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46ずるい・諭と蘭
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伊吹と若女将はまだ仕事が残っているので帰ってきていないが、田辺の母の女将と祖母の大女将に挟まれて、諭はちょこんとまるで置物のようになっていた。
「夕飯遅くなってごめんなさいねぇ。宴会のお客様に挨拶しないといけなくてぇ」
女将はそう言うと諭のグラスにビールを注ぐ。
「カニ食べるかい?ほら、諭君のカニの殻、剥いてあげなさいな」
大女将が田辺にカニを渡すと、田辺がクスクス笑いながら諭のカニの身をほぐしている。
田辺父は何も言えず、端っこでチビチビとビールを飲んでいて、困り顔の諭を蓮華はニヤニヤしながら見ていた。
「あ、あのッ、ご自宅にまで招待していただいてすみませんでした」
恐縮する諭。
「良いのよ、良いのよッ!諭君なら、ずっと住んでて欲しいわ」
「そうだよ。私の養子になるかい?」
生諭にメロメロな女将と大女将。
「おいおい、諭君、困ってるじゃないか。食事をさせてあげなさいな」
流石に同情したのか、田辺父が口を挟む。
「良いじゃないの。お袋もおばあちゃんもやっと念願の理想の男の子が目の前にいるんだから」
面白がって蓮華が言うと女将はため息をつく。
「分かってるのよ。私とパパのDNAじゃ、こんな可愛い男の子ができないのも。蓮華は可愛く育つと期待してたのに、やっぱり私に似てしまったー!」
諭は何と言って良いか分からない。
田辺家は美家族過ぎて諭は恥ずかしくなる。
大女将はもうかなり歳をとっているのに、背筋がしゃんとしているせいか若々しくて、凄みのある美人である。
伊吹は、祖母方に似てると諭は思った。
女将もとても美人で、特に蓮華は女将にそっくりで、本当に美形すぎて見つめられると恥ずかしくなる。田辺も女性的な美しさを引いて女将に似ていた。
「俺なんて、皆さんの中にいて良いのか。皆さん素敵すぎて恥ずかしいですッ!」
諭がそう言うと、女将と大女将は両方から諭の腕を組む。
「諭君は自分の良さを分からなさすぎるッ!もう、本当にそう言う控えめなところも可愛いのね!」
「諭ちゃんが本当に目の保養だよ。あー、私が若かったら、私の婿にしたのにッ!」
「お母様!それなら私だって諭君をお婿にしますよッ!って諭君と結婚してたら、東京に残っていたのね」
「ダメー。先に言い出したのは私だよ。あんたには私の息子がいるでしょ!」
「もー!良い加減にしなさい!お母さんもママも、諭君が困ってるだろッ!」
女将と大女将の諭の取り合いに、田辺父は呆れまくる。
諭を挟んで、大女将、女将、田辺父とキャンキャンやり合っていて、諭は田辺に目で助けを求めた。
「マジで可愛ーね、諭君」
面白がって蓮華が田辺に囁く。
「当たり前でしょ。俺の恋人なんだから」
「僕も本当に気に入っちゃった。弟の大事な恋人だから、僕も大事にしないとね」
どう聞いても挑発的で田辺は蓮華を睨む。
「諭先輩に触ったらただじゃ済ませないよ」
「はいはい。東京帰ったら面白くなりそうだ」
クスクス笑う蓮華。田辺はわざと蓮華を見ない。
絶対東京で、諭と蓮華を会わせないようにしなければと思った。
「夕飯遅くなってごめんなさいねぇ。宴会のお客様に挨拶しないといけなくてぇ」
女将はそう言うと諭のグラスにビールを注ぐ。
「カニ食べるかい?ほら、諭君のカニの殻、剥いてあげなさいな」
大女将が田辺にカニを渡すと、田辺がクスクス笑いながら諭のカニの身をほぐしている。
田辺父は何も言えず、端っこでチビチビとビールを飲んでいて、困り顔の諭を蓮華はニヤニヤしながら見ていた。
「あ、あのッ、ご自宅にまで招待していただいてすみませんでした」
恐縮する諭。
「良いのよ、良いのよッ!諭君なら、ずっと住んでて欲しいわ」
「そうだよ。私の養子になるかい?」
生諭にメロメロな女将と大女将。
「おいおい、諭君、困ってるじゃないか。食事をさせてあげなさいな」
流石に同情したのか、田辺父が口を挟む。
「良いじゃないの。お袋もおばあちゃんもやっと念願の理想の男の子が目の前にいるんだから」
面白がって蓮華が言うと女将はため息をつく。
「分かってるのよ。私とパパのDNAじゃ、こんな可愛い男の子ができないのも。蓮華は可愛く育つと期待してたのに、やっぱり私に似てしまったー!」
諭は何と言って良いか分からない。
田辺家は美家族過ぎて諭は恥ずかしくなる。
大女将はもうかなり歳をとっているのに、背筋がしゃんとしているせいか若々しくて、凄みのある美人である。
伊吹は、祖母方に似てると諭は思った。
女将もとても美人で、特に蓮華は女将にそっくりで、本当に美形すぎて見つめられると恥ずかしくなる。田辺も女性的な美しさを引いて女将に似ていた。
「俺なんて、皆さんの中にいて良いのか。皆さん素敵すぎて恥ずかしいですッ!」
諭がそう言うと、女将と大女将は両方から諭の腕を組む。
「諭君は自分の良さを分からなさすぎるッ!もう、本当にそう言う控えめなところも可愛いのね!」
「諭ちゃんが本当に目の保養だよ。あー、私が若かったら、私の婿にしたのにッ!」
「お母様!それなら私だって諭君をお婿にしますよッ!って諭君と結婚してたら、東京に残っていたのね」
「ダメー。先に言い出したのは私だよ。あんたには私の息子がいるでしょ!」
「もー!良い加減にしなさい!お母さんもママも、諭君が困ってるだろッ!」
女将と大女将の諭の取り合いに、田辺父は呆れまくる。
諭を挟んで、大女将、女将、田辺父とキャンキャンやり合っていて、諭は田辺に目で助けを求めた。
「マジで可愛ーね、諭君」
面白がって蓮華が田辺に囁く。
「当たり前でしょ。俺の恋人なんだから」
「僕も本当に気に入っちゃった。弟の大事な恋人だから、僕も大事にしないとね」
どう聞いても挑発的で田辺は蓮華を睨む。
「諭先輩に触ったらただじゃ済ませないよ」
「はいはい。東京帰ったら面白くなりそうだ」
クスクス笑う蓮華。田辺はわざと蓮華を見ない。
絶対東京で、諭と蓮華を会わせないようにしなければと思った。
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