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●100万分の1●
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マンションに戻り菜々緒が風呂から上がると、逸郎は着替えが終わった菜々緒に手錠を掛けた。
「……本当に嬉しかったです」
菜々緒が今夜の事を思い出して逸郎に告げる。
「何が?」
逸郎は、何を菜々緒が嬉しいのか分からない。
さんざん母親に敵視されただけだったのだから。
「ここに監禁されているのは本当に辛いです。でも今夜は、逸郎さんに優しくされて大事にされて嬉しかった」
菜々緒の言葉に逸郎の心はズキズキする。
「俺だって、こんな事したくないさ!でも、こうでもしないと菜々緒は逃げていくだろ?俺のこと、男として愛してくれないだろ?」
逸郎は悔しそうに菜々緒から顔を逸らす。
「逸郎さんが私のこと、本当に好きだって、一緒に暮らしてよく分かりました。だって、1度だって私に何もしてこないし」
「それはッ!」
逸郎は顔を歪める。
本当は菜々緒の全てを奪ってしまいたい。
でもそれをしたら、菜々緒に嫌われると分かっている。
卑怯な手段で菜々緒を監禁していながら、逸郎はまだ菜々緒と一線を超えてはいなかった。
「本当は思い切り抱きしめたい。でも菜々緒に嫌われるのが怖い。大事なんだ。だから、ただそばにいてくれるだけで、俺は……」
逸郎の気持ちが、痛いほど菜々緒には伝わる。
「私、逸郎さんのこと、初めて会った時から優しい人だって分かってました。でもこんな事になって、すっごく憎んだ」
「……」
「怖くて、早く逃げ出したいって毎日思っていたのに、やっぱり逸郎さんはずっと優しくて。私、ここに来る前に、凄く辛い思いをしてきたから、逸郎さんの側にいるの、怖いくせに安心してる自分もいて」
真古登との生活を思えば、自由を失ったものの、今の方が愛情が溢れていると菜々緒は思った。
「……私、逸郎さんのこと、好きです」
「!」
菜々緒の告白に逸郎は目を見開き驚く。
「う、嘘だ!こんな事をする俺を好きになるわけないだろ?俺を油断させて逃げるつもりだろ?」
逸郎は狼狽える。
菜々緒の言葉を信じる事ができない。
「嘘じゃないです。私、逸郎さんに抱きしめてもらいたい」
菜々緒の真っ直ぐな目に、逸郎は疑心暗鬼のままただ見つめる。
「ダメですか?」
逸郎は、首を振ると菜々緒をぎゅっと抱き締める。
「……本当に俺を好き?俺がこれからする事に後悔しない?」
菜々緒はコクンと頷いた。
「……菜々緒、好きだ!大好きだ!愛してる!」
逸郎は思いの丈を告白しながら菜々緒にキスをする。菜々緒も抵抗せずそのキスを受け入れた。
逸郎は菜々緒の手錠を外し、菜々緒をベッドに優しく倒す。
もし明日の朝、目が覚めて菜々緒が消えていても、この幸せな時間を過ごせたら後悔はしないと思いながら、逸郎は菜々緒を抱いた。
「……本当に嬉しかったです」
菜々緒が今夜の事を思い出して逸郎に告げる。
「何が?」
逸郎は、何を菜々緒が嬉しいのか分からない。
さんざん母親に敵視されただけだったのだから。
「ここに監禁されているのは本当に辛いです。でも今夜は、逸郎さんに優しくされて大事にされて嬉しかった」
菜々緒の言葉に逸郎の心はズキズキする。
「俺だって、こんな事したくないさ!でも、こうでもしないと菜々緒は逃げていくだろ?俺のこと、男として愛してくれないだろ?」
逸郎は悔しそうに菜々緒から顔を逸らす。
「逸郎さんが私のこと、本当に好きだって、一緒に暮らしてよく分かりました。だって、1度だって私に何もしてこないし」
「それはッ!」
逸郎は顔を歪める。
本当は菜々緒の全てを奪ってしまいたい。
でもそれをしたら、菜々緒に嫌われると分かっている。
卑怯な手段で菜々緒を監禁していながら、逸郎はまだ菜々緒と一線を超えてはいなかった。
「本当は思い切り抱きしめたい。でも菜々緒に嫌われるのが怖い。大事なんだ。だから、ただそばにいてくれるだけで、俺は……」
逸郎の気持ちが、痛いほど菜々緒には伝わる。
「私、逸郎さんのこと、初めて会った時から優しい人だって分かってました。でもこんな事になって、すっごく憎んだ」
「……」
「怖くて、早く逃げ出したいって毎日思っていたのに、やっぱり逸郎さんはずっと優しくて。私、ここに来る前に、凄く辛い思いをしてきたから、逸郎さんの側にいるの、怖いくせに安心してる自分もいて」
真古登との生活を思えば、自由を失ったものの、今の方が愛情が溢れていると菜々緒は思った。
「……私、逸郎さんのこと、好きです」
「!」
菜々緒の告白に逸郎は目を見開き驚く。
「う、嘘だ!こんな事をする俺を好きになるわけないだろ?俺を油断させて逃げるつもりだろ?」
逸郎は狼狽える。
菜々緒の言葉を信じる事ができない。
「嘘じゃないです。私、逸郎さんに抱きしめてもらいたい」
菜々緒の真っ直ぐな目に、逸郎は疑心暗鬼のままただ見つめる。
「ダメですか?」
逸郎は、首を振ると菜々緒をぎゅっと抱き締める。
「……本当に俺を好き?俺がこれからする事に後悔しない?」
菜々緒はコクンと頷いた。
「……菜々緒、好きだ!大好きだ!愛してる!」
逸郎は思いの丈を告白しながら菜々緒にキスをする。菜々緒も抵抗せずそのキスを受け入れた。
逸郎は菜々緒の手錠を外し、菜々緒をベッドに優しく倒す。
もし明日の朝、目が覚めて菜々緒が消えていても、この幸せな時間を過ごせたら後悔はしないと思いながら、逸郎は菜々緒を抱いた。
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