呪いの三輪車――え、これホラー? いや、色々な意味で。

されど電波おやぢは妄想を騙る

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第九夜。

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『余は魔王サったんである! 頭蓋骨が高い! 控えろ人間!』

「冒頭から何をほざいてくれやがりますか? 頭蓋骨が高いって何? 意味不明だろ?」

 偶然にも呪いの三輪車に跨って漕ぐことができた俺は、どうやらとんでもない場所に誘われてしまったようだ。

 あれ程の高さから落下したにも関わらず、怪我もしておらずピンピンしていた。
 しかし肉体はそうでも、精神的には追い込まれた。


 裸の良い歳した髭の爺さんが、おむつにチクビ咥えて、手にガラガラ。


 そんなナリは見事スルーで平然とコキおろしてやがるって、どう言う状況だよ?

『余は魔王サったんである! 頭蓋骨が高い! 控えろ人間!』

「コピペすなや! 聴こえてるわ! ボケてんのかアンタは!」

『むぅ……我が孫を手籠にした人間だけのことはあるの。このナリを見て動揺する所かツッコンでくるとは』

「阿呆か。アンタは何者だよ? サったんとかほざいてたな? あれか、サタンか?」

『サタンではない! サったんである! あんな有名な悪魔と一緒にするでないわ! 余は田舎魔界の端っこで畑を耕しておる平民出のしがない悪魔であるぞ! 向こうに失礼であろう!』


 威張って言うことか?


「うぉーい、魔王サタンだと思った読者に誠心誠意謝っとけ!」

 そこらにあった塵を投げつけてやった。

『あ、痛い――』

「つまり別人ならぬ別悪魔ってことかよ! そんなしょーもない変態爺さんが俺に何の用だよ! ここは何処だよ!」

『用事などこれっぽっちもないわ! 言うに事欠いてここが何処だと? 巫山戯るな! 余の知る所ではないわ!』

 威張り散らして言っていることに、内容がないよう、変態爺さん?
 俺を助けてくれたとか違うん?

「やっぱりボケまくってやがんのか。真面に相手するときっついな、これ。――しゃあねぇ、自分でなんとかするか」

『余を無視するな! こうなったら止むを得ぬ、余の力でもって捻じ伏せてくれる!』

 力強く頷き、咥えていた赤ちゃん用のチクビをぺっと吐き出すと、筋肉ムキムキな両腕を胸の前で組んで俺を睨みつけた!


 そのまま宙に浮いて、華麗な月面歩行を披露する変態爺さん。


 なんの意味が?


『どうじゃ、恐れ慄いて声も出せまい! ふはははは、ふはははは、あーっはっはっは』

 月面歩行のまま、笑いの三段活用を披露する変態爺さん。

「うざっ、こいつ、うざっ!」

 手に持っていた呪いの三輪車で殴りつけ、地面に叩き落とす。
 すかさずマウントポジションになって、呪いの三輪車をでもって殴打しまくる俺!

「ふぅ――なんだったんだ、これ?」

 全く動かなくなった変態爺さんから降りて、溜息を吐きつつ周りを見回す。


 どう見ても、トタンに囲われた倉庫。


「外に出てみて考えるか……」

 丁度良い感じに立て付けの悪そうな扉が目に入る。
 内側からかんぬきで施錠されている。


 普通逆じゃね?


 かんぬきを外し、扉をそっと開ける。
 ギギギギっと油の切れた嫌な音がして無事に開く。

「まぁ、なんつうか、うん。意味解らんわ」


 俺ん家の納谷に繋がっていた――。



 ――――――――――
 気になる続きはあるのか?
 答えは気が向いたら広告の後で!(笑)
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