トライアングル

五嶋樒榴

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久利・バーでの夜

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「さあ聞いてやる。なんでも話せ」

少しおちゃらけて俺は言った。しほなは冷ややかな目で俺を見る。

「良いわよ。変に気を使われると逆に話しづらい」

カクテルグラスのナッツをつまみながらしほなが言った。

「とうとう別れましたー。ちょっと予定狂ったけど。本当は私がフル予定だったんだけどね。久利に今夜あって別れる宣言して別れるつもりが、痺れを切らした奴が昼間に荷物取りに来て、ジ・エンドですわ」

無理しちゃってと思いながら俺は黙って聞いてた。

「可愛い子なんだってー。私と違って声も可愛くて、あいつにとって高嶺の花で、未だに手も握れない片想いなんだって。笑っちゃうでしょ?散々浮気してた奴が何純愛ぶってんだか。相手は彼氏いるんだけどあっちもあっちで浮気してる男みたいでさ、相談乗ってそのまま奪い去るって意気揚々ですよ」

しほなの自虐混じりの言い方に俺は黙って聞いていた。

「不思議よね。浮気してた時は結局許せてたけど、本気だって分かったら許すとかじゃなくて解放してあげようなんて思うなんてさ」

俺はしほなの言ってる事が理解できなかった。解放って?
理解不能。

マスターはきっと聞こえているんだろうが、ただ黙々と仕事をしていた。

「とにかく私はもう彼とは別れましたー。って報告です」

話し終えたしほなは意外とさっぱりしていた。もし泣かれたらと少しビクビクしていた。
静かなバーでそこそこ客が居たからだ。
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