呪いの三輪車――え、これホラー? いや、色々な意味で。

されど電波おやぢは妄想を騙る

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第一〇夜。

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 自宅の納屋に帰り着いた俺は釈然としないまま、呪いの三輪車を持って自室に戻る。

「ちょっと色々やらかし過ぎて疲れたかも。か、うん。そーしよう」


 色々と詰め過ぎたので、一息つこうと思う俺。
 そんなわけで、しがない一日を送ることとする――。


「うっは。悪魔っ子に悪戯したまんまじゃねーか」

 悪魔っ子の姿はなかったが、暴れてやらかしたままに散らかっていた。

 止む無く、呪いの三輪車を部屋の隅に置き、後始末と片付けをした。

「ふぅ――元通りっと。しかし、夢でなく事実なのな。なんとなく怖いわ、うん」

 何気に呪いの三輪車を見やる俺。

 今まで体感してきたことは、全て事実なんだなとか、他人事のように想いをはぜる。

「それは、それ。これは、これ。ちょいと気分転換をせんとな」

 部屋の窓を開けて外気を取り込む。

「あかん。湿気がキツい」

 梅雨時期特有のジメっとした不快指数テラMAXな空気が流れ込んできたので、速攻で閉めた。

「こんな時はエアコンだな」

 リモコンのスイッチをポッチっとな。
 
「冷えるまで少し掛かるが止む無し。テレビでも見るか」

 テレビのリモコンのスイッチをポッチっとな。

「――なんだ? 特撮かこれ?」

 丁度やっていた番組を食い入るように見る俺。
 番組は番組でも、所謂、ニュース特番だった。

『都内の某所に複数の獣が現れ、付近を凄惨な現場と変えてしまった事件が起きました。被害は出たものの、勇敢な方々の活躍により――』

 流れているニュース。
 なんでも電車に突っ込んだ獣と、複数の獣が現れて、人を襲ったと言う内容。

 それを鎮圧したのが、トンファー、死神の鎌、厳つい戦鎚を携えた三人の魔法少女の着ぐるみだってさ。

「凄えな? アトラクション中に駆け付けたとかか? ――うは、倒し方も格闘かよ! あんな獣に良くやるなぁ」

 妙な感心をしてしまった俺。
 ダイジェストで戦っている映像が流れていたんだが、魔法少女の着ぐるみで獣に挑む姿がシュール過ぎた。

「中の人は武人か? 良くやるよ」

 テレビのリモコンのスイッチをポッチっとなして、チャンネルを替えた。

「――なんだ? ゾンビと人が暮らす映画? 普通にゾンビvs人間は、ありふれてるとは言え、なんつー悪趣味な。凄え切り口から入ったな、おい」

 一人の青年とゾンビが生活を共にし、ディストピアと化した世紀末な世界を、共に手を取り合って必死に生き抜いていく映画のトレーラー映像だった。

「人も喰うんだ……最期はどうなるんだコレ……ちょっと見てみたいな」

 またテレビのリモコンのスイッチをポッチっとなして、チャンネルを替えた。

「――は? なにこれ? TRPGの世界で悪魔と1on1? しかも現実に実体化して? 凄えな……って、この子どっかで会ってないか俺? 気の所為かな」

 またまたテレビのリモコンのスイッチをポッチっとなして、チャンネルを替えた。

「またホラーか。悪夢で視る人? タイトルからして悪夢を体験するんか? 要チェックだな……って、隣のボロアパートに良く似た青年が住んでたような……偶然か?」

 ガチャガチャと弄ってテレビのリモコンのスイッチをポッチっとなして、チャンネルをパパパっと替えた。

「刑事ドラマ? えーと、ダンスインザダークネス? ははん、これはアレか。近未来の良くあるアレだな。だがしかし、えらいこの界隈の景色に似てるな? ロケでもあったんかな……まぁ、これも要チェックだ」

 長そうなので、チラ見して切り替える。

「悪役令状が追放されて、幼女化だと? 俺のツボにドンピシャだが……さっきまでケッタイな所に追放されてたからな……今日はパス――は良いけど、隣のボロアパートに良く似たバカップル(死語)が住んでたような……これも偶然か?」


 とかなんとか。


 一通りテレビのチャンネルを回し、紅いドラゴンに乗った騎士が魔王と戦うファンタジー映画にして放置。

「悪魔っ子……どこ言ったんだ? もう帰って来んのんかな……」

 寂しそうに呟く俺は、眠くなったので少し眠る事にした。


 目覚めたあとで、思いも寄らないえらいことが起こるなどとは、この時の俺は予想だにしていなかった――。



 ――――――――――
 気になる続きはこの後、直ぐ!
 チャンネルは、そのまま!(笑)
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