インシデント~楜沢健の非日常〜

五嶋樒榴

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シンとなる空気の中、突如甲高い笑い声が響き渡った。

「うふふ。ふふふ……あはは……きゃははははははは」

清太の腕の中で目を見開いた麗花は、突然狂ったように笑い始めていた。
その顔に清太はギョッとして、そして顔を見つめる。

「れ、麗花?」

その場に座り込み麗花の両肩を掴む清太は、麗花が笑い続ける顔をただ見つめるしかなかった。

「麗花、麗花ってうっせんだよ」

笑うのをやめた麗花は、ギロッと大きく見開いた目で清太を睨む。

「……麗花?」

麗花の顔にゾッと恐怖を感じ、清太は麗花から手を離すと座り込んだまま後ろにたじろいだ。

「そうよね。あんたは麗花だと思って、散々あたしを抱いていたんだもんね。でもね、あんたが抱いていたのは、あ、た、し、なの」

何が始まったんだと、捜査官達はまだ身動きが取れない。

「……君は、誰だ?」

清太は麗花に尋ねた。
一人称が私からあたしに変わった事で、目の前の女が麗花だと分かっていても、ベッドの中で愛し合った時の違和感を思い出した。

「あたしは、ミラよ」

ミラと聞いた瞬間、清太は背筋が凍った。
麗花がふざけているようには見えない。
目の前の麗花は麗花ではなく、別の女なんだと清太は自身に警鐘を鳴らす。

「何をふざけてるんだ!お前は櫛野麗花だろ!多重人格のフリでもしてるのか!」

1番若い捜査官の1人が麗花に対して怒鳴った。
他の捜査官達は、その声にハッとして我に帰り、多重人格と聞いて清太だけがそうだったのかと納得した。

「……別に、これがあたしだから。麗花には聞こえてない。麗花を守るのはあたしとセラだから」

ミラは声を荒げた捜査官に、挑発的に言い放った。
清太はセラと言う名前を聞いて、夜中に泣きながらまるで幼児になる麗花を思い浮かべた。

「まさか……本当に?夢遊病じゃなかったのか?」

清太は真っ青なまま、信じられないと麗花を見つめ続ける。

「あんたには、知られたくなかった。4年前に、あたしもセラも死んだはずだったのに。でも、ダメだった」

悲しそうに麗花、ミラは清太に語る。

「麗花?どう言う事なんだ?」

清太は真実が知りたい。
なぜミラが現れたのか。
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