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wine
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それから何度か颯人は唯香達とご飯を食べに行ったり、ディズニーランドに行ったりと、楽しい付き合いを続けていた。最近では望亜も颯人に慣れて、颯人と手を繋いでくれるようになり「はやと」とも呼んでくれて認識してくれるようになった。
望亜が夏休みになり、唯香が望亜とプールに行くと言うので、颯人は俺も行くと、半ば強引にプランを立てた。
受付のパートで勤めている病院で、唯香は望亜の為に土日祝日を休みに貰っていたので、颯人は日曜日に唯香がゆっくりできるように土曜日にプールの計画を立てた。
伊豆に良いレジャー施設があると知り、望亜に喜んで貰いたくて、颯人は日帰りだがそこに行く事にした。
颯人は朝6時に唯香の実家の近くに車で迎えに行った。
「おはよ」
望亜が颯人に挨拶した。颯人は望亜と手を繋いだ。
「おはよう颯人くん。望亜ね、今日楽しみだったみたい。写真見せて事前学習していたら、毎日動画でここのCM検索して見てたのよ」
自閉症児ははじめての場所が苦手だったりするので、唯香はあらかじめ望亜に場所を記憶させていたのだ。
唯香に今日までの望亜の行動を聞かされ、颯人は嬉しくてたまらなかった。遠かったけどそこにして良かったと思った。
行くまでは渋滞もなく、レジャー施設の伊豆スポーツマリンパークには10時近くには到着した。
颯人は望亜と男子更衣室に行くと水着に着替えて、女子更衣室の前で唯香を待った。どんな水着か、ビキニだったら良いなと、中学生みたいにワクワクドキドキしながら待っていたが、残念ながら、唯香はスポーティーな水着の上に薄手のパーカーを羽織っていて、色気は全く封印されていた。がっかりしたが、今日の目的は望亜を喜ばせるためと颯人は気持ちを切り替えた。
すぐ隣が海なので、潮風を感じるプールを望亜は存分に颯人と楽しんだ。
唯香も加わり、3人で流れるプールに流されながら泳いだり、波のプールで水を掛け合ったり夕方近くまで遊んでいた。
あまり長居をすると渋滞になると思い、後ろ髪を引かれながら夕方前にはレジャー施設を出たが、途中事故があったらしく渋滞にはまりもう19時を過ぎてきた。
「疲れてるでしょ、颯人くん。休みながら行きましょう。運転私も代わるわ」
心配して唯香が言う。確かに朝早くから出てきて昼間も望亜と全力で遊んだので疲れてはいたが、まさかこんなに遅くなるとは思わなかった。
「ご飯食べます。ご飯」
お腹が空いてきたのか望亜が騒ぎ出した。唯香はなだめるが、コンビニも見当たらない。
「唯香、ごめん。今夜はどこか泊まっても良い?望亜に飯食わせたいし、俺も正直疲れてるし」
決して、これを初めから狙っていたわけでは無かった。でも、颯人はなんとなくこんな形になって何故だか悔しかった。下心があればきっとこんな風にモヤモヤしないのだろう。
「私はそれでも大丈夫。明日も休みだし。でも、今から泊まるところあるかしら」
「とりあえずネットで探そう」
颯人はやっと見つけたコンビニで望亜に夕食を取らせ、ネットで調べた旅館やホテルに電話をかけた。
流石にこの時間で空きのある所はなかなか無く、修善寺の旅館で、スイートなら空いていると言われそこを目指した。
21時には旅館に着きチェックインを済ませた。
高級旅館ならではの設備。部屋の中にも温泉の檜風呂があり、和室も八畳あり布団を1組敷いてくれていた。フローリングのリビングには大型のテレビやソファが置いてあった。そして隣の寝室はセミダブルのベッドが2つ並んでいた。
やっと休めると颯人はベッドに飛び乗って横になった。望亜も真似して颯人の横に寝そべる。
「望亜、お風呂入るよ」
唯香の声で望亜は起き上がり部屋の中の温泉に恐る恐る入った。
唯香は1人でお風呂に入る望亜を見守ってる。
本当につきっきりだなと颯人はそう思いながら、ベッドから動けなかった。
気がつくと、望亜がとなりのベッドでスヤスヤ眠っていた。時計を見ると23時を過ぎていた。颯人は眠ってしまっていた。
「ごめん。ちょっとのつもりが爆睡した」
重い頭をあげて颯人は言った。唯香は望亜に寄り添っていた。
唯香は冷蔵庫から冷えたビールを出して寝室に持ってきた。
「あまりに気持ちよく寝てたから、望亜がお風呂から上がって近くのコンビニに買い出し行ってきたの。飲み物とか色々。望亜はいつも多めに着替え持ってるけど、颯人くんないと思って、取り敢えずTシャツと下着買ってきたわ」
ビールで2人は乾杯して、颯人はごくごく飲んで喉を潤した。
「ありがとう。助かったよ」
颯人は寝汗がついたポロシャツを脱いだ。上半身裸になったので、唯香は目を逸らした。
「お風呂どうぞ」
震える声で唯香は言った。無神経に唯香の前で上半身裸になった事に気がつき颯人は焦った。
「あ、ああ」
颯人はそそくさと障子を閉めて部屋の温泉に入った。
「何やってんの、俺」
顔が火照り恥ずかしくなって、頭からシャワーを浴び続けた。
唯香が買ってきてくれた下着類を持ち込んでいなかったので、とりあえず浴衣を羽織り部屋に戻った。
「唯香も入ってくれば」
目を合わせないように颯人は言った。
「うん」
今度は唯香がお風呂に行くと、颯人はビールを飲みながら望亜を見つめた。
望亜が夏休みになり、唯香が望亜とプールに行くと言うので、颯人は俺も行くと、半ば強引にプランを立てた。
受付のパートで勤めている病院で、唯香は望亜の為に土日祝日を休みに貰っていたので、颯人は日曜日に唯香がゆっくりできるように土曜日にプールの計画を立てた。
伊豆に良いレジャー施設があると知り、望亜に喜んで貰いたくて、颯人は日帰りだがそこに行く事にした。
颯人は朝6時に唯香の実家の近くに車で迎えに行った。
「おはよ」
望亜が颯人に挨拶した。颯人は望亜と手を繋いだ。
「おはよう颯人くん。望亜ね、今日楽しみだったみたい。写真見せて事前学習していたら、毎日動画でここのCM検索して見てたのよ」
自閉症児ははじめての場所が苦手だったりするので、唯香はあらかじめ望亜に場所を記憶させていたのだ。
唯香に今日までの望亜の行動を聞かされ、颯人は嬉しくてたまらなかった。遠かったけどそこにして良かったと思った。
行くまでは渋滞もなく、レジャー施設の伊豆スポーツマリンパークには10時近くには到着した。
颯人は望亜と男子更衣室に行くと水着に着替えて、女子更衣室の前で唯香を待った。どんな水着か、ビキニだったら良いなと、中学生みたいにワクワクドキドキしながら待っていたが、残念ながら、唯香はスポーティーな水着の上に薄手のパーカーを羽織っていて、色気は全く封印されていた。がっかりしたが、今日の目的は望亜を喜ばせるためと颯人は気持ちを切り替えた。
すぐ隣が海なので、潮風を感じるプールを望亜は存分に颯人と楽しんだ。
唯香も加わり、3人で流れるプールに流されながら泳いだり、波のプールで水を掛け合ったり夕方近くまで遊んでいた。
あまり長居をすると渋滞になると思い、後ろ髪を引かれながら夕方前にはレジャー施設を出たが、途中事故があったらしく渋滞にはまりもう19時を過ぎてきた。
「疲れてるでしょ、颯人くん。休みながら行きましょう。運転私も代わるわ」
心配して唯香が言う。確かに朝早くから出てきて昼間も望亜と全力で遊んだので疲れてはいたが、まさかこんなに遅くなるとは思わなかった。
「ご飯食べます。ご飯」
お腹が空いてきたのか望亜が騒ぎ出した。唯香はなだめるが、コンビニも見当たらない。
「唯香、ごめん。今夜はどこか泊まっても良い?望亜に飯食わせたいし、俺も正直疲れてるし」
決して、これを初めから狙っていたわけでは無かった。でも、颯人はなんとなくこんな形になって何故だか悔しかった。下心があればきっとこんな風にモヤモヤしないのだろう。
「私はそれでも大丈夫。明日も休みだし。でも、今から泊まるところあるかしら」
「とりあえずネットで探そう」
颯人はやっと見つけたコンビニで望亜に夕食を取らせ、ネットで調べた旅館やホテルに電話をかけた。
流石にこの時間で空きのある所はなかなか無く、修善寺の旅館で、スイートなら空いていると言われそこを目指した。
21時には旅館に着きチェックインを済ませた。
高級旅館ならではの設備。部屋の中にも温泉の檜風呂があり、和室も八畳あり布団を1組敷いてくれていた。フローリングのリビングには大型のテレビやソファが置いてあった。そして隣の寝室はセミダブルのベッドが2つ並んでいた。
やっと休めると颯人はベッドに飛び乗って横になった。望亜も真似して颯人の横に寝そべる。
「望亜、お風呂入るよ」
唯香の声で望亜は起き上がり部屋の中の温泉に恐る恐る入った。
唯香は1人でお風呂に入る望亜を見守ってる。
本当につきっきりだなと颯人はそう思いながら、ベッドから動けなかった。
気がつくと、望亜がとなりのベッドでスヤスヤ眠っていた。時計を見ると23時を過ぎていた。颯人は眠ってしまっていた。
「ごめん。ちょっとのつもりが爆睡した」
重い頭をあげて颯人は言った。唯香は望亜に寄り添っていた。
唯香は冷蔵庫から冷えたビールを出して寝室に持ってきた。
「あまりに気持ちよく寝てたから、望亜がお風呂から上がって近くのコンビニに買い出し行ってきたの。飲み物とか色々。望亜はいつも多めに着替え持ってるけど、颯人くんないと思って、取り敢えずTシャツと下着買ってきたわ」
ビールで2人は乾杯して、颯人はごくごく飲んで喉を潤した。
「ありがとう。助かったよ」
颯人は寝汗がついたポロシャツを脱いだ。上半身裸になったので、唯香は目を逸らした。
「お風呂どうぞ」
震える声で唯香は言った。無神経に唯香の前で上半身裸になった事に気がつき颯人は焦った。
「あ、ああ」
颯人はそそくさと障子を閉めて部屋の温泉に入った。
「何やってんの、俺」
顔が火照り恥ずかしくなって、頭からシャワーを浴び続けた。
唯香が買ってきてくれた下着類を持ち込んでいなかったので、とりあえず浴衣を羽織り部屋に戻った。
「唯香も入ってくれば」
目を合わせないように颯人は言った。
「うん」
今度は唯香がお風呂に行くと、颯人はビールを飲みながら望亜を見つめた。
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