田辺君はずるいから

五嶋樒榴

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31ずるい・お誘い

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学食で諭と田辺は定食を食べる。

「本当に友部君と仲が良いね」

クスクス思い出し笑いしながら諭が言うと、田辺は仏頂面になる。

「どこをどう見れば仲良く見えます?」

「だって田辺、友部君に遠慮がないじゃん。それでも友部君が離れていかないってよほど田辺が好きなんだよ」

ポジティブな諭に田辺は笑う。

「あいつはただ単に、俺をエサにするために合コンに連れて行きたいだけですよ。合コン行って欲しくないでしょ?」

「ダメッ!絶対ダメッ!」

食いつき早ッと田辺は笑う。

「あー、やっと見つけたわ」

定食を持った遥加がやって来て田辺の隣に座る。

「お前も懲りないねー。邪魔だ」

ギロっと睨んで田辺は言う。

「良いじゃん!内名先輩と仲良くしたいのマジだし」

本気で竿と玉を握り潰すかと田辺は考えた。

「なんか、急に俺、懐かれてる?」

困った顔で諭は田辺を見る。

「手、出したら、マジ殺すよ」

本気の脅しに遥加は苦笑する。

「はいはい。田辺が内名先輩を溺愛してるのは分かったから」

照れる諭。

「俺の幼馴染み、あ、男ね。が、今年この大学に入学したんだよ。俺と一緒の時に会ってるんだけど覚えてる?」

「全く記憶にない」

田辺の即答に遥加は笑う。

「だよな。で、マンションも同じだし、みんなで飲み会しようってなってさ」

「断る」

「全く、マジつれねーな。内名先輩はどうです?」

なんで自分も?と諭は田辺を見る。

「諭先輩を丸め込もうとすんなよ」

怒りの形相で田辺は遥加を睨むと、遥加はパッと諭を見つめる。

「内名先輩!良かったら飲み会しましょう!お願いします!」

田辺は不機嫌だし遥加には頭を下げられて、諭は本当に困ってしまった。

「でも、田辺が行きたがらないからぁ」

さすがに田辺を立てる。

「今後一切合コンには誘わねーからッ!」

何故ここまで飲み会に必死なのか田辺には理解できなかった。
諭は、田辺にも頭を下げまくる遥加が少しだけ可哀想になってきた。

「合コン、誘わないなら、良いんじゃない?男同士の集まりだしさ」

「内名先輩!ありがとうございます!」

「ったく。お前の粘り納豆並みだな」

渋々だが、今後一切合コンに誘われないならと田辺も飲み会にOKを出した。
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