呪いの三輪車――え、これホラー? いや、色々な意味で。

されど電波おやぢは妄想を騙る

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第七夜。

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「アヘ顔ダブルピース先生になってる悪魔っ子は、取り敢えず放置。少し違うが当初の目的は達成されたとみて……やっぱアレだよな」

 全裸に剥かれいけない汁塗れの悪魔っ子を蔑み、不適切且つ歪みきった薄ら笑いを携えて呪いの三輪車を抱きかかえる俺。

「小説家になろうではなく、この世の中の支配者になろう」

 そんな独り言を呟いて、滑り台の上に登り詰めた。


 そうそう。俺達は未だ公園に居る。
 滑り台の下に土管のような空間があって、そこで悪魔っ子にいけない大人の悪戯をやっつけてたってわけ。

「さっきと同じ要領でここから一気に降る! 支配者になると強く願って! 俺は今日から支配者だ! はっはっは、はっはっは、はーっはっはっは!」

 呪いの三輪車を頭上に掲げて高笑う俺!

「ママー、変なおじさんが居るよー」

「み、見ちゃ駄目です! 放っておいてあげるのがマナー。そう、マナーなのよ!」

「三輪車は滑り台で乗っちゃ駄目なんだよねー、ママー」

「正しくてよ、でも見なかった事にしましょう、ええ、見なかった」

 公園の前を偶々通りかかった素敵親子から、心に染み入る激励を受けた――。


 取り敢えず、やってみた。


「オラオラオラオラ! 俺の前は何人たりとも走らせねぇー!」

 滑り台の上から良い歳をした大人な俺が、猛けり狂う勢いの全力で、ちっちょいペダルを必死に漕ぎ、字面通りに猛走妄想した!


 うん、やっぱシュールだ――。


「この加速! これなら――」

 滑り台をカタバルト発射台にして、勢い良く飛び出した俺!


 その時だった――。


 まるで某未来の耳無し猫型ロボド◯えもんのタイムマシンに乗って時間移動をしているかの如く、周囲の景色がグニャリと歪む!


 ご丁寧にアナログ時計の文字盤的模様が周囲を埋め尽くすパクリ絵図で。


「うぉっ! スゲーな、歪みだらけなのな! てか、呪いの三輪車ってマジもんだった!」

 今更な事を叫び、流れに身を任せる俺。
 念の為にちっちょいペダルはフル回転だ!


 そして――。


「ここは……何処?」

 そう呟く俺が呪いの三輪車に乗って辿り着いた場所。


 薄暗い鉄格子で囲われた、ある意味で部屋のような場所だった。
 そして鉄格子の外には、厳ついおっさんがこちらを見張っていた。


 正しくはおっさんではないな。
 何ぞ頭から角っぽいもん生やしてやがるからな。
 要するに悪魔っ子と同じ悪魔ってこった。

「――オチが見えたわ、これ。巫山戯るな! 散々、苦労してこれはない!」

「煩いぞ、罪人! お前は今日、見せられないよな拷問に掛けられ、特殊な嗜好を持つ偉いさん共に身を献上し、慰み者にされた挙句に最期は斬首で。――だからな! 無様だな! はーっはっはっは!」


 とかなんとか。


「もしもボ◯クスと同じ曲解型アイテムかよ! 明らかに詐欺ぢゃねーか! 駄洒落は酷い! しかも何に負けたんだよ!」

 呪いの三輪車から徐に降り立ち、乗ってきた三輪車を思いっきり蹴っ飛ばす俺!

「どーするよ、俺? この狭い場所では猛走妄想はできん。――俺ヤバない?」

 何故か俺は、牢屋らしき所に投獄されている状況らしい。
 鉄格子と岩壁しか目に映らない。
 強いて言えば、身体に拘束具一つ無く自由だって事が救いなだけ。
 
「どーでも良くはないが、この話は筆者の気分転換を兼ねたギャグごたか? 何、この修羅場?」

 俺とそっくりな高笑いをしやがるおっさん悪魔を見据え、どーやってどんでん返しをするか……必死に思案を巡らす俺だった――。



 ――――――――――
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