こちら、あやかしも診れる診療所。

五嶋樒榴

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本編

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と思っていたのも束の間……。

「いってーよ!先生!もっと優しくしてくれよッ!死ぬッ!死ぬッ!」

「これくらいで死ぬ訳ないでしょ!」

何故か俺まで、誠竜会と関わりあうことになった。
伊丹会長から誠竜会の事務所に呼ばれ、往診という名の闇医者まがいのことをさせられている。
喧嘩っ早い連中は、小競り合いが多いのだ。って!どんな小競り合いで背中をナイフで斬りつけられるんだ!
全く!
俺はあやかしの診療所だってあるのに、なんでこの世界のバケモノまで診なければいけないんだ!

「うわッ!すげー落書きされてんじゃん」

構成員の男、石上と言ったかな?の、背中の切り傷の消毒をしている俺の横から、銀狼はひょいと顔を覗かせてポツリと言った。

「馬鹿やろぉ!落書きじゃねーよ!刺青すみって言うんだよ!ってイテッ!早く終わらせてくれー!」

「へー。花とバケモンが書いてあんのに」

おいおいおいおい、銀狼!
それは桜と龍だよ!
もうあまり、この人を刺激しないでくれ。

「ほら、銀狼邪魔だからッ!あっち行ってて」

俺は早く終わらせたくて銀狼を追いやる。
銀狼は事務所の机の方へ行った。

さっさと済ませよう。
とりあえず傷口を塞いで、と。

俺の治療が終わると、銀狼は俺のところに戻ってきた。

「俺も書いてやる」

え?

え?

「うわッ!てめぇ!何してんだ!」

わー!マジ、何してんだよ!銀狼!

銀狼は、シャツを着始めた石上の胸の桜の刺青に、油性マジックでてるてる坊主を書き始めた。

「この野郎!」

ヤバい!ヤバい!
俺が殺される!

「へぇ。可愛い紋々書いてもらったじゃねーか」

それをドアの所で見ていた伊丹会長はニヤニヤして言った。

「会長!このバカ本当にどうにかしてくれよ!全くよー!おつむが足りなすぎなんだよッ!」

石上は伊丹会長に抗議する。伊丹会長はただ笑うだけ。
銀狼もニカッと笑ってる。
その顔を見て、石上もしようがねーなーと言う顔で銀狼を見て笑った。


俺だけが心臓が止まるかと思った。


なんにせよ、銀狼はすっかり誠竜会に溶け込んでいるみたいだ。
良いのか悪いのか。
あー、胃が痛い。
 
さてと、俺は今からあやかしの診療所へ行くとするか。
なんだか複雑だけど、この生活はしばらく続きそうだ。




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