インシデント~楜沢健の非日常〜

五嶋樒榴

文字の大きさ
94 / 206
●シェア●

2-1

しおりを挟む
おっとりとした好青年と言う感じの若い男、三国清太みくにせいたが、ダイニングテーブルに前菜を並べて準備をしていた。

「麗花、こっちはとりあえず大丈夫だよ」

清太は麗花の婚約者でもあった。
清太の実家はワイナリーをやっており、その仕事が終わると麗花の元へやってくる。
このペンションでもう夫婦のように生活をしていた。

「ありがとう」

麗花はメイン料理の仕上げをしていた。

「残念だったね。買い取ってもらえなくて」

清太はエプロンを外しながら麗花を見る。

「仕方ないわ。ここは叔母さんの所有だし。別にここを売ったお金を当てにしていたわけでもないし」

「そうだけど。でも処分した方がスッキリするって言ってたから」

「叔母さん達が戻って来てくれたら問題ないけど、もう4年だもの。もう2度と戻って来ない気がするから、それなら整理したいと思っただけよ」

「さっきの話だけど、1度弁護士に相談するのも良いんじゃない?」

健に言われたことを、麗花は清太にもう相談していた。

「そうね。でも、それも東京の生活が落ち着いたらにするわ。売れない事が分かったから、まずはあなたとの生活を優先したいもの」

麗花の言葉に清太は微笑む。

「うん。東京で住む場所も、楜沢さんにお願いする?」

「そうね。でも本当にいいの?ここを離れて」

「良いんだよ。俺は三男だし、兄貴達に使われるより、麗花と東京で頑張りたいし」

1度も外の世界を見たことのない麗花と清太は、東京へ行くことに迷いはなく、それよりも期待と希望に満ちていた。

「採用してくれた会社の社長さんも良い人だし、最初は慣れないことばかりで大変だろうけど、絶対麗花を幸せにするから」

優しい笑顔の清太に麗花は癒される。
ずっと幼馴染だった清太が、恋人になり夫になる。
麗花は、幸せを全身で感じていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

☆ほしい
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。 そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。 双子の妹、澪に縁談を押し付ける。 両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。 「はじめまして」 そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。 なんてカッコイイ人なの……。 戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。 「澪、キミを探していたんだ」 「キミ以外はいらない」

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

凶竜の姫様

京衛武百十
SF
ここは、惑星<朋群(ほうむ)>。多数のロボットに支えられ、様々な特色を持った人間達が暮らす惑星。そこで鵺竜(こうりゅう)と呼ばれる巨大な<竜>について研究する青年、<錬義(れんぎ)>は、それまで誰も辿り着いたことのない地に至り、そこで一人の少女と出逢う。少女の名前は<斬竜(キル)>。かつて人間を激しく憎み戦ったという<竜女帝>の娘にして鵺竜の力を受け継ぐ<凶竜の姫>であった。 こうして出逢った斬竜に錬義は戸惑いながらも、彼女を見守ることにしたのだった。

〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー

i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆ 最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡ バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。 数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)

私の存在

戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。 何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。 しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。 しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…

結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」 入社した会社の社長に 息子と結婚するように言われて 「ま、なぶくん……」 指示された家で出迎えてくれたのは ずっとずっと好きだった初恋相手だった。 ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ ちょっぴり照れ屋な新人保険師 鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno- × 俺様なイケメン副社長 遊佐 学 -Manabu Yusa- ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 「これからよろくね、ちとせ」 ずっと人生を諦めてたちとせにとって これは好きな人と幸せになれる 大大大チャンス到来! 「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」 この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。 「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」 自分の立場しか考えてなくて いつだってそこに愛はないんだと 覚悟して臨んだ結婚生活 「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」 「あいつと仲良くするのはやめろ」 「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」 好きじゃないって言うくせに いつだって、強引で、惑わせてくる。 「かわいい、ちとせ」 溺れる日はすぐそこかもしれない ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 俺様なイケメン副社長と そんな彼がずっとすきなウブな女の子 愛が本物になる日は……

処理中です...