あなたの指先で触れられたい

五嶋樒榴

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愛し合う事の意味

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季節は巡り、庭の梅の木に、梅の実が鈴生りに生っている。
真冬は手の届く場所の梅の実を摘み、蓮見は高枝切りバサミで高い場所の梅の実を摘んでいる。
バケツ一杯になり、真冬は嬉しそうに梅の実を手に取る。
太陽の光を浴びた青緑色の実は、ツヤがあり綺麗だった。
「これだけあれば、梅酒も梅ジュースも作れるな。夏にはこれで乾杯しよう」
楽しそうに蓮見が言うと、真冬も嬉しそうに頷く。
蓮見がバケツを家の中に運ぶ。その後ろを真冬も付いて行く。
「この先はどうするんだ?」
キッチンのシンクの中に梅の実をバケツごと入れる。
「ネットで調べたら、洗って水に浸けたあと、丁寧に拭いてよく乾かしたら、その後ホワイトリカーと氷砂糖で漬けるんだって。梅ジュースもアルコールを入れないだけで同じ要領みたい」
楽しそうに、梅の実を1つずつ洗って真冬は蓮見に微笑む。
蓮見が背後から、真冬を包むよう抱きつき一緒になって梅の実を洗う。
「もう!洗いにくいよ」
真冬はそう言うが嬉しそうだった。
蓮見の指が、真冬の指に絡まる。
ぽちゃんと洗っていた梅の実が、水の入ったバケツに落ちた。
「真冬の手は小さいな。俺に比べたら細くて小さい」
掌を重ね合って蓮見が言う。真冬はふふふと笑う。
大きいのは掌だけじゃない。蓮見の大きな心にいつも包まれて、真冬は夢のような甘い生活を送ってきたんだと実感した。
「もうすぐ僕達、一緒に住んで1年になるね」
真冬が蓮見の指先をそっと握って言う。
「この先もずっとずっと、優しいこの指先で触れられていたい」
真冬が言うと、蓮見はゆっくり真冬の身体を自分に向けて優しく抱きしめる。
「もちろんだよ。何があっても離さない。真冬はずっと俺の恋人だ。一生幸せにするよ。愛してる」
蓮見の求愛《プロポーズ》に真冬は天使の笑顔で喜ぶ。
「僕も愛してます。奏一郎さん」
蓮見と真冬は微笑み合い、おでこをくっつけて見つめ合う。
見つめ合ったまま静かに唇を重ね、2人は世界で一番幸せなキスをした。





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