29 / 41
wine
6
しおりを挟む
「って事があったのさ」
颯人は唯香と“友達”になったとマスターに報告した。
今夜の酒も不思議とバローロを開けていた。
「颯人さん、随分ご執心ですね。新宿の夜王も本気になった相手には奥手だ」
楽しそうにマスターは颯人を弄る。
「本気かどうかはまだ分からないよ!ただ俺は純粋に気になっただけで」
言い訳がましく颯人は言った。マスターは余裕の微笑みで颯人の真剣具合を見極めていた。
「あ、自閉症を私も勉強しましたよ」
突然マスターが言い出した。負けず嫌いめと颯人は思った。
「脳に見えない傷のある障害で原因不明。お話の感じから望亜くんは重度の様子ですね。でも、お母さんの言うことは多少なりとも理解している感じですから、唯香さんはとても頑張っていらっしゃる。“友達”としてお付き合いなさるのは颯人さんにもプラスになりそうだ。颯人さんもピュアだから」
望亜を見たこともないのにスラスラと話すマスターに颯人は驚いた。そして自分をピュアと言うマスターにため息を吐いた。
「本当にこんな気持ち初めてなんだ。体じゃなく心を求めるのは」
頭を抱える颯人にマスターは言った。
「それは望亜くんが穢れを知らない純粋な存在だからですよ。颯人さんの本能でそれを求めているんでしょうね。望亜くんの存在は颯人さんにとって憧れなのでは?だからただ美しいだけじゃなく、望亜くんをしっかり育てている唯香さんも穢せない」
確かに最初は唯香の美しさに目を奪われていたが、今では望亜も大切にしたいと思っている。
「自分に無いものを求めてるのかね」
グラスの中のバローロを一気に飲み干すと、ため息をついて、2人の姿を颯人は思い浮かべた。
「颯人さんに一つ、興味深い話を」
マスターが突然、真剣な眼差しで颯人を見つめる。その目はとても妖しい。
「ライオンのボスは、なぜ子ライオンを崖から落とすか知っていますか?」
ライオン?と颯人の頭の中は?マークになった。
「這い上がってくるより強い子供を育てるため?」
よく言われているフレーズを颯人は答えた。
「いいえ。自分の前のボスライオンの子供を殺すため」
マスターの綺麗な顔がより一層冷たく綺麗で、颯人はなんとなく怖い話を聞かされている感じだった。
「新しくボスになったライオンは、早く自分の子供を産ませるために、母ライオンから子供を奪うのです。子供がいる間、母ライオンは子供からなかなか離れないので子供を作ろうとしない。って話です。興味深いでしょ?」
マスターが言わんとしていることは、自分の博識を自慢したわけではなく、颯人に忠告したのだと言うことを颯人も理解した。
それだけ他人の子供を受け入れるのは難しいと、マスターは言いたいのだと颯人も分かった。
まだ付き合ってもいない早い段階でこんな話をしたのは、颯人にその覚悟があるのか、試されているようだと颯人は感じた。
颯人は唯香と“友達”になったとマスターに報告した。
今夜の酒も不思議とバローロを開けていた。
「颯人さん、随分ご執心ですね。新宿の夜王も本気になった相手には奥手だ」
楽しそうにマスターは颯人を弄る。
「本気かどうかはまだ分からないよ!ただ俺は純粋に気になっただけで」
言い訳がましく颯人は言った。マスターは余裕の微笑みで颯人の真剣具合を見極めていた。
「あ、自閉症を私も勉強しましたよ」
突然マスターが言い出した。負けず嫌いめと颯人は思った。
「脳に見えない傷のある障害で原因不明。お話の感じから望亜くんは重度の様子ですね。でも、お母さんの言うことは多少なりとも理解している感じですから、唯香さんはとても頑張っていらっしゃる。“友達”としてお付き合いなさるのは颯人さんにもプラスになりそうだ。颯人さんもピュアだから」
望亜を見たこともないのにスラスラと話すマスターに颯人は驚いた。そして自分をピュアと言うマスターにため息を吐いた。
「本当にこんな気持ち初めてなんだ。体じゃなく心を求めるのは」
頭を抱える颯人にマスターは言った。
「それは望亜くんが穢れを知らない純粋な存在だからですよ。颯人さんの本能でそれを求めているんでしょうね。望亜くんの存在は颯人さんにとって憧れなのでは?だからただ美しいだけじゃなく、望亜くんをしっかり育てている唯香さんも穢せない」
確かに最初は唯香の美しさに目を奪われていたが、今では望亜も大切にしたいと思っている。
「自分に無いものを求めてるのかね」
グラスの中のバローロを一気に飲み干すと、ため息をついて、2人の姿を颯人は思い浮かべた。
「颯人さんに一つ、興味深い話を」
マスターが突然、真剣な眼差しで颯人を見つめる。その目はとても妖しい。
「ライオンのボスは、なぜ子ライオンを崖から落とすか知っていますか?」
ライオン?と颯人の頭の中は?マークになった。
「這い上がってくるより強い子供を育てるため?」
よく言われているフレーズを颯人は答えた。
「いいえ。自分の前のボスライオンの子供を殺すため」
マスターの綺麗な顔がより一層冷たく綺麗で、颯人はなんとなく怖い話を聞かされている感じだった。
「新しくボスになったライオンは、早く自分の子供を産ませるために、母ライオンから子供を奪うのです。子供がいる間、母ライオンは子供からなかなか離れないので子供を作ろうとしない。って話です。興味深いでしょ?」
マスターが言わんとしていることは、自分の博識を自慢したわけではなく、颯人に忠告したのだと言うことを颯人も理解した。
それだけ他人の子供を受け入れるのは難しいと、マスターは言いたいのだと颯人も分かった。
まだ付き合ってもいない早い段階でこんな話をしたのは、颯人にその覚悟があるのか、試されているようだと颯人は感じた。
0
あなたにおすすめの小説
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇
☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
フリーランスエンジニアの優しすぎる無償の愛
春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる