すいぎょのまぢわり

五嶋樒榴

文字の大きさ
上 下
64 / 85
第十二話

しおりを挟む
一哉のベッドの中で、一哉に腕枕をされて微睡む臨。

「大丈夫?疲れた?」

一哉が尋ねると、頬を上気させて一哉の胸に顔を埋めている臨は、恥ずかしそうに首を振る。

「さっきは嬉しかったなぁ。臨が俺のサポート役なりたいって言ってくれて。正直、先のこと考えると不安だったから」

「だって、本当にそう思ってるから。僕、一哉のそばにずっといたいもん」

パッと顔を上げて一哉を見る臨。可愛い顔でそう言われては、一哉も悶絶してしまう。

「はぁ。もう、めっちゃ好き。可愛すぎて、マジ離したくない」

「うん。離さないで」

そう言って臨は一哉にギュッと抱きつく。

「……………本当はね、すっごく不安なんだ。今はそばにいられるけど、大学生になったら、どうしても女の子が常にそばにいるでしょ。一哉を取られたくない」

臨の不安が一哉にもよく分かる。
自分も絢斗と前にそんな事を少し話したからだ。
大学生になって、周りに女の子がいるようになったら……………。

「大丈夫だよ。俺は臨しかいらないよ。臨がいてくれれば、それだけで満足だし」

「一哉……………。嬉しいよぉ」

一哉の言葉に臨の不安も少しだけ消えていく。
大事にされてるのもよく分かっているから。
それでも大学を卒業して、一哉が外交官になったら、どうしても今のようには会えなくなってしまう。
今の臨には、一哉をどうやって、ずっとずっと繋ぎ止めれば良いのか分からない。

「……………増やしても、良いよぉ」

臨はそう言って、一哉の人差し指と中指を握って一哉を見つめる。
その瞳は潤んでいて、蕩けるように熱を帯びている。

「臨。もう……………可愛すぎで、歯止め効かなくなる」

一哉は臨にキスをしながらその2本の指を、優しく臨の開発途中へと進めていく。

「か………ず、やぁ。す………きぃ」

「臨……………好きだよ。こんなに大事で、愛おしいの、臨が初めてだよ」

一哉の言葉に臨は嬉しくて泣きそうになる。一哉に優しく蕩かされながら臨は幸せに浸った。
しおりを挟む

処理中です...