上 下
95 / 206
●シェア●

2-2

しおりを挟む
健達が夕飯の時間になりダイニングにやって来ると、麗花が清太を連れて現れた。

「初めまして。麗花と婚約している三国清太です」

清太は健に自己紹介する。

「初めまして。今回はお力になれずすみません」

「いえ。こちらも詳細を話さず来ていただいて、ご迷惑をおかけしました」

清太が頭を下げると、麗花も頭を下げた。

「頭を上げてください。ご相談いただけてよかったです。こちらには仕事だけで伺ったわけでもないので」

健の言葉に、清太はホッとして笑顔になる。

「すみません、食事前に長話になって。今、温かいものもお運びしますから、先に前菜をお召し上がりください」

ダイニングテーブルの上には、女子が喜びそうに盛られた、美しく可愛らしい前菜が並べられていた。

「可愛い!やっぱりペンションって、食事が映えるよねー」

さっきまで部屋が怖いとぐずっていたマドカも、料理に心を奪われスマホで写真を撮りまくる。

「お飲み物はいかがしますか?」

ドリンクメニューを、麗花は健に渡す。

「私はせっかくなので、地物のボトルワインを白でお願いします。お前達は?」

まだ未成年のマドカと蓮司は、それぞれジュースを頼んだ。

「どうぞごゆっくりお召し上がりください」

麗花が健達の元から奥のキッチンへと下がると、3人は食事を始めた。
見た目だけでなく味も良く、3人はそれぞれに舌鼓を打つ。

「仕事はどうなったの?」

さっきの健達の会話で、今回の売買は不成立に終わったことを察して蓮司は尋ねる。

「とりあえず仕事は終わった。明日はどこか観光にでも行くか」

「うん!行くッ!お蕎麦も食べたいし!」

健が仕事を終わらせたことにマドカは嬉しくて堪らない。
また明日も蓮司と2人だけで過ごすのは嫌だった。
その蓮司も、やっと気紛れなお姫様の子守りから解放されるとホッとした。
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

WEAK SELF.

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

魔法少女レルク

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

時ノ糸~絆~

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:3

今日も君の心はハカれない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:2

処理中です...