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第三章──光の勇者と学院生活
見参!!転生勇者シガ・テンキ
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図書室の真ん中で、数え切れないほどの本を積み上げている神秘的な少女がいた。
絹のように白くなめらかな肌は輝く金の髪にマッチしており、気だるげな瞳は吸い込まれるような青。
普通ならば───。
そう、普通ならば心を射抜かれていたであろう。
───だが。
テンキとて、そう馬鹿ではなかった。
極々最近に起こった教会のテロ事件。
その時教会にいたもの全てが殺された、歴史に名を残す最大にして最凶のテロ事件だ。
……見間違いか都市伝説だと思っていたが、その跡地には一人の少女がいたという。
その少女の目撃情報と、ここにいる彼女の外見は全て物の見事に一致している。
もしそれが事実であるなら、こいつは。
「何しに来た」
自分でも驚く程に、低く重い声が出た。
少女はこちらを振り向く。
あまりの可愛らしさに顔が赤くなるが、見た目に惑わされてはいけないと首を振る。
あのテロ事件の犯人がこいつだとするなら、勇者である自分が排除せねばならない。
「……? 何しに……って、本読みに……」
「そうじゃねえ、この学院に来た目的だ」
この学院でも殺戮を行うというのなら、それは絶対に許さない。
「……? てかお前なんなんだよ、いきなり……」
なるほど、聞くならまずは自分から名乗れと。
確かにその通りだと、テンキは腰に手を当てて名乗りを上げる。
「オレはシガ・テンキ、勇者だ」
■ ■ ■
しがてんき。勇者。ふむ、なるほど。
……なるほど。
「(どう考えても日本人じゃねえか!!)」
『にほ……同郷ってこと?』
「(そうだよ!! これはすっげーラッキーだぞ!!)」
いきなり話しかけてきてなんだこのガキは、と思ったが、こうとなれば話は別だ。
テルは勢いよく名乗った。自分の名前を。
「そうか勇者か、日本人かぁ!! テンキ、よろしく!! 俺はシノサキ・テル、お前と同じ日本人だよ!!」
「な……にほ、はァ!? いやどう見ても見た目日本人じゃねえだろうが!」
思った通り驚愕するテンキ。
だが、そうだ。
テルの体はどう見ても異世界人のそれで、テンキのような真っ黒な髪と目をしていない。
確かに信じるには値しないだろう。
「俺の中にもう一人いてそいつの体なんだよ、シエラっていうんだ」
「…………詳しく聞かせろ」
初対面喧嘩腰だった割には中々話の分かるやつだ、とテルは思う。
久しぶりの日本人とのコミュニケーションに、胸を踊らせていた。
■ ■ ■
「んじゃ、テロとは無関係でむしろ被害者だってンのか……すまねェ、早とちりしちまった」
「いいんだよ、そりゃそんな目撃情報出てたら誰だって疑うしな」
にかっと笑うテルに、どうしても顔が赤くなる。
見た目は完全にドストライクなのだ、中身が男と知っていようと不可抗力である。
「にしても……」
中々ハードな転生をしている奴だな、とテンキは思う。
テンキは転生したその瞬間から勇者であり、最強であり、いずれ復活する魔王を倒すという責務の代わりに、全てが手の内にあった。
対してテルはどうだ。
自分のように神に会うことすらしていない。
最初はここが異世界であることすら、分からなかったという。
しかも転生した理由も分からず、前世で死んだ記憶すらないとは何事か。
「まァ、オレにできることがあるなら協力してやる。同郷のよしみだ」
「……! あぁ、助かる!!」
ここは一つ、転生最強勇者であるこのテンキが一肌脱いでやらねばなるまい。
「あ、それとよ。うちの食堂は味噌汁とご飯あるけど「食う!!!!!」……お、おう」
食いつきすぎてほぼゼロ距離だ。
……同じ日本人だから気持ちはわかるが。
何か柔らかいものが当たっている。
はて、無防備すぎやしないか。
「(やめろやめろやめろ、お前マジで俺の好みなんだよクソっ、なんで男なんだコイツ……!!)」
もし中身までちゃんと女の子だったら、今頃口説いて落としているというのに。
「……どうした? なんか熱いぞ、熱か?」
「いや勇者が熱になるかよ、とりあえずちょっと離れろ」
テルの小さくしなやかな手がテンキの額を触る前に、なんとかそう口にして押し返す。
「(かっる……!?)」
ちゃんと食べているのか心配になるほど軽く、少し強くつつけば壊れてしまいそうだ。
「確かにな。要らない心配だった、わりわり」
そう謝る声も可愛い。非の打ち所がなさすぎる。
動悸が止まらない、中身は男だと分かっているのに。
いや、むしろ男だからかもしれない。
動作のそれぞれがいちいち無防備で、前世の恋愛経験がゼロなテンキには刺激が強かった。
「んじゃ俺はまだ図書室に用事あるから。そろそろチャイム鳴るだろ? また後でな」
喋り方もそうだ。口調は男のそれだが、テンキほどぶっきらぼうではない。
ほどよいギャップが魅力を引き立てていた。
さて、テルにそう言われて腕時計を見ると、確かにもうすぐ授業だった。
ほとんど受ける意味なんて無いが、女子との交流関係においてそういった律儀さはまぁまぁ大事なのである。
「あ、あァ……! あ、あ、後でなァ!!」
緊張が激しすぎて語尾が上擦る。
それはテンキ本人から見ても、あまりにカッコ悪すぎた。
絹のように白くなめらかな肌は輝く金の髪にマッチしており、気だるげな瞳は吸い込まれるような青。
普通ならば───。
そう、普通ならば心を射抜かれていたであろう。
───だが。
テンキとて、そう馬鹿ではなかった。
極々最近に起こった教会のテロ事件。
その時教会にいたもの全てが殺された、歴史に名を残す最大にして最凶のテロ事件だ。
……見間違いか都市伝説だと思っていたが、その跡地には一人の少女がいたという。
その少女の目撃情報と、ここにいる彼女の外見は全て物の見事に一致している。
もしそれが事実であるなら、こいつは。
「何しに来た」
自分でも驚く程に、低く重い声が出た。
少女はこちらを振り向く。
あまりの可愛らしさに顔が赤くなるが、見た目に惑わされてはいけないと首を振る。
あのテロ事件の犯人がこいつだとするなら、勇者である自分が排除せねばならない。
「……? 何しに……って、本読みに……」
「そうじゃねえ、この学院に来た目的だ」
この学院でも殺戮を行うというのなら、それは絶対に許さない。
「……? てかお前なんなんだよ、いきなり……」
なるほど、聞くならまずは自分から名乗れと。
確かにその通りだと、テンキは腰に手を当てて名乗りを上げる。
「オレはシガ・テンキ、勇者だ」
■ ■ ■
しがてんき。勇者。ふむ、なるほど。
……なるほど。
「(どう考えても日本人じゃねえか!!)」
『にほ……同郷ってこと?』
「(そうだよ!! これはすっげーラッキーだぞ!!)」
いきなり話しかけてきてなんだこのガキは、と思ったが、こうとなれば話は別だ。
テルは勢いよく名乗った。自分の名前を。
「そうか勇者か、日本人かぁ!! テンキ、よろしく!! 俺はシノサキ・テル、お前と同じ日本人だよ!!」
「な……にほ、はァ!? いやどう見ても見た目日本人じゃねえだろうが!」
思った通り驚愕するテンキ。
だが、そうだ。
テルの体はどう見ても異世界人のそれで、テンキのような真っ黒な髪と目をしていない。
確かに信じるには値しないだろう。
「俺の中にもう一人いてそいつの体なんだよ、シエラっていうんだ」
「…………詳しく聞かせろ」
初対面喧嘩腰だった割には中々話の分かるやつだ、とテルは思う。
久しぶりの日本人とのコミュニケーションに、胸を踊らせていた。
■ ■ ■
「んじゃ、テロとは無関係でむしろ被害者だってンのか……すまねェ、早とちりしちまった」
「いいんだよ、そりゃそんな目撃情報出てたら誰だって疑うしな」
にかっと笑うテルに、どうしても顔が赤くなる。
見た目は完全にドストライクなのだ、中身が男と知っていようと不可抗力である。
「にしても……」
中々ハードな転生をしている奴だな、とテンキは思う。
テンキは転生したその瞬間から勇者であり、最強であり、いずれ復活する魔王を倒すという責務の代わりに、全てが手の内にあった。
対してテルはどうだ。
自分のように神に会うことすらしていない。
最初はここが異世界であることすら、分からなかったという。
しかも転生した理由も分からず、前世で死んだ記憶すらないとは何事か。
「まァ、オレにできることがあるなら協力してやる。同郷のよしみだ」
「……! あぁ、助かる!!」
ここは一つ、転生最強勇者であるこのテンキが一肌脱いでやらねばなるまい。
「あ、それとよ。うちの食堂は味噌汁とご飯あるけど「食う!!!!!」……お、おう」
食いつきすぎてほぼゼロ距離だ。
……同じ日本人だから気持ちはわかるが。
何か柔らかいものが当たっている。
はて、無防備すぎやしないか。
「(やめろやめろやめろ、お前マジで俺の好みなんだよクソっ、なんで男なんだコイツ……!!)」
もし中身までちゃんと女の子だったら、今頃口説いて落としているというのに。
「……どうした? なんか熱いぞ、熱か?」
「いや勇者が熱になるかよ、とりあえずちょっと離れろ」
テルの小さくしなやかな手がテンキの額を触る前に、なんとかそう口にして押し返す。
「(かっる……!?)」
ちゃんと食べているのか心配になるほど軽く、少し強くつつけば壊れてしまいそうだ。
「確かにな。要らない心配だった、わりわり」
そう謝る声も可愛い。非の打ち所がなさすぎる。
動悸が止まらない、中身は男だと分かっているのに。
いや、むしろ男だからかもしれない。
動作のそれぞれがいちいち無防備で、前世の恋愛経験がゼロなテンキには刺激が強かった。
「んじゃ俺はまだ図書室に用事あるから。そろそろチャイム鳴るだろ? また後でな」
喋り方もそうだ。口調は男のそれだが、テンキほどぶっきらぼうではない。
ほどよいギャップが魅力を引き立てていた。
さて、テルにそう言われて腕時計を見ると、確かにもうすぐ授業だった。
ほとんど受ける意味なんて無いが、女子との交流関係においてそういった律儀さはまぁまぁ大事なのである。
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