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●人生の墓場●
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文香と沢井の関係を、蓮司に調べるように依頼した数日後、背の高い、スーツを着た男が健のオフィスに訪ねて来た。
健がずっと追っている件の報告書を持って、新聞記者の鵜飼大知がやって来たのだ。
「水島弥之さんについての報告書だ」
水島弥之は、健の父、葵が兄の様に慕っていた男だった。
ある事件に巻き込まれて亡くなり、それを健は大知の協力で調べていた。
厚みのあるファイルの中には、弥之が大学を卒業して、就職し結婚、2人の息子を持ち安定した生活を送っていたものの、旧知の仲の糸坂功一から共同経営を勧められて始めた事、しかし弥之が会社の金を横領し、糸坂の娘を誘拐、そして警察から逃れるために逃走したものの、新宿区の、2人が経営していた会社名義で所有していたビルの屋上から、弥之は投身自殺を図ったことがまとめられていた。
ただそのビルは、もう10年以上前に取り壊されている。
ファイルに全て目を通した健はふぅと息を吐いて口を開く。
「自殺したまでの経緯は分かった。未成年者誘拐が絡んだ被疑者死亡事件だった事で、あまりマスコミにも取り上げられてなかったからね」
大知の報告書を見つめながら、やっと弥之が自殺した謎が少しだけ見えてきた。
それでも、葵から聞いている話とは矛盾点が多い。
「だが横領と言うのがそもそも怪しいな。本当にそんな事実があったかどうかは、本人がいなくなれば、後からいくらでも罪をなすりつけられる」
健は弥之が横領したとは考えていない。
横領したと言う事を裏付ける、架空取引のネタが欲しかっただけの可能性がある。
実際に、横領に加担していたのが糸坂だったら尚更だと健は考える。
「横領を告発しただけでは罪は重くはない。そこに誘拐と言う刑事事件を加えれば、万が一執行猶予が付いたとしても世間から抹殺されるのは分かっている。ただ最大の謎は、何故、逃走したかと言う事だ」
調べていた大知はそれが1番の疑問点だった。
警察に追われて逃げ切る事はほぼ不可能だったはず。
「親父の話だと、事件が発覚したあと、逃走中に親父に連絡をしてきているんだ。糸坂に罪をなすりつけられていると。親父は何としてでも助けるからと伝えたが、その直後に自殺したようだ」
葵から聞いた話を健は、大知が調べた内容と照らし合わせる。
「ちょっと待て、それじゃ自殺するのはおかしく無いか?助けを求めておきながら自殺って矛盾がある」
健は頷いた。
「だからお前に調べてもらったんだよ。これで自殺説は辻褄が合わなくなる」
自殺する人間が、死の間際に助けを求めるはずがない。
「自殺に見せかけて、実は糸坂が手にかけていたら?」
健は言いながら確証を得た。
それ以外考えられない。
追い詰められた弥之を糸坂が殺した。
「有り得なくは無いな。水島さんが自殺した場所に糸坂がいた可能性はゼロでは無い」
点と点が線になって繋がってきた。
殺すことが目的だったのなら、徹底的に追い詰めるために娘を利用したのかもしれないと健は思った。
「糸坂と水島さんが自殺した当時の事をもう少し探ってみる」
「頼むよ」
健がずっと追っている件の報告書を持って、新聞記者の鵜飼大知がやって来たのだ。
「水島弥之さんについての報告書だ」
水島弥之は、健の父、葵が兄の様に慕っていた男だった。
ある事件に巻き込まれて亡くなり、それを健は大知の協力で調べていた。
厚みのあるファイルの中には、弥之が大学を卒業して、就職し結婚、2人の息子を持ち安定した生活を送っていたものの、旧知の仲の糸坂功一から共同経営を勧められて始めた事、しかし弥之が会社の金を横領し、糸坂の娘を誘拐、そして警察から逃れるために逃走したものの、新宿区の、2人が経営していた会社名義で所有していたビルの屋上から、弥之は投身自殺を図ったことがまとめられていた。
ただそのビルは、もう10年以上前に取り壊されている。
ファイルに全て目を通した健はふぅと息を吐いて口を開く。
「自殺したまでの経緯は分かった。未成年者誘拐が絡んだ被疑者死亡事件だった事で、あまりマスコミにも取り上げられてなかったからね」
大知の報告書を見つめながら、やっと弥之が自殺した謎が少しだけ見えてきた。
それでも、葵から聞いている話とは矛盾点が多い。
「だが横領と言うのがそもそも怪しいな。本当にそんな事実があったかどうかは、本人がいなくなれば、後からいくらでも罪をなすりつけられる」
健は弥之が横領したとは考えていない。
横領したと言う事を裏付ける、架空取引のネタが欲しかっただけの可能性がある。
実際に、横領に加担していたのが糸坂だったら尚更だと健は考える。
「横領を告発しただけでは罪は重くはない。そこに誘拐と言う刑事事件を加えれば、万が一執行猶予が付いたとしても世間から抹殺されるのは分かっている。ただ最大の謎は、何故、逃走したかと言う事だ」
調べていた大知はそれが1番の疑問点だった。
警察に追われて逃げ切る事はほぼ不可能だったはず。
「親父の話だと、事件が発覚したあと、逃走中に親父に連絡をしてきているんだ。糸坂に罪をなすりつけられていると。親父は何としてでも助けるからと伝えたが、その直後に自殺したようだ」
葵から聞いた話を健は、大知が調べた内容と照らし合わせる。
「ちょっと待て、それじゃ自殺するのはおかしく無いか?助けを求めておきながら自殺って矛盾がある」
健は頷いた。
「だからお前に調べてもらったんだよ。これで自殺説は辻褄が合わなくなる」
自殺する人間が、死の間際に助けを求めるはずがない。
「自殺に見せかけて、実は糸坂が手にかけていたら?」
健は言いながら確証を得た。
それ以外考えられない。
追い詰められた弥之を糸坂が殺した。
「有り得なくは無いな。水島さんが自殺した場所に糸坂がいた可能性はゼロでは無い」
点と点が線になって繋がってきた。
殺すことが目的だったのなら、徹底的に追い詰めるために娘を利用したのかもしれないと健は思った。
「糸坂と水島さんが自殺した当時の事をもう少し探ってみる」
「頼むよ」
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