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約束の日曜日、貴一のマンションに訪れた水帆はリビングに通された。
水帆がソファに腰掛けると、貴一はコーヒーを淹れにキッチンに入った。
「今回の件はすまなかった。君を疑ってしまって」
貴一がコーヒーを水帆の前に置くと、水帆は頭を下げた。
「い、いえッ!僕も変な行動をして、誤解を与えてしまったんですから!」
「うん。それがそもそもの原因だ。なぜ俺の周りを不必要に伺っていた?俺が君を疑っていたからにしては、度を超えていたと思うが?俺が君に殺されると錯覚してもおかしくなかったよね?」
責めるような水帆に貴一は返す言葉がなかった。
「……初めて会った時から」
小声で貴一は話し始めた。
「遠崎さん…………水帆さんが気になってしまいました。初めは女性だと思った。でも男性と知って本当に驚いた」
貴一は水帆の下の名前に訂正して呼ぶ。水帆は女性に見られる事はよく言われることなので慣れっこだった。
「では、俺を殺そうとしたのではなく、ストーカーだったと言うこと?」
やっぱりそっちかと水帆は納得した。
「恥ずかしくて言えませんでした。食事に誘いたかったけど、その勇気もなくて。でも、気持ちは膨らんで」
自分から告白できない男は、好きになった相手が同じ男ということでさらに萎縮してしまっていた。
「はっきり君の口からそれが聞けてよかった。正直、最近君の気持ちは気付いたのが本音だ」
貴一の気持ちは疾風に言われたからだが、水帆のその言葉に貴一は真っ赤になって水帆を見つめる。
「……あなたは意地悪だ。僕の気持ちなんて簡単に分かっていながら、僕を翻弄していたんですね」
悔しそうに貴一は言う。
「俺は意地悪だよ。でも君の気持ちが分かったからと言って、それを俺の口から言って欲しかった?俺を好きなんでしょ?俺と付き合いたいの?って。それって君のプライドはないの?」
貴一は真っ赤になって水帆を見つめる。
「そうですね。男らしくないですね。だから僕はいつも受け身だった。自分から望んで手に入れたことなんてなかった」
貴一の告白に水帆は笑う。
「俺も手に入らないよ。俺は物じゃない。君の今までの恋愛がどうだったか知らないけどね。ただ俺もそうだった。求められれば相手を抱いた。俺が今まで手に入れたいと思ったのはふたりだけ。でも彼らは物じゃないから俺の手に入らなかった」
水帆の言葉に貴一はズキンとした。
「すみません」
貴一はただ恥ずかしかった。
自分は水帆を欲しいと思った。
おそらく生まれて初めて。
この気持ちをどう表現すれば良いか分からなかった。
「すみません。僕、水帆さんが好きです。好きすぎて、どうして良いか分からなくて。自分の気持ちをどう伝えれば良いか分からなかった」
「お勉強のしすぎだな。俺と違ってガリ勉タイプだもんね」
水帆の言葉に貴一はただ笑うしかなかった。
「好きです。水帆さんの気持ちを教えてください。求められてるからじゃなく、嫌ならちゃんとフッてください」
貴一の真剣な目に水帆は頷いた。
「君の気持ちに気付いてからずっと考えてた。君と俺は鏡だと気づいた。受け身で逃げてばかりで。君が勇気を出して俺に伝えてくれるなら、逃げるのはよそうと思っていた。だから今日は君を疑ってしまっていたことを謝まって、お互いの気持ちにもケリをつけようと思った」
水帆はそう言うと、貴一ににっこり微笑んだ。貴一は水帆の笑顔にキュンとしてしまった。
「疑ってしまって、本当に悪かった。すまない。だが、俺はまだ君を好きだとか言えない。恋人にしたいとも、なりたいとも思っていない」
はっきりと水帆は告げる。
「でも僕はあなたが好きです。水帆さん」
貴一はそう言って、水帆に腕を伸ばし触れるとそっと抱きしめた。
水帆も何故か抵抗しなかった。
「…………いつか水帆さんが僕を好きになったら、水帆さんを抱いても良いですか?」
貴一の告白に水帆は頭の中が真っ白になる。
「ちょっと待て、俺が抱かれるのか?俺が君を抱く選択肢は?」
焦りながら水帆は言う。
「ありません。僕の方が水帆さんを愛しているし、その、気持ちよくさせる、自信があります」
貴一の言葉に水帆は貴一の腕の中で笑った。
「ヘタだったら、次は俺が君を抱くからな」
水帆の言葉に貴一は笑う。
「絶対水帆さんを気持ち良くする様に頑張ります。だからその選択肢は永遠にありません」
自信満々に貴一は言う。水帆はプッと吹き出すと、大人しく貴一の温もりに包まれ続けた。
水帆がソファに腰掛けると、貴一はコーヒーを淹れにキッチンに入った。
「今回の件はすまなかった。君を疑ってしまって」
貴一がコーヒーを水帆の前に置くと、水帆は頭を下げた。
「い、いえッ!僕も変な行動をして、誤解を与えてしまったんですから!」
「うん。それがそもそもの原因だ。なぜ俺の周りを不必要に伺っていた?俺が君を疑っていたからにしては、度を超えていたと思うが?俺が君に殺されると錯覚してもおかしくなかったよね?」
責めるような水帆に貴一は返す言葉がなかった。
「……初めて会った時から」
小声で貴一は話し始めた。
「遠崎さん…………水帆さんが気になってしまいました。初めは女性だと思った。でも男性と知って本当に驚いた」
貴一は水帆の下の名前に訂正して呼ぶ。水帆は女性に見られる事はよく言われることなので慣れっこだった。
「では、俺を殺そうとしたのではなく、ストーカーだったと言うこと?」
やっぱりそっちかと水帆は納得した。
「恥ずかしくて言えませんでした。食事に誘いたかったけど、その勇気もなくて。でも、気持ちは膨らんで」
自分から告白できない男は、好きになった相手が同じ男ということでさらに萎縮してしまっていた。
「はっきり君の口からそれが聞けてよかった。正直、最近君の気持ちは気付いたのが本音だ」
貴一の気持ちは疾風に言われたからだが、水帆のその言葉に貴一は真っ赤になって水帆を見つめる。
「……あなたは意地悪だ。僕の気持ちなんて簡単に分かっていながら、僕を翻弄していたんですね」
悔しそうに貴一は言う。
「俺は意地悪だよ。でも君の気持ちが分かったからと言って、それを俺の口から言って欲しかった?俺を好きなんでしょ?俺と付き合いたいの?って。それって君のプライドはないの?」
貴一は真っ赤になって水帆を見つめる。
「そうですね。男らしくないですね。だから僕はいつも受け身だった。自分から望んで手に入れたことなんてなかった」
貴一の告白に水帆は笑う。
「俺も手に入らないよ。俺は物じゃない。君の今までの恋愛がどうだったか知らないけどね。ただ俺もそうだった。求められれば相手を抱いた。俺が今まで手に入れたいと思ったのはふたりだけ。でも彼らは物じゃないから俺の手に入らなかった」
水帆の言葉に貴一はズキンとした。
「すみません」
貴一はただ恥ずかしかった。
自分は水帆を欲しいと思った。
おそらく生まれて初めて。
この気持ちをどう表現すれば良いか分からなかった。
「すみません。僕、水帆さんが好きです。好きすぎて、どうして良いか分からなくて。自分の気持ちをどう伝えれば良いか分からなかった」
「お勉強のしすぎだな。俺と違ってガリ勉タイプだもんね」
水帆の言葉に貴一はただ笑うしかなかった。
「好きです。水帆さんの気持ちを教えてください。求められてるからじゃなく、嫌ならちゃんとフッてください」
貴一の真剣な目に水帆は頷いた。
「君の気持ちに気付いてからずっと考えてた。君と俺は鏡だと気づいた。受け身で逃げてばかりで。君が勇気を出して俺に伝えてくれるなら、逃げるのはよそうと思っていた。だから今日は君を疑ってしまっていたことを謝まって、お互いの気持ちにもケリをつけようと思った」
水帆はそう言うと、貴一ににっこり微笑んだ。貴一は水帆の笑顔にキュンとしてしまった。
「疑ってしまって、本当に悪かった。すまない。だが、俺はまだ君を好きだとか言えない。恋人にしたいとも、なりたいとも思っていない」
はっきりと水帆は告げる。
「でも僕はあなたが好きです。水帆さん」
貴一はそう言って、水帆に腕を伸ばし触れるとそっと抱きしめた。
水帆も何故か抵抗しなかった。
「…………いつか水帆さんが僕を好きになったら、水帆さんを抱いても良いですか?」
貴一の告白に水帆は頭の中が真っ白になる。
「ちょっと待て、俺が抱かれるのか?俺が君を抱く選択肢は?」
焦りながら水帆は言う。
「ありません。僕の方が水帆さんを愛しているし、その、気持ちよくさせる、自信があります」
貴一の言葉に水帆は貴一の腕の中で笑った。
「ヘタだったら、次は俺が君を抱くからな」
水帆の言葉に貴一は笑う。
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