2人ではじめる異世界無双~無限の魔力と最強知識のコンビは異世界をマッハで成り上がります〜

こんぺいとー

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第一章──冒険者登録が無双の門出

厨二心は傷心

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「さて、改めて俺はダゴマ・ゴドマ。勇級冒険者パーティ【開けゴマ】のリーダーだ。んでそっちでくつろいでる二人がうちのメンバーだ」

「なになになにアルかゴマ野郎、可愛い子連れて来ちゃって。ようやくモテ期アルか~?」

『あ、アルって……』

いつの間にか、と言うしかない程の速度でダゴマの肩をドンドンと叩く糸目の女性。
ギャグがと思うほど中国っぽい口調が気になる。

「そんなんじゃねえよ……初対面だってのにそういうノリはやめろ、怖がっちまうだろうが」

嫌な顔をしながら押しのけるダゴマを無視して、中国女はテルの手を取ってブンブンとちぎれるかと思うくらいに振った。

「おーよろしくアル、無問題無問題モーマンタイモーマンタイ!! うち怪しいもんじゃないアルよ~」

「は、はぁ、よろしくお願いします、シエラといいます」

「タメ口でいいアルよシエラっち~、うちはシャン・ムルアル~」

「あ、あぁよろしくムル……あの、痛いんだけど……っ」

いい加減腕がちぎれそうだと訴えると慌ててパッと離し、片手を上げた。謝罪の意味だろう。

「おぉっと謝謝しぇしぇアル、ついテンションがネ、アハハ」

『とんでもなくマイペースな人だね』

「(お前が言うって相当だな、あー腕が痛い……)」

「……こう見えて腕が立つし、悪い奴ではないんだ……仲良くしてやってくれ。おいレンリィ、お前も挨拶しろ……って寝てんのか」

「ん、瞑想中。……僕レンリィ、よろしく」

「は、はぁ、し、シエラです……よろしくお願いします?」

「同じくタメでいい」

「あ、あぁ……ありがとう」

「ん」とだけ返すと、レンリィは再び目を瞑る。……なんとも絡み辛い。

『この二人温度差やばくない……?』

「ムルとは逆のベクトルで癖のある奴だが、根は優しい奴だから安心してくれな」

『多分この人がいなかったらパーティ成立しなくない……?』

いや全く持ってその通りだろう、とテルは思った。苦労が忍ばれる。

『ともかく、これで衣食住はなんとかなったね。勇級冒険者にもなるとギルド側がそれぜーんぶ補填してくれるし、三人ともそれだって言うならテルにも配給は回ってくるはずだよ』

「ベッドで寝れると思うと涙が出てくるよ」

『路地裏ホームレスも住めば都だけど』

「(絶対勘弁)」

「さて、新規メンバー加入したわけアルし、迷宮にでも行かないアルか?」

「お前はかっこいい所を見せたいだけだろう、まぁ元々そのつもりだったが」

「(お、おいシエラ~、迷宮ってなんだ)」

『この国で使用されてる生活魔法とか諸々の反動で貯まった毒は迷宮に流すことで処理してるの。そうやって生まれ続ける魔物を駆除するのが冒険者の役割ってわけ……だから冒険者は、迷宮清掃員なんて揶揄されたりもするよ』

「(想像してたのと違うっ!!?)」

もっとこう、フィールドを駆け回って大冒険、みたいな!!
もっとこう、世界に仇なす魔物共を駆逐、みたいな!!!

魔物の発生から迷宮の状態まで全管理されてるなんてそんなのファンタジーでもなんでもないのではないか!?

『……? 野生で魔物なんて湧いたら大変じゃん。万が一にもそんな事態を引き起こさないために迷宮があるんだよ』

「……」

テルは決めた。
シエラを厨二心クラッシャーと呼ぼう、と。
いたいけな男子の心を弄び、希望を粉々に打ち砕くなどなんたる悪の所業であろうか!!

「つーわけだシエラちゃん、今から迷宮に行くからよ、戦い方をしっかり見学しててくれ」

「え、あ、えと俺も……「ダメだ」」

強く言い切るダゴマに気圧され、一歩後ずさる。

「まだ迷宮のめの字も分からんだろう、まずはちゃんと俺たちを見ててくれ。シエラちゃんには擦り傷だって負って欲しくない」

「迷宮は危ないアル。まずは知るところからアルよ」

「……は、はい……」

『いいじゃんいいじゃん、私も魔法はともかく戦う知識なんて全くないしね』

例の子供扱いに対する罪悪感もそうだが、もっと切実な疑問、願望がテルを襲っている。

曰く、なんで出来ないんですか──!!? と。

そう、転生物と言えば無双である。
初日からSSランク冒険者、美少女をたくさん侍らせて陰キャオタクいじめられっ子が最強の勇者へと昇華するッ!!

……と、そういうものでは無いのか。

魔法も満足に使えず、子供扱いを受けてようやく生活を繋ぐテルの姿は、自分自身から見てあまりにも情けなかった。
職場見学? 小学生か何かですか!?
現実と理想の隔たりに、テルは大きくため息を吐いた。

『まーたくっだらないこと考えてる』

そしてやっぱり、シエラは厨二心クラッシャーだった。
転生チート無双は断じてくだらなくなんかない、影に生きる男たちの夢だというのに。
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