなければ真に民を愛することなどできません。」
「わたくしは、風雅が好きなのです。でも…」
「そう、でも次の室を選ばなければならない。これは、この国の女王の最初の試練なのです。歴代女王が苦悩と葛藤を繰り返して、ここに今あなたがいるのです。」
「母上は、どう乗り越えたのですか。」
「わらわが最初に恋をしたのは、三人目の室でした。だからきっと何も参考にならない。ここは自分で乗り越えていくしかないのです。」
「自分で…。」
「そう。自分で乗り越えた先に未来があるのです。そうすれば、程度の差はあれ、室の皆が好きになりますよ。」
上皇は『程度の差があるというのは、内緒よ。』とウインクをした。
ワイナリーを出て、執務室に戻ってきたころには、日が暮れかけていた。
「おかえりなさませ、陛下。」
執務室で久遠が出迎える。おそらく、紗々羅の答えを待っていたのだろう。それを察して、すぐにその話題を振る。
「久遠、次の室はどちらが良い?」
「それは、陛下のお心が決めることです。」
「家柄とか関係ないんだな。」
「はい、もちろんです。でなければ、風雅様が最初に選ばれませんよ。」
「それもそうだ。なら、壮士にする。」
「かしこまりました。」
紗々羅は、考えた。啓輝は、自分への憧れが強すぎる。今、それを受け止めることは到底無理だ。
きっと家柄が一番良いのに、選ばれなかったと嘆くに違いない。
「そういえば、明日の朝議の議題は整ったか。」
「はい。辺境の治安と隣国スレシア皇太子の婚儀出席の件が主な議題です。」
「最初の外遊が隣国なのは、少し安心する。」
「そうですね。ところで、本日の晩餐はいかがいたしましょうか。」
「執務が滞っているから、ここで一人で食べる。」
紗々羅は、誰かと談笑しながら食事する気にはなれなかった。
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