106 / 195
その罪を許せるか許せないか
19
しおりを挟む
美紅と千秋は4月中旬に正式に離婚して、二人で住んでいた部屋の美紅の荷物も全て処分した。
美紅の両親は、千秋に慰謝料を請求しなさいと美紅に言ったが、美紅は千秋が渡してくれた預貯金だけしか受け取らなかった。
慰謝料をもらったら、千秋と美奈子の関係を肯定するようで嫌だった。もう美奈子に縛られたくないと思った。
龍彦を始め、シェアハウスの面々にも報告したが、余計な事は一切触れてこなかったので、美紅は普段通り接してくれるみんなに感謝した。
『もしもーし。美紅ちゃん?久しぶりに飲みの誘い』
電話は、業務提携先の東堂コーポレーションの敏腕女性課長の真壁環だった。
美紅が新人の頃から環には可愛がられて、千秋も仕事の繋がりでたまに飲みに行っている女性だった。
千秋が美奈子と食事に行った時に、環と飲みに行った事になっているが、その時の事は美紅はもう忘れていた。
その千秋の嘘は、美紅は知らずに終わっていた。
「お久しぶりです!わーい。環さんと飲み会楽しみ。ぜひお願いします」
『じゃあ、今度の金曜日によろしくー』
美紅はリビングで電話をしていたので、電話を切ると龍彦が美紅を見る。
「環さんて、東堂の真壁課長?あ、別に聞き耳立ててたわけじゃねーよ!聞いたことのある名前が聞こえたからッ」
龍彦は誤解されたくなくて必死に言い訳をする。
「うん。その真壁課長。亘理君も何度か飲みに行ってるでしょ?」
「まぁ、仕事繋がりだけどね。下の名前呼びって仲が良いんだな」
どこでも可愛がられる奴だなと龍彦は思った。
「うん!環さん楽しいし、すっごく好き。楽しみだなぁ。美味しいお店連れて行ってもらえるし」
楽しそうな美紅の顔を見て龍彦は微笑む。
「へぇ。良いなぁ。今度俺も連れてってよ」
「うん!良いよ。みんなで行こうね」
みんなでと言われて龍彦はクスッと笑う。
「そうだな。みんなでたまにはパーッと飲みに行くか。って沙優と隆和が一番予定つかねーんだった。ま、俺は原田と二人でもいーけどさ」
二人でと言われて美紅はドキッする。龍彦はニヤッと笑う。
今までは男性と飲みにも行けなかったことも、もう気にする必要がないんだと美紅は思った。
「うん!じゃあ、環さんに色々お店聞いておくね」
「ああ。よろしくー」
龍彦の笑顔に美紅は癒された。
今までお世話になったことも、少しずつ返していこうと思った。
美紅の両親は、千秋に慰謝料を請求しなさいと美紅に言ったが、美紅は千秋が渡してくれた預貯金だけしか受け取らなかった。
慰謝料をもらったら、千秋と美奈子の関係を肯定するようで嫌だった。もう美奈子に縛られたくないと思った。
龍彦を始め、シェアハウスの面々にも報告したが、余計な事は一切触れてこなかったので、美紅は普段通り接してくれるみんなに感謝した。
『もしもーし。美紅ちゃん?久しぶりに飲みの誘い』
電話は、業務提携先の東堂コーポレーションの敏腕女性課長の真壁環だった。
美紅が新人の頃から環には可愛がられて、千秋も仕事の繋がりでたまに飲みに行っている女性だった。
千秋が美奈子と食事に行った時に、環と飲みに行った事になっているが、その時の事は美紅はもう忘れていた。
その千秋の嘘は、美紅は知らずに終わっていた。
「お久しぶりです!わーい。環さんと飲み会楽しみ。ぜひお願いします」
『じゃあ、今度の金曜日によろしくー』
美紅はリビングで電話をしていたので、電話を切ると龍彦が美紅を見る。
「環さんて、東堂の真壁課長?あ、別に聞き耳立ててたわけじゃねーよ!聞いたことのある名前が聞こえたからッ」
龍彦は誤解されたくなくて必死に言い訳をする。
「うん。その真壁課長。亘理君も何度か飲みに行ってるでしょ?」
「まぁ、仕事繋がりだけどね。下の名前呼びって仲が良いんだな」
どこでも可愛がられる奴だなと龍彦は思った。
「うん!環さん楽しいし、すっごく好き。楽しみだなぁ。美味しいお店連れて行ってもらえるし」
楽しそうな美紅の顔を見て龍彦は微笑む。
「へぇ。良いなぁ。今度俺も連れてってよ」
「うん!良いよ。みんなで行こうね」
みんなでと言われて龍彦はクスッと笑う。
「そうだな。みんなでたまにはパーッと飲みに行くか。って沙優と隆和が一番予定つかねーんだった。ま、俺は原田と二人でもいーけどさ」
二人でと言われて美紅はドキッする。龍彦はニヤッと笑う。
今までは男性と飲みにも行けなかったことも、もう気にする必要がないんだと美紅は思った。
「うん!じゃあ、環さんに色々お店聞いておくね」
「ああ。よろしくー」
龍彦の笑顔に美紅は癒された。
今までお世話になったことも、少しずつ返していこうと思った。
0
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる