貉達の燔祭 (鳴かない杜鵑 spin off3)

五嶋樒榴

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シチ

13

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「本当にこれで良かったの?もう美都子さんは居ないんだ。摂子が鷹雄さんと一緒になるのに、何も障害はないんだぞ」

摂子に寄り添う一彦は、心配そうに摂子に尋ねる。
今日、この場に摂子を連れて来たのは、摂子が戸灘家の養女だからと言うだけでなく、鷹雄と結ばれても仕方ないと決心したからだった。

「いいえ。これで良いんです。私は鷹雄さんと美都子さんから逃げたんだもの。亡くなったからって戻ってくるなんて、そんな虫のいい話は無いわ」

そうしなければならない選択をしたのは、そもそも美都子の存在だったせいだが、美都子から愛する鷹雄を奪ったのだから、鷹雄と美都子が正式に別れるのを待てば良かったのに、きちんと避妊が出来なかったのは自分の責任だと摂子は思っている。

「私は美都子さんに結局負けたのよ」

寂しそうに摂子は微笑む。

「……どう言う事?」

「美都子さんは飯塚鷹雄の妻として死んだの。元妻ではなく。美都子さんは、私よりずっと強かった。何があっても1度も鷹雄さんから逃げなかった。最後まで鷹雄さんを愛したのよ」

妻と言うプライドは最後まで、どんなに鷹雄に愛されなくとも美都子は手放しはしなかった。
摂子の言葉に一彦は何も言い返せない。

「私はいつも誰かに甘えていたわ。鷹雄さん、正二さん。そして一彦さん」

摂子は一彦の顔を見て微笑んだ。

「鷹雄さんに夢子を会わせてくれてありがとう。ちゃんとお別れさせてくれてありがとう」

震える声で泣く摂子の肩を、一彦は優しく抱き寄せた。

「摂子。帰ろう。3人で」
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