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その罪を許せるか許せないか
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美紅は部屋に戻るとベッドにうつ伏せで横になった。
千秋と離婚したばかりなのに、優しくしてくれる龍彦が気になることに自己嫌悪になる。
しかも龍彦には、沙優と言う素敵な相手がいることを知り、余計に落ち込んでしまった。
馬鹿だな。
優しくされて好きになっていくなんて、ありがちなパターン私も陥るとか。
弱ってる時に、そう言う気持ちになるのがよく分かった。
きっとこれは寂しさなんだ。
亘理君が優しいから勘違いしただけ。
私は亘理君にとってただの同期で友人だもん。
千秋さんのことで悩んでたから、優しく相談に乗ってくれてただけなのに。
そう自分に言い聞かせても、その気持ちをどうすればいいか悩み、美紅はスマホを手に取ると絹子に電話をした。
『もしもし、久しぶりじゃん。元気になった?』
絹子の声を聞いて美紅はホッとする。
「うん、元気だよ。ただ絹子がGWは遊んでくれなかったから寂しかった」
わざと愚痴をこぼすと絹子は笑う。
『ごめんごめん。彼氏が珍しく長期で休み取れたからさ。近いうちに会ってちゃんと話聞いてやるから。で?今日はどうした?』
「実はねー。変な話だけど、引いたり呆れたりしないでね」
『何よ、その前置き』
美紅は、なぜ龍彦が気になるのか。
優しくしてくれる龍彦を好きになるのが怖くなる。
好きになっても、龍彦には沙優がいると分かっていて辛くなる。
バツイチの自分に好意を持たれて、迷惑だと思われて距離を置かれるのが怖い。
など、今自分の中に抱えている事を絹子に話した。
『そう言うことか。まぁ、確かに弱ってるところに近場で優しくされたら、誤解っていうか気持ちも傾くわよね』
「うん。でも、彼女のいる人を好きになっても辛いだけだし、これ以上気になる前に離れた方が良いかなって。でも、ここを離れるにはそれなりの理由が必要じゃない?亘理君が気になるから出ていくとは言えないよ」
『確かにね。別居して行くところがないってお世話になった場所なのに、離婚してもう帰る場所が全くないのに、適当な理由で出て行くのはないよね』
「でしょ?だから、亘理君が気になるから出ていきます。なんて絶対に言えない」
そこまで龍彦に気持ちが傾いてるのかと絹子は思った。
友人としては、次にまた恋をして欲しいとは思っていたが、まさかの彼女持ちのような男は勧められないと考える。
『たださ、本当に辛いなら逃げていいと思う。千秋さんとも距離を置いて結論出せたじゃない。その亘理さんのことも、距離を置いて自分の気持ちを整理すれば良いんじゃない?近すぎて甘えていたのが恋だと錯覚してるのか、本当に亘理さんの人柄に恋してしまったのか。自分の中で答えを出してから、亘理さんに本当に恋人がいるのか確かめても今の美紅には遅くないと思うけどな』
絹子が冷静にアドバイスしてくれて美紅はホッとした。
『美紅は離婚してこれからは自由なんだから。そのためにも、今は自分の気持ちと向き合って前に進まないと』
絹子の言葉に背中を押してもらった気がした。
確かに龍彦に対して、本当に恋しているのか、優しくされて錯覚しているのか、今の美紅には判断できていなかった。
千秋の時のように、少し離れて答えを出しても遅くないと美紅も納得した。
千秋と離婚したばかりなのに、優しくしてくれる龍彦が気になることに自己嫌悪になる。
しかも龍彦には、沙優と言う素敵な相手がいることを知り、余計に落ち込んでしまった。
馬鹿だな。
優しくされて好きになっていくなんて、ありがちなパターン私も陥るとか。
弱ってる時に、そう言う気持ちになるのがよく分かった。
きっとこれは寂しさなんだ。
亘理君が優しいから勘違いしただけ。
私は亘理君にとってただの同期で友人だもん。
千秋さんのことで悩んでたから、優しく相談に乗ってくれてただけなのに。
そう自分に言い聞かせても、その気持ちをどうすればいいか悩み、美紅はスマホを手に取ると絹子に電話をした。
『もしもし、久しぶりじゃん。元気になった?』
絹子の声を聞いて美紅はホッとする。
「うん、元気だよ。ただ絹子がGWは遊んでくれなかったから寂しかった」
わざと愚痴をこぼすと絹子は笑う。
『ごめんごめん。彼氏が珍しく長期で休み取れたからさ。近いうちに会ってちゃんと話聞いてやるから。で?今日はどうした?』
「実はねー。変な話だけど、引いたり呆れたりしないでね」
『何よ、その前置き』
美紅は、なぜ龍彦が気になるのか。
優しくしてくれる龍彦を好きになるのが怖くなる。
好きになっても、龍彦には沙優がいると分かっていて辛くなる。
バツイチの自分に好意を持たれて、迷惑だと思われて距離を置かれるのが怖い。
など、今自分の中に抱えている事を絹子に話した。
『そう言うことか。まぁ、確かに弱ってるところに近場で優しくされたら、誤解っていうか気持ちも傾くわよね』
「うん。でも、彼女のいる人を好きになっても辛いだけだし、これ以上気になる前に離れた方が良いかなって。でも、ここを離れるにはそれなりの理由が必要じゃない?亘理君が気になるから出ていくとは言えないよ」
『確かにね。別居して行くところがないってお世話になった場所なのに、離婚してもう帰る場所が全くないのに、適当な理由で出て行くのはないよね』
「でしょ?だから、亘理君が気になるから出ていきます。なんて絶対に言えない」
そこまで龍彦に気持ちが傾いてるのかと絹子は思った。
友人としては、次にまた恋をして欲しいとは思っていたが、まさかの彼女持ちのような男は勧められないと考える。
『たださ、本当に辛いなら逃げていいと思う。千秋さんとも距離を置いて結論出せたじゃない。その亘理さんのことも、距離を置いて自分の気持ちを整理すれば良いんじゃない?近すぎて甘えていたのが恋だと錯覚してるのか、本当に亘理さんの人柄に恋してしまったのか。自分の中で答えを出してから、亘理さんに本当に恋人がいるのか確かめても今の美紅には遅くないと思うけどな』
絹子が冷静にアドバイスしてくれて美紅はホッとした。
『美紅は離婚してこれからは自由なんだから。そのためにも、今は自分の気持ちと向き合って前に進まないと』
絹子の言葉に背中を押してもらった気がした。
確かに龍彦に対して、本当に恋しているのか、優しくされて錯覚しているのか、今の美紅には判断できていなかった。
千秋の時のように、少し離れて答えを出しても遅くないと美紅も納得した。
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