153 / 206
●愛したのが始まり●
エピローグ
しおりを挟む
マンションの広いルーフバルコニーに置いてある、ガーデンソファに寝そべって、健は煙草をふかしながら青空を見ていた。
「もう!タバコはやめてって言ってるでしょ!」
マドカが仁王立ちで健に怒る。
「へいへい。ったく、うるさいねー」
健は起き上がると、ガーデンテーブルの上の灰皿に煙草を押しつけて揉み消した。
「静真君、叔父さんの子会社に就職したんでしょ?」
糸坂の逮捕により、糸坂の会社は葵との資本提携が白紙になり、多額の負債の整理の破産手続開始決定により解散した。全て、裁判所から選任された弁護士が破産管財人となり精算される。
もちろん他の私財、糸坂名義の不動産も、いずれ競売に掛けられることになる。
「ああ。自分が今するべき事を頑張って、祥子さんときちんと向き合いたいと思っているようだ」
愛するが故に、許すのは難しい。
いつか祥子と糸坂の事が切り離せる時が来れば、静真と祥子が共に歩む事ができるだろうと健は信じている。
「本当は健が祥子さんを手元に置いておきたかったんじゃ無いの?元婚約者だもんねッ!」
つまらない嫉妬かと健は鼻で笑う。
「もうッ!健のバーカッ!」
健は上半身を起こすと右手でマドカの両頬を軽く摘む。
「あはは。変な顔ー」
爆笑した後、再び健はガーデンソファに寝そべった。
「……もう、バーカ」
マドカは仕返しとばかりに健に抱きつく。
「ねぇ。健は今、幸せ?」
「…………」
「ねぇってばー」
「……んー。まあまあ」
マドカに抱きつかれたまま手で太陽の光を遮り、青空に走る飛行機雲を眺めながら健は優しい顔で微笑んだ。
「もう!タバコはやめてって言ってるでしょ!」
マドカが仁王立ちで健に怒る。
「へいへい。ったく、うるさいねー」
健は起き上がると、ガーデンテーブルの上の灰皿に煙草を押しつけて揉み消した。
「静真君、叔父さんの子会社に就職したんでしょ?」
糸坂の逮捕により、糸坂の会社は葵との資本提携が白紙になり、多額の負債の整理の破産手続開始決定により解散した。全て、裁判所から選任された弁護士が破産管財人となり精算される。
もちろん他の私財、糸坂名義の不動産も、いずれ競売に掛けられることになる。
「ああ。自分が今するべき事を頑張って、祥子さんときちんと向き合いたいと思っているようだ」
愛するが故に、許すのは難しい。
いつか祥子と糸坂の事が切り離せる時が来れば、静真と祥子が共に歩む事ができるだろうと健は信じている。
「本当は健が祥子さんを手元に置いておきたかったんじゃ無いの?元婚約者だもんねッ!」
つまらない嫉妬かと健は鼻で笑う。
「もうッ!健のバーカッ!」
健は上半身を起こすと右手でマドカの両頬を軽く摘む。
「あはは。変な顔ー」
爆笑した後、再び健はガーデンソファに寝そべった。
「……もう、バーカ」
マドカは仕返しとばかりに健に抱きつく。
「ねぇ。健は今、幸せ?」
「…………」
「ねぇってばー」
「……んー。まあまあ」
マドカに抱きつかれたまま手で太陽の光を遮り、青空に走る飛行機雲を眺めながら健は優しい顔で微笑んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる