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伊織の愛車の助手席にジュリはいた。
六本木の鴉の報告をすると言う名目で、伊織はジュリをデートに誘ったのだった。
レイーボーブリッジが見える、海浜公園の駐車場に車を停めて話を始めた。
「随分スムーズに行ってるじゃない」
ジュリが上から目線な言い方をしても伊織は笑う。
「俺を誰だと思ってる?お前が伊丹さんにバレたくないようだから、水面下でめっちゃ頑張ってんのよん。ただ真幸には話してある。もちろん誠竜会として問題にならないようにしてあるから心配すんな」
伊織の得意げな顔にジュリは赤面してムッとする。
「僕に貸しを作ってるつもり?感謝なんてしないよ。ちゃんと報酬は払うしッ!」
ジュリはムキになる。
「じゃあ、まずは手付金を払ってもらうかな。もうだいぶ金をばら撒いてるし」
ふふふと余裕の顔で伊織は言う。
「…………全部、出世払いで良い?大学出たらパパの片腕になる予定だから」
手付金でも高額を請求されるのは分かっている。
とてもではないが、支払えるほど自由になる金は今のジュリにはない。
「甘いこと言うなよ。人に物頼んで出世払い?お前だって知ってんだろ?金の稼ぎ方ぐらい」
伊織はジュリの両腕を握りシートに押さえつける。
「…………分かったよ!稼いでくれば良いんだろ!男と寝るぐらいなんでもねーよ!」
カッとしながら興奮してジュリは言う。
どこかに甘い考えがあった。
バックに伊丹がいるのだから、伊織が協力してくれると。
だが伊織の、眼鏡の奥の氷のように冷たい瞳を見て、それは無いことを知った。
別に良いさ。
男とヤるために女になったんだ。
ジュリはそう思いながら、伊織の唇を見つめた。
薄く引き締まった唇に釘付けになる。
が、次の瞬間、その唇が震えた。
「ブッ!ぶはははははははッ!あはははははははッ!」
突然伊織が爆笑し始めてジュリはビックリする。
「あははははははははははは!」
笑いが止まらないのでジュリは真っ赤になって伊織を睨む。
「な!何、爆笑してんだよ!馬鹿にするのも良い加減にしろよ!」
ジュリが叫ぶと、伊織はジュリの手首を押さえたまま、ジュリの胸に顔を付けた。ジュリはビクッとして固まった。
「はははは。お前の、その顔!ひーッ、傑作だし!」
まだジュリを押さえつけて笑っているが、ジュリは伊織の力に抵抗できない。
「…………冗談に決まってんだろ。お前のその身体、他の野郎に抱かれるなんて知ったらその前に俺が抱く」
やっと落ち着いてきたのか、伊織はそう言ってまだジュリの胸に顔を埋めていた。
「心臓の音、すげーな。そんなにビビってんの?」
静かに伊織は言う。
「う、うるせーッ!あんたが、僕に凄んだからだろ!」
ジュリが震えているので、伊織は手首から手を離すとジュリを抱きしめる。
「俺の気持ち知ってて、俺を手玉に取ろうとするからだろ」
伊織がそう言うと、ジュリは抱きしめられている腕の中で暴れる。
「あんたを手玉になんか取れるわけねーだろ!マジでこえーよ!あんた!」
伊織はジュリが暴れるので更に強く抱きしめる。
ジュリは苦しくて動けなくなった。
「苦しいよッ!離せよ!」
「俺を好きだって言ったら離してやる」
伊織の言葉にジュリはドキッとする。
「言うか!好きじゃない!バーカ!」
「俺はお前が好きだ。じゃなきゃ、ふたりきりになった瞬間、とっくに犯してるわ、バーカッ!」
伊織のセリフにジュリのドキドキは止まらない。
「…………よく言うよ!あの日以来、ほったらかしだったくせしてよ!僕がこの件を頼まなかったら僕に近づこうとしなかったくせに!バーカ!」
ジュリは自分でも何を言っているのか分からなくなる。まるで寂しかったと抗議しているようだと思った。
「バーカ。お前が大事だからだよ。本当はどうやってお前を口説こうかずっと考えてんの。ふたりきりになると暴走しそうだから、お前の受験が終わるまで距離を置いてたんだよ。やっとお前を口説き落とそうとしていた矢先にこの案件だ!全く、この俺を本気にさせやがって。バーカ!」
伊織はやっとジュリを離した。
伊織の告白に、ジュリは心臓がバクバクとしてなんて答えて良いか分からない。
「…………必ずお前は俺を好きになる。お前から俺にキスしたくなるようにしてやるから覚悟しておけ」
伊織は余裕の顔で言い放つと車をスタートさせた。
ジュリは伊織を見つめたまま、ドキドキと胸が高鳴るのが恥ずかしくて仕方なかった。
六本木の鴉の報告をすると言う名目で、伊織はジュリをデートに誘ったのだった。
レイーボーブリッジが見える、海浜公園の駐車場に車を停めて話を始めた。
「随分スムーズに行ってるじゃない」
ジュリが上から目線な言い方をしても伊織は笑う。
「俺を誰だと思ってる?お前が伊丹さんにバレたくないようだから、水面下でめっちゃ頑張ってんのよん。ただ真幸には話してある。もちろん誠竜会として問題にならないようにしてあるから心配すんな」
伊織の得意げな顔にジュリは赤面してムッとする。
「僕に貸しを作ってるつもり?感謝なんてしないよ。ちゃんと報酬は払うしッ!」
ジュリはムキになる。
「じゃあ、まずは手付金を払ってもらうかな。もうだいぶ金をばら撒いてるし」
ふふふと余裕の顔で伊織は言う。
「…………全部、出世払いで良い?大学出たらパパの片腕になる予定だから」
手付金でも高額を請求されるのは分かっている。
とてもではないが、支払えるほど自由になる金は今のジュリにはない。
「甘いこと言うなよ。人に物頼んで出世払い?お前だって知ってんだろ?金の稼ぎ方ぐらい」
伊織はジュリの両腕を握りシートに押さえつける。
「…………分かったよ!稼いでくれば良いんだろ!男と寝るぐらいなんでもねーよ!」
カッとしながら興奮してジュリは言う。
どこかに甘い考えがあった。
バックに伊丹がいるのだから、伊織が協力してくれると。
だが伊織の、眼鏡の奥の氷のように冷たい瞳を見て、それは無いことを知った。
別に良いさ。
男とヤるために女になったんだ。
ジュリはそう思いながら、伊織の唇を見つめた。
薄く引き締まった唇に釘付けになる。
が、次の瞬間、その唇が震えた。
「ブッ!ぶはははははははッ!あはははははははッ!」
突然伊織が爆笑し始めてジュリはビックリする。
「あははははははははははは!」
笑いが止まらないのでジュリは真っ赤になって伊織を睨む。
「な!何、爆笑してんだよ!馬鹿にするのも良い加減にしろよ!」
ジュリが叫ぶと、伊織はジュリの手首を押さえたまま、ジュリの胸に顔を付けた。ジュリはビクッとして固まった。
「はははは。お前の、その顔!ひーッ、傑作だし!」
まだジュリを押さえつけて笑っているが、ジュリは伊織の力に抵抗できない。
「…………冗談に決まってんだろ。お前のその身体、他の野郎に抱かれるなんて知ったらその前に俺が抱く」
やっと落ち着いてきたのか、伊織はそう言ってまだジュリの胸に顔を埋めていた。
「心臓の音、すげーな。そんなにビビってんの?」
静かに伊織は言う。
「う、うるせーッ!あんたが、僕に凄んだからだろ!」
ジュリが震えているので、伊織は手首から手を離すとジュリを抱きしめる。
「俺の気持ち知ってて、俺を手玉に取ろうとするからだろ」
伊織がそう言うと、ジュリは抱きしめられている腕の中で暴れる。
「あんたを手玉になんか取れるわけねーだろ!マジでこえーよ!あんた!」
伊織はジュリが暴れるので更に強く抱きしめる。
ジュリは苦しくて動けなくなった。
「苦しいよッ!離せよ!」
「俺を好きだって言ったら離してやる」
伊織の言葉にジュリはドキッとする。
「言うか!好きじゃない!バーカ!」
「俺はお前が好きだ。じゃなきゃ、ふたりきりになった瞬間、とっくに犯してるわ、バーカッ!」
伊織のセリフにジュリのドキドキは止まらない。
「…………よく言うよ!あの日以来、ほったらかしだったくせしてよ!僕がこの件を頼まなかったら僕に近づこうとしなかったくせに!バーカ!」
ジュリは自分でも何を言っているのか分からなくなる。まるで寂しかったと抗議しているようだと思った。
「バーカ。お前が大事だからだよ。本当はどうやってお前を口説こうかずっと考えてんの。ふたりきりになると暴走しそうだから、お前の受験が終わるまで距離を置いてたんだよ。やっとお前を口説き落とそうとしていた矢先にこの案件だ!全く、この俺を本気にさせやがって。バーカ!」
伊織はやっとジュリを離した。
伊織の告白に、ジュリは心臓がバクバクとしてなんて答えて良いか分からない。
「…………必ずお前は俺を好きになる。お前から俺にキスしたくなるようにしてやるから覚悟しておけ」
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