悪夢で視る人――それは俺だけが視ることのできる、酷く残酷で凄惨な個人的ホラー映画。【第二部・リテイク版】

されど電波おやぢは妄想を騙る

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第二部 上映中

Scene 30.

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 俺の部屋から駐車場に行き着くまで、至って順調にことが運ぶ。

 駐車場に停めてあった俺の愛車に乗り込むと、恐る恐るエンジンを掛ける――良し、大丈夫だ。


 だがしかし。ガソリンがなかった。


「落ち着け、俺。焦るにはまだ早い時間だっつーの。単なる管理不足。こんなのは想定内だ」

 ここまで『進路クリア、オールグリーン! 行けます!』と、謎の美少女オペレーターが出撃の合図を寄越す程度には順調だったのに……ま、止むなしだ。

「死んでいる――違った。動かないわけじゃぁない。だがしかし、果たして。霊園まで行くには残量が心許ないか。しゃあない、途中で給油して行くとしよう」


 霊園に向かう道中、予定通りにガソリンを給油し、再び目的地までひた走る。


「今回は快適過ぎて、逆にホラーだな……」

 カーオーディオから、美杉も好きだった電脳歌姫の優しくも哀しいラブソングが静かに流れ、少し寂しい気分にもなる。

 流れて過ぎ去る見知った街の風景は、良く二人で買い物に出掛けた懐かしい道のりだから――。

 そう言えば……助手席に座っていた美杉は、如何わしい愛の営みを育む施設の変な看板を見つける度に、社会勉強の一環として寄って行こう直ぐ行こうとか大騒ぎして喧しかったな。

 その度に俺は阿呆だろとか、変態痴女とか、美少女が良いのかそんなで云々、容赦なくツッコミを入れてたっけ……懐かしいな。

「僅か二年、されど二年だ。邪険に扱わず、もっと触れ合う時間を大切にすべきだった……って、後悔先に立たずだがな」

 運転中だ言うに、過ぎ去りし日々を懐かしむあまり涙が滲んできた。

 ダッシュボードに手を伸ばし、備えつけのテッシュを取ろうと手を伸ばす。

「そんなことないよ? 

 運転中の俺に気を利かせ、数枚ほど取って手渡してくれた。

「――ん? そうか? まぁ……二年も経てば高校卒業して立派な大人だもんな。ご相伴に預かってもやぶさかでもないかも」

「そうそう。あんなことやこんなことが合法的にできるよ? DTも返上できるし。――と、言うことで。今直ぐ寄ろっ! 今直ぐ行こっ!」

「ん~、俺的には大変に魅力的なお誘いなんだけども、今からは無理だな。毎年どうしても外せない大切な用事があってだな――って。またかよ……」


 しれっと会話に参加するが、助手席にやはりしれっと座っていた――。


「ん? どうしたの、お兄ちゃん?」

「阿呆だろ?」「失敬ね!」

「もうさして驚きたくもねーけどよ。美杉の墓参りに行く俺に、本人が憑いてくるなってのな! 今回も正しく人と呼んで良い者とは違うんだろうけど」

 半ば呆れ気味に伝え、左手で美杉に軽くデコピンを喰らわすんだが、なんの問題もなく触れることができた。

 ちなみに。左手を戻す際、気ずかれないように右手を引っ掻くのも忘れず実行する。


 ちゃんと痛い。相当、痛い。
 色んな意味での涙が滲むほどに痛い。


 理解の範疇を優に超える退っ引きならない意味不明の現象だが、運転中の俺の隣に座ってはしゃぐ美杉は、紛れもなく現実に存在しているってことになるわけで。


「え~っ⁉︎ 私の墓参りっておかしくない? 私はここに居るじゃん? どーしたの、お兄ちゃん?」

「――はいはい。もうね、どんだけでも好きにほざいてろっつーの」

 助手席に座り、外の景色に一喜一憂している無邪気な美杉を感じ、呆れた物言いで返事する俺は、一つの仮定を立てる――。


 俺の未練がだ、意図せず実体のある虚像に近い形で現実に産み出してるのではないのかと。
 或いは、現実と非現実の境界線が交じりあってしまったか――だ。


「美杉。一応、聴くが――幽霊じゃねーよな?」
 
「失敬ね! 幽霊違うっての! なんでそんな酷いことを言うのか、意味が全く解らないよ、お兄ちゃん?」

 向日葵の種を頬袋一杯に貯め込んだハムスターの如く、可愛い頬っぺたをぷくっと膨らまし、むくれ面になる美杉。


「嫌、俺のがまぢで意味不明なんだけど――」



 ――――――――――
 気になる続きはこの後、直ぐ!
 チャンネルは、そのまま!(笑)
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