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伊織は金で雇った男に、エリア留めの荷物を受け取る様に指示をして、やっと六本木の鴉を手に入れた。
中を確認して、10粒ほど錠剤が入った袋から、半分を別のビニール袋に入れ、宛名が書かれた封筒を手に取る。
その受取人の名前は疾風だった。
今この状況で、信用できる警察内部の人間は疾風しかいないと思い、調べておいた疾風のマンションに届く様に宛先の住所を書いていた。
差出人の名前は適当に書き、金町署の最寄駅の金町駅のポストに投函した。
疾風の手に無事に届き、ダメ元でも警察で何か動きがあればと祈った。
ただ疾風は所轄の人間。警視庁まで上がるか、はたまた揉み消される危険があるかもしれないと思うとこれは賭けだと思った。
だから、万が一警察に揉み消されても良い様に半分残してもいる。
まずは疾風を信じてみようと思った。
伊織はその足で伊丹の家に出向いた。
家の近くに車を停め、ジュリに電話をかける。
『六本木の鴉買えたのか?』
ジュリは伊織からの連絡を待っていた様に声が弾んだ。
「おいおい、嬉しそうな声出すなよ。もっと焦らせば良かったか?」
ふふふと笑いながら伊織は言う。
『バーカ。別にあんたの電話を待ちわびてたわけじゃねーわ!六本木の鴉、入手出来たのかよッ?』
イライラしながらジュリは尋ねる。
「お前、今から出て来れる?」
伊織の言葉にジュリはドキッとする。
『な、なんでだよッ!どこにいるんだよッ!』
「直ぐ近くー。直接会って話したいかなぁ」
ふざけながら伊織は誘う。
『近いなら、うちに来ればいいじゃん!』
ジュリはドキドキする。
どうしてこんなに、伊織に対しては、自分が冷静でいられなくなるのかジュリは悔しい。
今この自分の姿を、射撃の師匠に見せる事が恥ずかしくて出来ないと思った。
元は父親に対する復讐だったが、伊丹を守るために射撃の腕は今も磨き続けている。
それが身体がオンナになってからと言うもの、伊織を意識しだしてから特に集中力が変わってきてしまった。
大学受験が終わり、最近師匠に会った時には集中力が無いと注意を受けた。
ジュリの中で伊丹の娘になった時から、心の中も激しく変化してきたのを自分では否定しながらも感じていた。
こんなのは僕じゃない!
別にアイツをなんとも思ってなんかいない!
そう思いながらも、伊織が目の前に浮かぶと、ジュリの中のオンナが自然と芽生えてしまう。
必ずお前は俺を好きになる。お前から俺にキスしたくなるようにしてやるから覚悟しておけ。
伊織の言葉を思い出しながら、ジュリは到着した伊織を家に招き入れた。
「よう。伊丹さん留守なのか?」
伊織はリビングに通されるとジュリに尋ねる。
「ああ。まだ戻ってない。だから上げた」
ツンケンしながらジュリが言うと伊織はフッと笑う。
「一応、気を遣ってやったんだぜ。伊丹さんには内緒のことだしな」
「ああ。ありがとう」
プイッと顔を背けてジュリは言う。
「六本木の鴉の件は、信用出来そうな警察関係者に送った。まぁ、警察がダメならまた別の手段を考えるけどさ。もし揉み消されれば、警察内部にも愚嵐怒と繋がりがある奴がいる事も分かるし」
今回疾風に送ったのは、警察に揺さぶりをかけるつもりでもあった。
警察が動けば、愚嵐怒単独の犯行だと確認ができる。
揉み消されれば、それを飯塚組長への手土産にするつもりだった。
暴対法で厳しくなっている今、警察の弱味はいくらあっても邪魔にはならない。
「とりあえず、もうお前はこの件には何も心配する事はねぇよ。俺や真幸に任せておけ」
伊織はそう言うとジュリの頭をポンポンとする。
ジュリは真っ赤になってその手を払い除けた。
「子供扱いすんな!僕だってそのうちパパの片腕になるんだ!その時には、あんたにきっちり借りを返すわッ!」
ムキになるジュリを見て伊織は笑う。
「伊丹さんの片腕ねぇ。それよりも俺のオンナになってんじゃね?俺に惚れて骨抜きにしてやるよ」
ふふふと笑って伊織は熱い目でジュリを見つめる。
「…………五月蝿い!ならねーよ!あんたに惚れるわけないだろ!」
ジュリがそう叫んでも、伊織はただ笑って余裕だった。
中を確認して、10粒ほど錠剤が入った袋から、半分を別のビニール袋に入れ、宛名が書かれた封筒を手に取る。
その受取人の名前は疾風だった。
今この状況で、信用できる警察内部の人間は疾風しかいないと思い、調べておいた疾風のマンションに届く様に宛先の住所を書いていた。
差出人の名前は適当に書き、金町署の最寄駅の金町駅のポストに投函した。
疾風の手に無事に届き、ダメ元でも警察で何か動きがあればと祈った。
ただ疾風は所轄の人間。警視庁まで上がるか、はたまた揉み消される危険があるかもしれないと思うとこれは賭けだと思った。
だから、万が一警察に揉み消されても良い様に半分残してもいる。
まずは疾風を信じてみようと思った。
伊織はその足で伊丹の家に出向いた。
家の近くに車を停め、ジュリに電話をかける。
『六本木の鴉買えたのか?』
ジュリは伊織からの連絡を待っていた様に声が弾んだ。
「おいおい、嬉しそうな声出すなよ。もっと焦らせば良かったか?」
ふふふと笑いながら伊織は言う。
『バーカ。別にあんたの電話を待ちわびてたわけじゃねーわ!六本木の鴉、入手出来たのかよッ?』
イライラしながらジュリは尋ねる。
「お前、今から出て来れる?」
伊織の言葉にジュリはドキッとする。
『な、なんでだよッ!どこにいるんだよッ!』
「直ぐ近くー。直接会って話したいかなぁ」
ふざけながら伊織は誘う。
『近いなら、うちに来ればいいじゃん!』
ジュリはドキドキする。
どうしてこんなに、伊織に対しては、自分が冷静でいられなくなるのかジュリは悔しい。
今この自分の姿を、射撃の師匠に見せる事が恥ずかしくて出来ないと思った。
元は父親に対する復讐だったが、伊丹を守るために射撃の腕は今も磨き続けている。
それが身体がオンナになってからと言うもの、伊織を意識しだしてから特に集中力が変わってきてしまった。
大学受験が終わり、最近師匠に会った時には集中力が無いと注意を受けた。
ジュリの中で伊丹の娘になった時から、心の中も激しく変化してきたのを自分では否定しながらも感じていた。
こんなのは僕じゃない!
別にアイツをなんとも思ってなんかいない!
そう思いながらも、伊織が目の前に浮かぶと、ジュリの中のオンナが自然と芽生えてしまう。
必ずお前は俺を好きになる。お前から俺にキスしたくなるようにしてやるから覚悟しておけ。
伊織の言葉を思い出しながら、ジュリは到着した伊織を家に招き入れた。
「よう。伊丹さん留守なのか?」
伊織はリビングに通されるとジュリに尋ねる。
「ああ。まだ戻ってない。だから上げた」
ツンケンしながらジュリが言うと伊織はフッと笑う。
「一応、気を遣ってやったんだぜ。伊丹さんには内緒のことだしな」
「ああ。ありがとう」
プイッと顔を背けてジュリは言う。
「六本木の鴉の件は、信用出来そうな警察関係者に送った。まぁ、警察がダメならまた別の手段を考えるけどさ。もし揉み消されれば、警察内部にも愚嵐怒と繋がりがある奴がいる事も分かるし」
今回疾風に送ったのは、警察に揺さぶりをかけるつもりでもあった。
警察が動けば、愚嵐怒単独の犯行だと確認ができる。
揉み消されれば、それを飯塚組長への手土産にするつもりだった。
暴対法で厳しくなっている今、警察の弱味はいくらあっても邪魔にはならない。
「とりあえず、もうお前はこの件には何も心配する事はねぇよ。俺や真幸に任せておけ」
伊織はそう言うとジュリの頭をポンポンとする。
ジュリは真っ赤になってその手を払い除けた。
「子供扱いすんな!僕だってそのうちパパの片腕になるんだ!その時には、あんたにきっちり借りを返すわッ!」
ムキになるジュリを見て伊織は笑う。
「伊丹さんの片腕ねぇ。それよりも俺のオンナになってんじゃね?俺に惚れて骨抜きにしてやるよ」
ふふふと笑って伊織は熱い目でジュリを見つめる。
「…………五月蝿い!ならねーよ!あんたに惚れるわけないだろ!」
ジュリがそう叫んでも、伊織はただ笑って余裕だった。
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