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※自ら
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「リュートさん、殿下がまだ寝台から出るなっておっしゃってたよ。」
かなり体力は回復したリュートはそろそろ、寝台から降りたくて仕方がなかった。
「そうなんだけど、もう元気になったし、少しぐらい歩いてもいいかなって。」
「だめ!殿下は前より一層、過保護になっちゃってリュートさんの行動すべて殿下の管理下にあるんだからね。」
あまりのハミルの勢いにリュートは大人しくすることにする。
「う、うん。じゃあ、今夜、私からそろそろ動いていいか殿下に聞いてみるよ。ところで、気になることがあって…。」
「気になること?」
「うん。奥方様のこと…。あれからどうなったのかな。私が柱に繋がれていたことにかなり殿下はお怒りになってたとハミルは言ってたろ?だから、奥方様に罰が与えられていたかもしれないと思って…。」
「それは当然そうなんじゃないの。そんなのリュートさんが気にすることないよ。」
「けど…。」
「それよりもリュートさんは、奥方がいたことに何か思うことないの?」
「え…まぁ少しは驚いたよ。」
「少し?」
「殿下ほどの身分の方に奥方様の一人や二人いるなんて普通のことだからね。」
「それだけ?」
「え?他に何かあるの?」
自分は奴隷なのだ。アーディルの生活や選択に何か思いを挟むことなどできないとリュートは思っていた。
「はぁ、殿下が不憫になってきた…。」
盛大にため息をつくハミルに不思議そうな顔をするだけのリュートであった。
その後は、寝台の上の住人であるリュートの気を紛らわそうとハミルはたわいもない話を続けていた。
「ん…んっ…!」
リュートが徐々に顔を赤くして悶え始める。
「リュートさん!また突発的発情になった!?」
リュートは発情期に自身で慰めることもできず、衰弱させられた後遺症で断続的に発情するようになってしまった。
医師からはいずれ落ち着くと言われているが、いつ治るか分からない。
そのこともあって、アーディルは寝台から降りることを禁じたのである。
ハミルは急いで部屋の外にいるリュートの専属騎士に声をかけた。
「姫様のお加減がよろしくない。殿下に急いでお知らせしてください。」
アーディルは『深層の姫君』の一挙手一投足を知らせるよう騎士たちにあらかじめ、命じていた。
騎士は伝達用の早馬で殿下に伝えるよう邸の者にすぐさま命じる。
ほどなくすると王宮にいたアーディルがリュートの部屋の前にやって来た。
「殿下!」
部屋の前にいた騎士は跪いて頭を垂れる。
「俺の代わりに騎士団の訓練を引き継げ。」
「はっ!」
アーディルはそう命じた後、リュートのフェロモンの匂いが立ちこもった部屋に入る。
「アディ様!」
リュートはアーディルの姿を見た瞬間、寝台から降りてよろよろと歩み寄り、倒れこむようにして抱き着いた。
剣の柄がリュートの脇腹に当たる。
「帯剣してる時は、むやみに抱き着くな。」
アーディルがそんなリュートを引きはがそうとしても、発情の熱に翻弄されているリュートは抱き着いたまま離れようとしない。
ハミルはそっと剣をソードベルトごとアーディルから外し、寝台の脇に剣だけを立てかけ、自分の部屋へ戻った。
アーディルは、抱き着いたままのリュートを抱えて寝台に倒れこむ。
突発的な発情は、普段の発情期とは違う熱がリュートを襲い、いつも以上に大胆になる。
「アディ!アディ様っ!」
リュートは倒れたアーディルに上から覆いかぶさり、騎士服を破くかのごとく脱がしていく。
そのうち、そそり勃った陽根を取り出すと、リュートはうっとりとした様子で口づけ、舐めまわし、その上にまたがる。
「お前、いきなりはー」
アーディルが慌てて止めようとするが、リュートは自身の体重で串刺しにする。
「んはぁっ!」
孔の中がアーディルでいっぱいになり、喜ぶようにリュートは前から白濁を漏らす。
「はぁぁん、もっと、もっと奥にください!」
アーディルは、リュートの望むまま下から突き上げる。
「やぁっ!!」
リュートの嬌声が部屋中に響き渡る。何度も何度もアーディルの熱い楔で穿たれ、胎の中を白い液体で膨れるほど満たす。
もはや、そうすることでしかリュートの熱は収まらなかった。
普段の発情期とは違い、欲が発散されれば、心身ともに通常状態に戻る。
リュートはさきほどまでの淫らな己の振る舞いが急に恥ずかしくなった。
しばらくは、恥ずかしさでアーディルの胸に額を当ててじっとしていたが、アーディルが眠る気配がないので、そっと顔を上げてみる。
すると、アーディルの黒曜石のような瞳と目が合う。その瞳の光は穏やかであった。
そんな穏やかさに勇気をもらいリュートは質問をする。
「あの、聞いてもいいですか?」
アーディルは、目だけで続きを促した。
「アディ様の奥方様は、今どちらに?」
「ん?ああ、あの女か。領内の北の棟に幽閉したから安心しろ。」
「え…幽閉!?」
「隣国との関係で、処刑はできない。幽閉で我慢しろ。」
驚きの言葉に、必死に首を横に振る。
「そ、そうではありません。アディ様の正妻でいらっしゃるでしょう?そのような扱いをして良いのかと思っただけです。」
「お前を害したのだ。生ぬるいぐらいだ。」
「でも私は奴隷の身分…」
ぐちゅっと濃厚な口づけをされる。
「うるさい。お前は俺の番なのだ。この世で唯一のな。何人であろうとお前を傷つけることは許さん。お前自身でもだ。覚えておけ。」
それ以上、その話題に触れるなとばかりにアーディルは再びリュートを激しく抱いた。
かなり体力は回復したリュートはそろそろ、寝台から降りたくて仕方がなかった。
「そうなんだけど、もう元気になったし、少しぐらい歩いてもいいかなって。」
「だめ!殿下は前より一層、過保護になっちゃってリュートさんの行動すべて殿下の管理下にあるんだからね。」
あまりのハミルの勢いにリュートは大人しくすることにする。
「う、うん。じゃあ、今夜、私からそろそろ動いていいか殿下に聞いてみるよ。ところで、気になることがあって…。」
「気になること?」
「うん。奥方様のこと…。あれからどうなったのかな。私が柱に繋がれていたことにかなり殿下はお怒りになってたとハミルは言ってたろ?だから、奥方様に罰が与えられていたかもしれないと思って…。」
「それは当然そうなんじゃないの。そんなのリュートさんが気にすることないよ。」
「けど…。」
「それよりもリュートさんは、奥方がいたことに何か思うことないの?」
「え…まぁ少しは驚いたよ。」
「少し?」
「殿下ほどの身分の方に奥方様の一人や二人いるなんて普通のことだからね。」
「それだけ?」
「え?他に何かあるの?」
自分は奴隷なのだ。アーディルの生活や選択に何か思いを挟むことなどできないとリュートは思っていた。
「はぁ、殿下が不憫になってきた…。」
盛大にため息をつくハミルに不思議そうな顔をするだけのリュートであった。
その後は、寝台の上の住人であるリュートの気を紛らわそうとハミルはたわいもない話を続けていた。
「ん…んっ…!」
リュートが徐々に顔を赤くして悶え始める。
「リュートさん!また突発的発情になった!?」
リュートは発情期に自身で慰めることもできず、衰弱させられた後遺症で断続的に発情するようになってしまった。
医師からはいずれ落ち着くと言われているが、いつ治るか分からない。
そのこともあって、アーディルは寝台から降りることを禁じたのである。
ハミルは急いで部屋の外にいるリュートの専属騎士に声をかけた。
「姫様のお加減がよろしくない。殿下に急いでお知らせしてください。」
アーディルは『深層の姫君』の一挙手一投足を知らせるよう騎士たちにあらかじめ、命じていた。
騎士は伝達用の早馬で殿下に伝えるよう邸の者にすぐさま命じる。
ほどなくすると王宮にいたアーディルがリュートの部屋の前にやって来た。
「殿下!」
部屋の前にいた騎士は跪いて頭を垂れる。
「俺の代わりに騎士団の訓練を引き継げ。」
「はっ!」
アーディルはそう命じた後、リュートのフェロモンの匂いが立ちこもった部屋に入る。
「アディ様!」
リュートはアーディルの姿を見た瞬間、寝台から降りてよろよろと歩み寄り、倒れこむようにして抱き着いた。
剣の柄がリュートの脇腹に当たる。
「帯剣してる時は、むやみに抱き着くな。」
アーディルがそんなリュートを引きはがそうとしても、発情の熱に翻弄されているリュートは抱き着いたまま離れようとしない。
ハミルはそっと剣をソードベルトごとアーディルから外し、寝台の脇に剣だけを立てかけ、自分の部屋へ戻った。
アーディルは、抱き着いたままのリュートを抱えて寝台に倒れこむ。
突発的な発情は、普段の発情期とは違う熱がリュートを襲い、いつも以上に大胆になる。
「アディ!アディ様っ!」
リュートは倒れたアーディルに上から覆いかぶさり、騎士服を破くかのごとく脱がしていく。
そのうち、そそり勃った陽根を取り出すと、リュートはうっとりとした様子で口づけ、舐めまわし、その上にまたがる。
「お前、いきなりはー」
アーディルが慌てて止めようとするが、リュートは自身の体重で串刺しにする。
「んはぁっ!」
孔の中がアーディルでいっぱいになり、喜ぶようにリュートは前から白濁を漏らす。
「はぁぁん、もっと、もっと奥にください!」
アーディルは、リュートの望むまま下から突き上げる。
「やぁっ!!」
リュートの嬌声が部屋中に響き渡る。何度も何度もアーディルの熱い楔で穿たれ、胎の中を白い液体で膨れるほど満たす。
もはや、そうすることでしかリュートの熱は収まらなかった。
普段の発情期とは違い、欲が発散されれば、心身ともに通常状態に戻る。
リュートはさきほどまでの淫らな己の振る舞いが急に恥ずかしくなった。
しばらくは、恥ずかしさでアーディルの胸に額を当ててじっとしていたが、アーディルが眠る気配がないので、そっと顔を上げてみる。
すると、アーディルの黒曜石のような瞳と目が合う。その瞳の光は穏やかであった。
そんな穏やかさに勇気をもらいリュートは質問をする。
「あの、聞いてもいいですか?」
アーディルは、目だけで続きを促した。
「アディ様の奥方様は、今どちらに?」
「ん?ああ、あの女か。領内の北の棟に幽閉したから安心しろ。」
「え…幽閉!?」
「隣国との関係で、処刑はできない。幽閉で我慢しろ。」
驚きの言葉に、必死に首を横に振る。
「そ、そうではありません。アディ様の正妻でいらっしゃるでしょう?そのような扱いをして良いのかと思っただけです。」
「お前を害したのだ。生ぬるいぐらいだ。」
「でも私は奴隷の身分…」
ぐちゅっと濃厚な口づけをされる。
「うるさい。お前は俺の番なのだ。この世で唯一のな。何人であろうとお前を傷つけることは許さん。お前自身でもだ。覚えておけ。」
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