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Gag.01 出逢い頭に衝突。過失割合は半々。
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「ミイラですか?」
「いいえ、単に包帯に巻かれた電波な微笑女かと」
「――ヤっべ」
古代エジプトのピラミッド内、ヒエログリフに等しい象形文字や壁画が所狭しと描かれた棺が納棺された玄室で、こんな意味不明な漫才を繰り広げている――、
俺とミイラ。
棺の蓋を開けて出てきたミイラが、俗っぽくも意味不明なことを吐かしやがるので、面食らったうえにドン引いていた――。
∑(゚Д゚)、で。
「おっけ、俺。慌てふためき取り乱すには日は高く早い時間だ。相手は動くミイラ――言動はおかしいがマミーだからな。冷静に落ち着いて対処するのが最適解」
万一に備え、腰に装備した革の鞭に手を掛けて油断なくマミーを見やる。
棺から上半身を起こし、両手を前に持ち上げたアーウースタイル。
薄汚れた包帯に巻かれた外観は女性のシルエット。
包帯の所々の隙間から覗く皮膚は、防腐処理の薬品の所為か乾燥しきって荒れている。
ドス黒いか焦げ茶色に濁って変色しているときた。
「ワンモア、プリーズ」「オーケー」
カタカナ英語でやり直しを要求。
カタカナ英語で返された。
「Is that mummy?」
“ マミーですか? ”
「No, I thought she was just a smiling woman with a bandage.」
“ いいえ、単に包帯に巻かれた頭のおかしい微笑女かと ”
「――Oh, my God!」
“ ――ヤっべ ”
英語で要求すると、ちゃんと英語で返ってくるときた。
ただスラングの意味での電波は、英語だとラジオと誤訳になって正しく訳せない。
なので頭のおかしいと、言葉の意味に沿った翻訳をして答えると言うトリッキーさで。
存外、頭良いんですね。
ぶっちゃけナメててすいません。
これは終わりなき押し問答になりそうで埒が明かん。
ここは動くミイラで納得しておく。
それに頭が良いことは立証済。
幸い襲いかかってくると言った野蛮な者でもなさげなので。
「えーと、貴女のお名前をお聴かせ願えますか?」
とにかく名前を聴いてみた。
初対面の挨拶には欠かせないマナーだから。
だがしかし――。
「ロデムです」「それはやめておこうか?」
「ガッデムです」「罵ってどうする?」
「ガ◯ダムです」「一年戦争の英雄か?」
「――どうしろと?」「俺が聴きたい」
いや、まぢで電波だ、それも重度の。
美少女だか微笑女だか知らんが、偏ったオタク知識をちゃんと持った、な?
「とりあえず、元通り寝っ転がって下さい」
そうお願いすると、素直に寝っ転がってくれた電波ミイラ嬢。
棺の蓋を速攻で閉めて、なかったことにした――。
――――――――――
古代の呪いはこんなもんじゃないよ?
「いいえ、単に包帯に巻かれた電波な微笑女かと」
「――ヤっべ」
古代エジプトのピラミッド内、ヒエログリフに等しい象形文字や壁画が所狭しと描かれた棺が納棺された玄室で、こんな意味不明な漫才を繰り広げている――、
俺とミイラ。
棺の蓋を開けて出てきたミイラが、俗っぽくも意味不明なことを吐かしやがるので、面食らったうえにドン引いていた――。
∑(゚Д゚)、で。
「おっけ、俺。慌てふためき取り乱すには日は高く早い時間だ。相手は動くミイラ――言動はおかしいがマミーだからな。冷静に落ち着いて対処するのが最適解」
万一に備え、腰に装備した革の鞭に手を掛けて油断なくマミーを見やる。
棺から上半身を起こし、両手を前に持ち上げたアーウースタイル。
薄汚れた包帯に巻かれた外観は女性のシルエット。
包帯の所々の隙間から覗く皮膚は、防腐処理の薬品の所為か乾燥しきって荒れている。
ドス黒いか焦げ茶色に濁って変色しているときた。
「ワンモア、プリーズ」「オーケー」
カタカナ英語でやり直しを要求。
カタカナ英語で返された。
「Is that mummy?」
“ マミーですか? ”
「No, I thought she was just a smiling woman with a bandage.」
“ いいえ、単に包帯に巻かれた頭のおかしい微笑女かと ”
「――Oh, my God!」
“ ――ヤっべ ”
英語で要求すると、ちゃんと英語で返ってくるときた。
ただスラングの意味での電波は、英語だとラジオと誤訳になって正しく訳せない。
なので頭のおかしいと、言葉の意味に沿った翻訳をして答えると言うトリッキーさで。
存外、頭良いんですね。
ぶっちゃけナメててすいません。
これは終わりなき押し問答になりそうで埒が明かん。
ここは動くミイラで納得しておく。
それに頭が良いことは立証済。
幸い襲いかかってくると言った野蛮な者でもなさげなので。
「えーと、貴女のお名前をお聴かせ願えますか?」
とにかく名前を聴いてみた。
初対面の挨拶には欠かせないマナーだから。
だがしかし――。
「ロデムです」「それはやめておこうか?」
「ガッデムです」「罵ってどうする?」
「ガ◯ダムです」「一年戦争の英雄か?」
「――どうしろと?」「俺が聴きたい」
いや、まぢで電波だ、それも重度の。
美少女だか微笑女だか知らんが、偏ったオタク知識をちゃんと持った、な?
「とりあえず、元通り寝っ転がって下さい」
そうお願いすると、素直に寝っ転がってくれた電波ミイラ嬢。
棺の蓋を速攻で閉めて、なかったことにした――。
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古代の呪いはこんなもんじゃないよ?
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