あなたの指先で触れられたい

五嶋樒榴

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特別編・クリスマス狂騒曲

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夕方近くに蓮見からメールが入った。
スーパーの出来事で、過敏になっているのか嫌な予感がして、真冬は恐る恐るメールを開いた。
【なんとか定時に上がれそうだよ。橋元と一緒に帰るから。礼央君は先に行くって】
蓮見からのメールは不安なものではなかったので真冬はホッとした。
【分かったよ。先生も気をつけて帰って来てね!】
真冬は返事を返すとすき焼きの準備を始めた。
下ごしらえが終わる頃インターホンが鳴った。
宅急便が届いて真冬はホッとした。蓮見のクリスマスプレゼントだと思って玄関に出る。
注文したのは高級ブランドの、ネット限定シリアルナンバー入りの万年筆だった。
「ご苦労様です!」
明るく真冬が出ると、宅急便のドライバーに笑顔はなかった。
「……あのッ!その………………」
ドライバーは荷物を持っていない。困った顔をしている。
真冬は、ん?と言う顔でドライバーを見た。
「すみません!午前中に1度配達に来たんですけど、時間指定前なので持ち帰ったんですよ。それで営業所に1度荷物を下ろしたら、こちらの荷物を他のトラックが持って行ってしまって!今、他の場所に行っていて」
ドライバーの説明に真冬は唖然とする。
そんな事があるのかとびっくりだった。
「今日はイブで配達が多くて、配送のスタッフもごちゃごちゃしてて」
言い訳をするが、真冬は言葉が出ない。
「……いつ、うちに届くんですか?」
真冬は泣きそうになった。
「あのッ、21時までにはお届けできると思います」
蓮見に秘密にして準備していたプレゼント。
橋元達が帰った後、ふたりきりになった時に渡そうと計画していたのに、21時に着いたらモロバレである。
今日は大学の授業も無く、午前中にサッサと買い物を済ませて夕方前には荷物が届くようにしていたのに、計画が台無しになってしまった。
「……分かりました。ちゃんと配達してくださいね」
真冬はそう言うしかなく、ドライバーは頭を下げて帰ろうとした。
「あ!待って!すみません、お願いがあります!」
真冬はドライバーを呼び止めお願い事をする。
「分かりました!本当にすみませんでした!」
泣きたいのを我慢して真冬は玄関の扉を閉め、ガッカリしながらキッチンに戻った。
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