甘い蜜と苦い蜜

五嶋樒榴

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ブルジョワなクッキングスクール

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後片付けをしている時だった。
奥から長身のイケメンが現れた。
涼香先生は独身だけど、もちろん恋人ぐらいはいるんだと思った。

「後片付け手伝うよ」

その男性は声もイケメンで、私以外の体験生徒達も目がハートになっていた。
涼香先生に本当にお似合いだった。

「突然現れてごめんなさいね。弟の英太なの。今日は仕事が休みだからいたのよ」

弟と聞いてびっくりしたけど、涼香先生と並ぶと美男美女で迫力が増した。
平日に休みの仕事とはどんな仕事なんだろうと想像した。
きっと普通のサラリーマンではないと思った。

「株を少し動かしてるんですよ。個人投資家専門のファイナンシャルプランナーです」

英太さんが仕事を説明してくれて、こう言う人生もあるんだと羨ましくて仕方なかった。
確かに普通のサラリーマンよりは高級取りの夫。
区画で買った土地に、多少は自由設計をしてもらったマイホーム。
でも、涼香先生や英太さんと比べてしまったら、私は本当につまらない普通の主婦だと思い知らされた。

「里緒奈さん。こっち手伝ってくれる?」

涼香先生に下の名前を呼ばれると嬉しい。
レッスン中も全員下の名前を呼ばれて、何々ちゃんのママ、ではなく、1人の女に戻ったようで嬉しかった。

「はい」

私は涼香先生と洗い物を並んで始めた。
涼香先生が洗剤に手を伸ばした時だった。
腕が私の胸に当たった。

「あ、ごめんなさい。痛かった?」

わざとではないので、私も全然気にしてはいない。

「いえ。大丈夫ですよ」

笑顔で答えると涼香先生もホッとした顔をした。
間近で涼香先生の顔を見れば見るほど、その美しさに引き込まれる。
同じ女だと言うのが恥ずかしくなった。
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