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第三章──光の勇者と学院生活
エスケープ・トーナメント
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魔導祭、当日。
出場人数は三十七名、私立フランドル魔法学院の誇る特別実技屋外運動場での実施となる。
いわゆるコロシアムだ。
運動場には一イルメトリ四方……つまり、一キロ平方メートルの正方形型のリングが置かれる。
脱落条件は気絶と場外。
持ち込める魔法陣は各自一つまで。
「……と、そんな感じの認識でオッケーか?」
『うん、大丈夫。……いよいよだね』
「つっても結果は見えてるけどな」
『足元救われないように本気でね』
当たり前だ。舐めプという言葉ほど嫌いなものは無い。
それに、テルにはひとつ必勝の作戦があった。
「選手の皆さんはリングに上がってくださ~~い、選手の皆さんは───」
さぁ、見せてやろう。
シノサキ・テルとシエラ・ノヴの【嵐】の力を。
■ ■ ■
リングの真ん中、威風堂々の佇まいを見せるのは例の編入生。
今年の公認試験資格をもぎ取るのは間違いなくシエラだろう。
そこは運が悪かったと諦める他ない。
だが、自分とて無為に時間を過ごしてきた訳では無い。
たとえ結果を出せずとも、全力を尽くすのみだ。
実況席から声が響いてくる。もうそろそろ開始だ。
「えー実況は放送部部長である私、エリカ!! 解説はなんとあの勇者! テンキ様でお送りいたしますわ!!」
「おう……まァ実況することなンかないだろォがな」
「そ、それはどういう……?」
「見てりャ分かる」
勇者様もシエラの優勝を確信しているのだろう。
だが、これは決して勇者様の思うような茶番劇ではない。そうと証明してみせる。
一矢くらいは報いてみせる!!
「……ともあれ、皆様が待ちわびた魔導祭、ついに開始でございますわ!! 今、試合開始を告げる審判の笛が───」
高らかに、鳴り響いた。
続いて。
正に、刹那としか言いようがない一瞬のうちに。
俺は。
いや、俺たちは。
一人残らず地面に、情けなくころがっていた。
「───────は?」
何が起きたか、まるで理解できない。
「な、な、い、一体何が起きたのでしょうか───!? 立っているのは、シエラ選手ただ一人!?」
「開始と同時にリング全体をぶっ壊して、ついでに全員に追撃したンだよ。……まァそりャァこうなるわな」
───追撃? そんなもの、食らった覚えは───!?
「嘘、だろ」
確かに、魔法陣を書き込んだリストバンドが焼け焦げている。
まさか、あの一瞬で、そんな、馬鹿なッ!!?
「悪いな、レベルが違いすぎた」
長い金の髪を払いながらそう言う彼女の周りだけは、一切の被害がない。
リングは跡形もなく消し飛び、自分たちはそれなりのダメージを受けているのに。
──彼女とその周りだけは、何事も無かったかのように原型を留めている。
「け、け、け、決着!!! なんということでしょう!? 決勝トーナメントを行わずして一人、シエラ選手が勝ち残ってしまいましたわ!!!」
──悪いな、レベルが違いすぎた。
その一言が、脳裏を駆け巡っていた。
レベルが違う? これは、そんな次元ではない……ッ!!
生きている場所が。ひいては、生きている世界そのものがあまりにも違いすぎる!!
一矢報いるどころではない。
やられたことを認識することすら敵わなかった……ッ!!
「シエラ選手、優勝~~ッ!!! シエラ選手の優勝ですわッ!!」
───この日。
絶対に敵わないものが、世の中には存在することを知った。
■ ■ ■
試合が始まる前にある程度魔法陣の位置を把握しておいて、いざ始まったらリングごと爆撃して浮かす。
後は風の属性陣で地面に叩きつけつつ、火の属性陣で先程確認した魔法陣のあった箇所を燃やす──。
それが、テルの考えた最強の必勝法なのだろう。
あの速さからして、用意していた魔法陣は【韋駄天陣】か。
……全く、どう考えてもやりすぎだ。
「どうよ」
胸を張ってドヤ顔を決めてくるテル。
胸も柔らかそうだし顔も可愛いので余計に腹が立つ。
少なくとも手放しで褒められる状況ではないから、デコピンしつつ窘める。
「ったぁ!? 何すんだよ!」
「やりすぎだバカ。お前は抜きで魔導祭やり直しだッてよ」
当たり前だ。
あんな結末で観客が納得するわけがないだろうに。
「ぇ゛」
冷や汗をだらだらと流すテルに思わずため息が出る。
どうしてこいつは変なところで抜けているのか。
少し考えれば、自分が全力を出したら祭自体が台無しになってしまうことくらい、容易に予測できるだろうに……。
「安心しろ、テメェにはとっくに国家公認魔導士試験受験資格が授与されてる。今からのはいわば第二回戦だ。ちャンとテメェは優勝してンだよ」
本当だ。さっき理事長先生が急遽そう手配しているのを見た。
まぁまぁな金の動く魔導祭を台無しにされては困るからだろう。
「マジか!! ならいいんだ、よっし!! やったなシエラ!!」
『うん!!』
「全く……」
自分だって相当にハチャメチャをやっていたはずなのだが、テルはそれ以上に危なっかしくて見ていられない。
容姿が華奢な女の子だから、余計に庇護欲が湧くのだろうか?
……厄介なヤツだ。
更に「ありがと」なんて笑顔で言うものだから、こちらは顔を赤くして目を逸らす他ない。
……本当に、厄介なヤツだ。
出場人数は三十七名、私立フランドル魔法学院の誇る特別実技屋外運動場での実施となる。
いわゆるコロシアムだ。
運動場には一イルメトリ四方……つまり、一キロ平方メートルの正方形型のリングが置かれる。
脱落条件は気絶と場外。
持ち込める魔法陣は各自一つまで。
「……と、そんな感じの認識でオッケーか?」
『うん、大丈夫。……いよいよだね』
「つっても結果は見えてるけどな」
『足元救われないように本気でね』
当たり前だ。舐めプという言葉ほど嫌いなものは無い。
それに、テルにはひとつ必勝の作戦があった。
「選手の皆さんはリングに上がってくださ~~い、選手の皆さんは───」
さぁ、見せてやろう。
シノサキ・テルとシエラ・ノヴの【嵐】の力を。
■ ■ ■
リングの真ん中、威風堂々の佇まいを見せるのは例の編入生。
今年の公認試験資格をもぎ取るのは間違いなくシエラだろう。
そこは運が悪かったと諦める他ない。
だが、自分とて無為に時間を過ごしてきた訳では無い。
たとえ結果を出せずとも、全力を尽くすのみだ。
実況席から声が響いてくる。もうそろそろ開始だ。
「えー実況は放送部部長である私、エリカ!! 解説はなんとあの勇者! テンキ様でお送りいたしますわ!!」
「おう……まァ実況することなンかないだろォがな」
「そ、それはどういう……?」
「見てりャ分かる」
勇者様もシエラの優勝を確信しているのだろう。
だが、これは決して勇者様の思うような茶番劇ではない。そうと証明してみせる。
一矢くらいは報いてみせる!!
「……ともあれ、皆様が待ちわびた魔導祭、ついに開始でございますわ!! 今、試合開始を告げる審判の笛が───」
高らかに、鳴り響いた。
続いて。
正に、刹那としか言いようがない一瞬のうちに。
俺は。
いや、俺たちは。
一人残らず地面に、情けなくころがっていた。
「───────は?」
何が起きたか、まるで理解できない。
「な、な、い、一体何が起きたのでしょうか───!? 立っているのは、シエラ選手ただ一人!?」
「開始と同時にリング全体をぶっ壊して、ついでに全員に追撃したンだよ。……まァそりャァこうなるわな」
───追撃? そんなもの、食らった覚えは───!?
「嘘、だろ」
確かに、魔法陣を書き込んだリストバンドが焼け焦げている。
まさか、あの一瞬で、そんな、馬鹿なッ!!?
「悪いな、レベルが違いすぎた」
長い金の髪を払いながらそう言う彼女の周りだけは、一切の被害がない。
リングは跡形もなく消し飛び、自分たちはそれなりのダメージを受けているのに。
──彼女とその周りだけは、何事も無かったかのように原型を留めている。
「け、け、け、決着!!! なんということでしょう!? 決勝トーナメントを行わずして一人、シエラ選手が勝ち残ってしまいましたわ!!!」
──悪いな、レベルが違いすぎた。
その一言が、脳裏を駆け巡っていた。
レベルが違う? これは、そんな次元ではない……ッ!!
生きている場所が。ひいては、生きている世界そのものがあまりにも違いすぎる!!
一矢報いるどころではない。
やられたことを認識することすら敵わなかった……ッ!!
「シエラ選手、優勝~~ッ!!! シエラ選手の優勝ですわッ!!」
───この日。
絶対に敵わないものが、世の中には存在することを知った。
■ ■ ■
試合が始まる前にある程度魔法陣の位置を把握しておいて、いざ始まったらリングごと爆撃して浮かす。
後は風の属性陣で地面に叩きつけつつ、火の属性陣で先程確認した魔法陣のあった箇所を燃やす──。
それが、テルの考えた最強の必勝法なのだろう。
あの速さからして、用意していた魔法陣は【韋駄天陣】か。
……全く、どう考えてもやりすぎだ。
「どうよ」
胸を張ってドヤ顔を決めてくるテル。
胸も柔らかそうだし顔も可愛いので余計に腹が立つ。
少なくとも手放しで褒められる状況ではないから、デコピンしつつ窘める。
「ったぁ!? 何すんだよ!」
「やりすぎだバカ。お前は抜きで魔導祭やり直しだッてよ」
当たり前だ。
あんな結末で観客が納得するわけがないだろうに。
「ぇ゛」
冷や汗をだらだらと流すテルに思わずため息が出る。
どうしてこいつは変なところで抜けているのか。
少し考えれば、自分が全力を出したら祭自体が台無しになってしまうことくらい、容易に予測できるだろうに……。
「安心しろ、テメェにはとっくに国家公認魔導士試験受験資格が授与されてる。今からのはいわば第二回戦だ。ちャンとテメェは優勝してンだよ」
本当だ。さっき理事長先生が急遽そう手配しているのを見た。
まぁまぁな金の動く魔導祭を台無しにされては困るからだろう。
「マジか!! ならいいんだ、よっし!! やったなシエラ!!」
『うん!!』
「全く……」
自分だって相当にハチャメチャをやっていたはずなのだが、テルはそれ以上に危なっかしくて見ていられない。
容姿が華奢な女の子だから、余計に庇護欲が湧くのだろうか?
……厄介なヤツだ。
更に「ありがと」なんて笑顔で言うものだから、こちらは顔を赤くして目を逸らす他ない。
……本当に、厄介なヤツだ。
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