インシデント~楜沢健の非日常〜

五嶋樒榴

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●目には目を歯には歯を●

2-5

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都内某所で起こった、重夫に対する傷害事件は、確かに重夫が言うように敏史と逸郎の身にも起こっていた。
3人は同日、それぞれの自宅で腰を刺されて負傷し、凶器は果物ナイフではないかと捜査が始まっていた。

「この事件が起きたアパートが、俺の会社の子会社が管理してるところだったから、朝からそれの対応に追われてるよ」

健は、何か詳細が聞けるかと、親友で新聞記者の鵜飼大知に愚痴をこぼした。

『お前の魂胆は分かっている。どうせ事件のことを知りたいんだろ。ただそう大きな事件じゃないから、こっちにもあまり情報がないんだよ』

それでも少しぐらい何か聞き出せるかと健は粘る。

『容疑者は犯行当時黒っぽい目立たない服装だったようだ。被害者は刺された時に容疑者の顔を見たが見覚えのある顔では無かったと言っている。事件現場の目撃者が全くいなくて、まだ容疑者の足取りも掴めてねーからもう話せる事がない』

健はチッと心の中で舌打ちした。

「帽子を被っていたとか、眼鏡を掛けていたとか、もっと詳しく分からないのか?背格好とか、何か特徴があったとか」

『帽子も眼鏡も、していたとは聞いてないな。なんせ目撃証言ゼロで被害者の証言だけが頼りみたいだぞ。あ、お前に1つだけ良いことを教えてやる』

大知の勿体つけた言い方に健はムッとする。

『1人の被害者を、電車の中で助けた大学生がいるんだよ。その彼に接触して聞いてみたらどうだ。助けた時に被害者から何か聞いてるかも知れない』

「へぇ。それは興味深いな」

自分で動けと言うことかと、それでもヒントを貰えるのは有り難かった。

『その大学生の名前は、呉田蓮司。俺達が卒業した帝應大学の学生だ』

呉田蓮司と聞いて健は目を見開いた。
まさか、あの蓮司かと驚く。

『住所までは知らん。後はお前が頑張れ』

大知はまさか健と蓮司が顔見知りだと言う事は知らない。

「ああ、それだけで十分だ。感謝サンクス

健は笑みを漏らして電話を切った。
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