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ロク
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「正二さん、借りていた本、返しに来ました」
美都子が訪問していたのに気づかず、一彦が本を返しに縁側からやって来た。
美都子は久しぶりすぎて、若い男が一彦だとは直ぐに気が付かなかった。
「……あんた、一彦?」
一彦も美都子に気が付き、摂子の事があったので、つい眉間に皺を寄せ嫌な顔をしてしまった。
「お久しぶりです、美都子さん」
「あー!本当に一彦なんだ!あんた、しばらく見ないうちに逞しくなったわねー。最後に見たのいつだったかしら」
一彦の態度を無視して美都子は話を続ける。 2人が最後に会ったのは、3年前の戸灘の葬儀の時だった。
「今は何をしてんのよ」
「まだ学生です。大学行ってます」
立派になった一彦を見て、良い事を思い付いたと美都子はニヤリと笑った。
「あんた、ここで摂子としょっちゅう会ってるんでしょ?」
「ええ、まぁ」
「じゃあさ、あんた摂子と結婚しない?」
突然の話に一彦は目が点になる。
出来る事なら一彦だって摂子と結婚したいとは思っているが、摂子が一彦に愛情が無いのは一彦自身がよく分かっている。
「美都子!」
正二が美都子に声を荒げた。
「つまらん事言って一彦を困らせるな」
「何がよ!兄さんが結婚するつもりないなら、摂子と一彦が結婚したら戸灘の家も安泰じゃない!一彦の両親には私からちゃんと話すし」
美都子はとにかく摂子を結婚させて、鷹雄のそばから離したかった。
「あのッ!俺、まだ学生だって言ってるじゃないですか!それにせっちゃんの意向もあるでしょうし」
美都子に進められるのは不本意で一彦も意見する。
「五月蝿いねぇ。私が決めたんならそれで進めるんよ。今すぐ結婚が無理なら婚約でも良いじゃないか」
美都子の迫力に一彦は言葉を失う。
正直、頭の片隅には、摂子と婚約できるのは嬉しいと言う思いもあった。
「私にぜーんぶ任しておけば良いんよ。大学卒業したら、直ぐに式を上げりゃ良いさ」
もう決定事項の様に、美都子は得意げな顔で笑った。
美都子が訪問していたのに気づかず、一彦が本を返しに縁側からやって来た。
美都子は久しぶりすぎて、若い男が一彦だとは直ぐに気が付かなかった。
「……あんた、一彦?」
一彦も美都子に気が付き、摂子の事があったので、つい眉間に皺を寄せ嫌な顔をしてしまった。
「お久しぶりです、美都子さん」
「あー!本当に一彦なんだ!あんた、しばらく見ないうちに逞しくなったわねー。最後に見たのいつだったかしら」
一彦の態度を無視して美都子は話を続ける。 2人が最後に会ったのは、3年前の戸灘の葬儀の時だった。
「今は何をしてんのよ」
「まだ学生です。大学行ってます」
立派になった一彦を見て、良い事を思い付いたと美都子はニヤリと笑った。
「あんた、ここで摂子としょっちゅう会ってるんでしょ?」
「ええ、まぁ」
「じゃあさ、あんた摂子と結婚しない?」
突然の話に一彦は目が点になる。
出来る事なら一彦だって摂子と結婚したいとは思っているが、摂子が一彦に愛情が無いのは一彦自身がよく分かっている。
「美都子!」
正二が美都子に声を荒げた。
「つまらん事言って一彦を困らせるな」
「何がよ!兄さんが結婚するつもりないなら、摂子と一彦が結婚したら戸灘の家も安泰じゃない!一彦の両親には私からちゃんと話すし」
美都子はとにかく摂子を結婚させて、鷹雄のそばから離したかった。
「あのッ!俺、まだ学生だって言ってるじゃないですか!それにせっちゃんの意向もあるでしょうし」
美都子に進められるのは不本意で一彦も意見する。
「五月蝿いねぇ。私が決めたんならそれで進めるんよ。今すぐ結婚が無理なら婚約でも良いじゃないか」
美都子の迫力に一彦は言葉を失う。
正直、頭の片隅には、摂子と婚約できるのは嬉しいと言う思いもあった。
「私にぜーんぶ任しておけば良いんよ。大学卒業したら、直ぐに式を上げりゃ良いさ」
もう決定事項の様に、美都子は得意げな顔で笑った。
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